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answer song
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ワタシのカミングアウトは、楓悟を黙らせ、最悪の空気にしてしまった。
さっきまでの雰囲気はもうそこに存在しなかった。
「雫ちゃん」
「…」
ようやく楓悟がワタシの名前を呼んだけど、ワタシ自身は返事すら出来なかった。
「言いにくい話をしてくれてありがとう。」
「ごめんなさい…」
ワタシは泣いていた。
涙をポロポロ流しながら
そんなワタシの背中を楓悟が手を当ててくれたんだけど、その手があったかくて、絶望感に包まれるワタシの気持ちを少し和らげてくれた。
「雫ちゃん
俺、雫ちゃんの話を聞いて、びっくりしてしもて、一瞬言葉が出んようになったんやけど」
それはそうだろう…
ワタシが逆の立場でもそうなる
「でも、話聞いた後も、俺の気持ちは変わっとらんし…
やっぱり、雫ちゃんの事が好きじゃ。」
「えっ」
「俺は雫ちゃんの事、美人の女子やと思ってて、話も合うし、一緒にいてすごく楽しくて、あっという間に好きになった。
雫ちゃんの秘密やっていう話を、こうして今聞いたんやけど、自分の気持ちは全然変わってない…
だから…
よかったら、俺と付き合ってくれん?」
楓悟は意外なことに、ワタシが元男だと知っても付き合いたいと言ってきた。
いや、ワタシは楓悟なら、必ずこう言ってくれると心のどこかで信じていたからこそ、秘密を打ち明けたんだと思う。
「楓悟クン
ホントにいいの?」
「もちろん。
雫ちゃんが俺と付き合うのがイヤやったら諦めるけど、もし、そうやないんやったら、付き合うて欲しい。」
「楓悟クン
ワタシも好き。
楓悟クンのことが…」
「それやったら、付き合ってくれる?」
「こんなワタシでよければ…」
ワタシが答えると、楓悟は握っていた手を離し、ワタシの肩に手を回し、自分の方に引き寄せた。
「もう、こんなにくっついたら歩けないよ」
「あ、ごめん
気持ちが昂ってしもた」
楓悟はすぐにその手を離し、頭を掻いて照れ笑いを浮かべた。
「楓悟クン
でも、やっぱりワタシが男だったって事実は永遠に消えない事だし、どうしようもない事だから。
もし、付き合ってて、何か違うってなったときは、言って欲しいの。
ムリしてもらって付き合い続けるのもダメだと思うし、楓悟クンて優しいから、そう感じても言えないと思うのよね。
それは、ワタシにとっても辛い事だから、ハッキリ言って欲しい。」
「わかった。
雫ちゃんがそう言うんやったら、従うよ。」
こうして、ワタシは岡山に来て早々に、親戚以外の人に秘密を打ち明けてしまい…
その結果、男性の恋人が出来たのだった。
さっきまでの雰囲気はもうそこに存在しなかった。
「雫ちゃん」
「…」
ようやく楓悟がワタシの名前を呼んだけど、ワタシ自身は返事すら出来なかった。
「言いにくい話をしてくれてありがとう。」
「ごめんなさい…」
ワタシは泣いていた。
涙をポロポロ流しながら
そんなワタシの背中を楓悟が手を当ててくれたんだけど、その手があったかくて、絶望感に包まれるワタシの気持ちを少し和らげてくれた。
「雫ちゃん
俺、雫ちゃんの話を聞いて、びっくりしてしもて、一瞬言葉が出んようになったんやけど」
それはそうだろう…
ワタシが逆の立場でもそうなる
「でも、話聞いた後も、俺の気持ちは変わっとらんし…
やっぱり、雫ちゃんの事が好きじゃ。」
「えっ」
「俺は雫ちゃんの事、美人の女子やと思ってて、話も合うし、一緒にいてすごく楽しくて、あっという間に好きになった。
雫ちゃんの秘密やっていう話を、こうして今聞いたんやけど、自分の気持ちは全然変わってない…
だから…
よかったら、俺と付き合ってくれん?」
楓悟は意外なことに、ワタシが元男だと知っても付き合いたいと言ってきた。
いや、ワタシは楓悟なら、必ずこう言ってくれると心のどこかで信じていたからこそ、秘密を打ち明けたんだと思う。
「楓悟クン
ホントにいいの?」
「もちろん。
雫ちゃんが俺と付き合うのがイヤやったら諦めるけど、もし、そうやないんやったら、付き合うて欲しい。」
「楓悟クン
ワタシも好き。
楓悟クンのことが…」
「それやったら、付き合ってくれる?」
「こんなワタシでよければ…」
ワタシが答えると、楓悟は握っていた手を離し、ワタシの肩に手を回し、自分の方に引き寄せた。
「もう、こんなにくっついたら歩けないよ」
「あ、ごめん
気持ちが昂ってしもた」
楓悟はすぐにその手を離し、頭を掻いて照れ笑いを浮かべた。
「楓悟クン
でも、やっぱりワタシが男だったって事実は永遠に消えない事だし、どうしようもない事だから。
もし、付き合ってて、何か違うってなったときは、言って欲しいの。
ムリしてもらって付き合い続けるのもダメだと思うし、楓悟クンて優しいから、そう感じても言えないと思うのよね。
それは、ワタシにとっても辛い事だから、ハッキリ言って欲しい。」
「わかった。
雫ちゃんがそう言うんやったら、従うよ。」
こうして、ワタシは岡山に来て早々に、親戚以外の人に秘密を打ち明けてしまい…
その結果、男性の恋人が出来たのだった。
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