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晴れルヤ
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岡山という新天地での生活は、とても楽しく、ワタシの毎日は充実している。
そして、今日は、ワタシの充実感の源である楓悟とのデートの日だ。
女子としてのワタシの現在地の全てを、化粧、服装にぶつけ、最高の状態(あくまでもワタシの基準)にして、待ち合わせ場所である岡山駅の桃太郎像の前に行った。
既に楓悟が来てる!
そうなるわなあ
「ごめん、お待たせ」
「俺が早く着きすぎただけやから。」
楓悟は照れくさそうにして笑って言った。
「この像いいよね?
わかりやすくて。
渋谷のハチ公みたいで。」
「でも、来年には撤去されるらしいよ。」
「えーっ、なんで?」
「この辺整備するんだって。」
「それは残念ねえ」
「そうじゃなあ。
これやったら30分のバスに乗れそうやな。
乗る?」
「うん。乗る」
ここで、楓悟が思わぬ行為に出た。
ワタシに手を差し伸べてきたのである。
一瞬、ん?ってなったけど、ワタシもごく当たり前のようにその手を握った。
手、繋いでる!
楓悟はさりげなくやってきたのに、手を握り合った後は、異常なまでにぎこちない。
「あっ、えーっと
バスに早く乗っても、アレじゃあ
映画の始まる時間決まっとるし、早よ着きすぎて向こうで待たないかんのう」
だから、ぎこちないって…
「いいじゃん。
向こうで待ってたら。
遅れるよりずっといいよ。」
「そうやんなあ
雫ちゃんもそういうタイプ?
俺も。」
そんな話をしながらバス停に行くと、ちょうどバスが来たとこだった。
そのバスは入口が前に一個しかなく、降りる人が先に降りてから、乗車する人が乗るっていうルールのものだった。
でも、ここが始発だったので、ワタシ達はそのままバスに乗り、整理券を取って奥に進んだ。
少し奥の二人掛けの席に、ワタシが窓側、楓悟が通路側に座った。
なんか、こういう小さな事に感動しちゃうのよね。
それと、楓悟の肩から腕がワタシのそれと当たってる。
肌の温もりっていうの?
そういうのが伝わってくる…
それは、さすがにドキドキする
楓悟もなんか緊張してる。
口数がない。
ワタシ、男なんだけどなあ…
もう、今は女だっていう気持ちが殆どを占めてるから、男子とデートするのも楽しめてるんだけど、相手は別だよね
いつか、ワタシがカミングアウトした時、楓悟はどうするのかなあ。
多分、ショックを受けて、サヨナラなんてことになりそう
もし、そんな事になったら…
今のワタシは傷つきまくるだろうなあ
そして、今日は、ワタシの充実感の源である楓悟とのデートの日だ。
女子としてのワタシの現在地の全てを、化粧、服装にぶつけ、最高の状態(あくまでもワタシの基準)にして、待ち合わせ場所である岡山駅の桃太郎像の前に行った。
既に楓悟が来てる!
そうなるわなあ
「ごめん、お待たせ」
「俺が早く着きすぎただけやから。」
楓悟は照れくさそうにして笑って言った。
「この像いいよね?
わかりやすくて。
渋谷のハチ公みたいで。」
「でも、来年には撤去されるらしいよ。」
「えーっ、なんで?」
「この辺整備するんだって。」
「それは残念ねえ」
「そうじゃなあ。
これやったら30分のバスに乗れそうやな。
乗る?」
「うん。乗る」
ここで、楓悟が思わぬ行為に出た。
ワタシに手を差し伸べてきたのである。
一瞬、ん?ってなったけど、ワタシもごく当たり前のようにその手を握った。
手、繋いでる!
楓悟はさりげなくやってきたのに、手を握り合った後は、異常なまでにぎこちない。
「あっ、えーっと
バスに早く乗っても、アレじゃあ
映画の始まる時間決まっとるし、早よ着きすぎて向こうで待たないかんのう」
だから、ぎこちないって…
「いいじゃん。
向こうで待ってたら。
遅れるよりずっといいよ。」
「そうやんなあ
雫ちゃんもそういうタイプ?
俺も。」
そんな話をしながらバス停に行くと、ちょうどバスが来たとこだった。
そのバスは入口が前に一個しかなく、降りる人が先に降りてから、乗車する人が乗るっていうルールのものだった。
でも、ここが始発だったので、ワタシ達はそのままバスに乗り、整理券を取って奥に進んだ。
少し奥の二人掛けの席に、ワタシが窓側、楓悟が通路側に座った。
なんか、こういう小さな事に感動しちゃうのよね。
それと、楓悟の肩から腕がワタシのそれと当たってる。
肌の温もりっていうの?
そういうのが伝わってくる…
それは、さすがにドキドキする
楓悟もなんか緊張してる。
口数がない。
ワタシ、男なんだけどなあ…
もう、今は女だっていう気持ちが殆どを占めてるから、男子とデートするのも楽しめてるんだけど、相手は別だよね
いつか、ワタシがカミングアウトした時、楓悟はどうするのかなあ。
多分、ショックを受けて、サヨナラなんてことになりそう
もし、そんな事になったら…
今のワタシは傷つきまくるだろうなあ
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