タイは若いうちに行け

フロイライン

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思い出がいっぱい

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食事を終えたワタシ達は、アウトレットパークを見て回ったが、男子はそういうデートが退屈だろうと思い、早々に切り上げる事を提案した。


「ねえ、あの公園に行かない?」


「ええけど。
もう見なくていいの?」


「だってつまんないでしょ?

ワタシも昔は嫌いだったもん、こういうとこ。」



「へえ、そういう趣味も変わるんじゃな。」



「うん。
変わる変わる。何もかも変わるよ。」


「色々変わったからこそ、楓悟のことも好きになれたんだよ。」


「えっ

なんて言った?

もう一回言うて」



「だから、ワタシ自身の心のあり方とか、全てが変わったから、楓悟の事が大好きになれたの。」


「えっ、えっ


俺の事が何?

もう一回言うて」


「バカ

もう言わない」


「ごめんごめん

俺の事好きっていう言葉に感動したんじゃ。」


楓悟は顔を真っ赤にして謝ってきた。

ワタシも照れていたとは思うけど…


その後、ワタシ達は公園に向かい、丁度いい感じのベンチに座った。


周りにあまり人もおらず、ここで互いにバカップルの本領発揮をする事になる。


二人共、イチャイチャしたいという共通の思いがあったのか、体を密着させて手を繋いだまま、話を続けた。

それと、ワタシも気持ち的には女に近づいているとは思うんだけど、芯の部分は相変わらず男のままなのか、こういった場面ではナチュラルな女性のような恋の駆け引きが出来ない。
つまり、ストレートに楓悟に愛情をぶつけてしまうのよね。


「ねえ、楓悟
ホントにワタシでいいの?」


「何が?」


「だって元々の女じゃないし…」


「前も言うた筈

そんなの関係ないし
俺は雫が好き」


「楓悟…」


「話を聞く前も後も、雫を好きな気持ちは1ミリも変わっとらんし。
何ならもっと好きになったくらい」


「えっ、なんでよ」


「口では上手く言えんけど、雫はめちゃくちゃ苦労してきとんやから、俺が守ってやらないかんて思た。」


「ありがとう、楓悟」

ワタシは泣きそうになり、楓悟を見つめた。

そしたら、楓悟もワタシを見つめていた。

いつもだったら、照れて前を向いてる筈なのに。

なんでだろ?って一瞬思ったけど、すぐにその意味がわかった。


楓悟の顔は、そのままワタシの方にゆっくりと近づいてきた。


これは、ひょっとして…

一瞬、色んな事がワタシの頭を巡り、固まりそうになったけど、そのまま楓悟を見つめていた。

でも、すぐに目を瞑った。

楓悟の唇が、ワタシの唇に触れたからだ。


キスだ…


ワタシ、今


男の人とキスしてるよ…


キス自体は初めてではないけど、男の人とのキスはこれが初めてだった。
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