タイは若いうちに行け

フロイライン

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破壊と和解

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広野さんと久しぶりにやり取りが出来て、いつもの長い電車の中での時間も、有意義にすごす事が出来た。


お母さんと楓悟には、帰ってから部屋でゆっくり返信した。


ふう…


終わった終わった。


お母さんはあっさりとしたやり取りだったんだけど、楓悟は、何度も返信してくるもんだから、その度にワタシも返してたら、すっかり遅くなっちゃった。


そろそろお風呂に入んなきゃ。


そう、思って着替えを取ろうとした瞬間、部屋をノックする音が耳に入ってきた。


この時間帯

部屋をノック…


間違いなく、賢太だ…


あの事件以来、互いに気まずくなって、会話どころか顔を合わすのを避けているような感があった。


なのに…


「あの、ちょっといいかな」


ドアの向こうから、やはり賢太の声が聞こえてきた。





しゃあない



「うん。

どうぞ…」


ワタシがそう返事すると、ゆっくりドアが開き、賢太が緊張した面持ちで中に入ってきた。


「どうしたの?」



「あ、いや…」


賢太は何か話しにくそうにしてたので、ワタシが助け舟を出した。


「何か話があるから来たんでしょ?

いいよ、何でも話して。」



「あ、うん…


あの、専門学校に行くんやな?

楓悟と一緒のお菓子の。」



「うん。

そうよ。

それがどうかした?」


「いや、アイツから聞いたんだけど、ここを出て一人暮らししようと思ってんやろ?」


「楓悟が言ってた?

もう、アイツ喋りなんだから。


そうだね。一人暮らしをするつもりよ。」



「あの…俺があんな事したから…

出ていくんやろ?」



「えっ

いや、違うよ。」


「でも…」


「たしかに、アレは多少はショック受けたけど、ワタシも元々男だったワケだし、そんな事で引いて出ていくほどヤワじゃないよ。」


「それやったらええけど…」


「ワタシさあ、ホントだったら三月くらいまでこっちにお世話になって、四月からは東京に戻ろうとしてたのよ…最初はね。

でも、楓悟と付き合うようになって、こっちに居る理由が出来たってか…」


ホント、コレなんだよなあ、岡山に住み続ける理由は。

まさか彼氏が出来るとは思ってなかったわけだし、妹尾さんの言う通り、サイアクの理由でこっちに残るのです、ハイ。


この気持ちを理解してくれる人っているんだろうか…


やっぱり広野さんよね。

早く会って、いっぱいお話ししたい。
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