タイは若いうちに行け

取材

OHKというテレビ局の取材のインタビューを受けたワタシは、これまでの経緯、今の自分の気持ち、これからどう生きていきたいかを取材してくれた女性の記者さんに、その全てを語った。

その模様は、ニュースワイドショーのような番組の中で放送され、神野教授のインタビューなども合わさり、かなり長めの時間にまとめられていた。
ワタシのインタビューも一部はカットされたが、大部分が採用された。

ワタシをインタビューしてくれた人が若くて可愛い女性で、話し上手の聞き上手だったのと、顔にモザイク処理もしてくれて、声まで変えてくれたので、ワタシもついつい喋りすぎてしまった。

調子に乗りすぎたなあ、なんて考えたが、時すでに遅し…

地元のローカルテレビ局だというとこで軽く考えていた感は否めない。


でも、現代社会においては、違法に上げる人の他、番組もすぐにYouTubeに公式チャンネルでupし、岡山以外の人も見られるような環境にある。

そんなわけで、ワタシの性転換事件は、一気に世間に広まってしまったのである。

東京では、通っていた高校の同級生達、こちらではアルバイト先の人達に知られたかもしれない。


あー、しくじった！


楓悟、賢太ファミリー、お母さんはYouTubeで見たらしく、驚きの反応を見せた。


それでも、そこは事情を知っている人達なので、前向きというか…肯定的に捉えてくれて、それほど悪印象ではなかったようだ。

楓悟に至っては、なんか泣いてしまったって言ってた…


お母さんからも電話がかかってきて、色々聞かれたけど、この機会を利用して、ワタシに彼氏が出来た事を伝えた。

そしたら、この取材の話はそっちのけとなって、全部が吹っ飛んだみたいで、楓悟との事ばかりを質問してきた。
まあ、それもしゃあないか。

幸いな事に、職場の人達にはバレてないようだけど、それは本当に気付いていないのか、気を遣って何も言ってこないのかは不明である。


そんな中、叔父さんは、家に帰ってくると、慌てた様子でワタシのところにやってきた。


「雫ちゃん！
大変じゃあ！」



ワタシが部屋に入ってきた叔父さんの方を振り返ると、叔父さんはそのまま話を続けた。


「会いたいと言うとる！」


「えっ、誰が？」


「県知事が」


「県知事？」


「そうじゃ。

県知事言うても、元はうちの会社の社長をしとったんじゃ。

で、雫ちゃんの事をテレビで知ってじゃなあ、一度会うて話がしたいと言うとる。」



えっ…