泥々の川

フロイライン

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母をたずねて89.5km

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国鉄大阪駅にやってきたマキと百恵は、姫路行きの新快速に乗るべくホームで京都方面からやって来る電車を待っていた。


「大野さんもええとこあるやん。
ワタシらだけ姫路に前乗りさせてくれるやなんて。」


「ほんまです。
感謝感謝です。」


「まあ、ストリップ小屋に先に挨拶行け言われてるから、そっちが先やけどな。」


「それでも有難いです、ホンマに。」


そんな話をしながら、二人は電車に乗り込んだ。


「ウチ、電車で遠出した事ないし、ホンマワクワクします。」


「アンタ、中学の修学旅行は行ってへんのわかるけど、小学校のときはどないしたん?

伊勢に行けへんかったんか?」


「小学校の時も行く必要あらへん言われて休みました。」


「聞けば聞くほど呆れるオッサンやなあ。
アンタのオヤジは。」


「ええとこもあるんですよ、ほんまに。」


「アンタはやっぱり変わってるわ。
まあ、そう思うんは自由やからそれはそれでええねんけど。」

二人でお喋りをしていると時間が経つのを忘れ、あっという間に時間が経過し、昼過ぎに無事に姫路駅に到着した。


「着きましたねえ。」


「そやね。」


「姫路城って、駅から離れてるんですねえ。
知らんかったわ。」


「アンタほんまにどこも連れてってもろてへんねんね。
気の毒やわ。

とりあえず、そこのデパートのレストランでお昼食べよか。」


「えっ!レストラン!

いいんですか」


「ええよ、ワタシの奢りや」


「めっちゃ嬉しいです。
ウチ、デパートのレストランでご飯食べるの夢やったんですう。」


「えらいちっこい夢やなあ。
ワタシと百恵のちんこ並みや。」


「うわあ、姉さん
お下劣~」


「ごめんごめん
たしかにはしたない事言うてしもたな。

でも、レストラン行きたいんやったら大阪おる時、高島屋とか大丸連れてったったのに。

早よ言いや。」


「そんな贅沢出来ません」


「アホ、アンタもそれくらい稼いでるんやろ?
行きたかったら行ったらええねんで。」


「それやったら、今度、虹のまちの不二家に連れてってください。
あそこもずっとウチの憧れやったんです。」


「わかったわかった。

連れてく連れてく。

とりあえず今日はここな。

何食べる?」


「えーっ、どないしよう

やっぱりハンバーグかなあ。」


「じゃあ百恵はハンバーグな。

ワタシはカツカレーにしょうかな。」


百恵は胸躍る思いで、料理が来るのを待った。
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