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充足感
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バイト初日を無事に終え、ワタシは満足感に包まれながら帰宅した。
タイで女にされて以来、学校にも行かず、言ったら社会から身を隠すようにして生きてきたワタシ。
でも、今日、ようやく社会に出る事ができた。
ほんの少し、極々狭くて小さなサークルの中ではあるけど。
世の中から抹消された感覚でいたワタシだったけど、なんとか自分の存在感ていうのを示す事が出来たんだ。
本当に嬉しい。
「おう、お疲れ」
家に帰ると、賢太が声をかけてくれた。
「ただいま、賢太。」
「どうじゃった?仕事は」
「まあ、なんとかね。
みんな優しいし、すごく楽しかった。
叔父さんも顔出してくれたし。」
「そうか。
それは良かったな。なんかお前、楽しそうやもんな。」
「そう?
そうかなあ」
「三村も心配しとったわ。
お前がちゃんと仕事出来てんのかなあって。」
「うん。LINEが山ほど来てるし。
後で返しとくわ。」
ワタシはそう言って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、楓悟にバイト初日が無事に終わった事と、さっき家に帰ってきたという内容を送った。
間髪入れずに楓悟からの返信があり、今から電話してもいいか?という内容のものだった。
まあ、ヒマだしいいか…なんて思い、OKすると。
これまた即、電話をかけてきた。
「もしもし」
「あ、雫ちゃん
お疲れ様」
「ありがとう。」
「どうじゃった?」
「まあ、なんとかね。
初日にしては、自分としてはやれたんじゃないかなあ。」
「それはよかった。
なあ、雫ちゃん
明後日の映画のことなんじゃけど」
「うん。
すごく楽しみにしてるよ」
「えっ?
やっぱり俺と行ってくれるん?」
「当たり前じゃん。
誰と行くのよ。」
「いや、俺が強引に誘うたから、雫ちゃん…
よう断れんかったんかと思て。」
「イヤならイヤってハッキリ言うし、そんなの気にしないでよ。
楓悟クンと一緒にいるとすごく楽しいんだよ、ホント。」
「えっ、えっ
マジか!
やった!」
電話の向こうで、アタフタしてるのがわかる。
やっぱりコイツ、本当に可愛い。
「また、待ち合わせの時間を教えてね。」
「じゃったら、8時半に岡山駅東口を出たとこの桃太郎像の前でええかな」
「うん。わかりやすくていいわ」
ワタシ達は明後日の事を再確認し合い、電話を切った。
この胸の疼くような感覚…
これは…やっぱり恋なのかなあ
タイで女にされて以来、学校にも行かず、言ったら社会から身を隠すようにして生きてきたワタシ。
でも、今日、ようやく社会に出る事ができた。
ほんの少し、極々狭くて小さなサークルの中ではあるけど。
世の中から抹消された感覚でいたワタシだったけど、なんとか自分の存在感ていうのを示す事が出来たんだ。
本当に嬉しい。
「おう、お疲れ」
家に帰ると、賢太が声をかけてくれた。
「ただいま、賢太。」
「どうじゃった?仕事は」
「まあ、なんとかね。
みんな優しいし、すごく楽しかった。
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「そうか。
それは良かったな。なんかお前、楽しそうやもんな。」
「そう?
そうかなあ」
「三村も心配しとったわ。
お前がちゃんと仕事出来てんのかなあって。」
「うん。LINEが山ほど来てるし。
後で返しとくわ。」
ワタシはそう言って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、楓悟にバイト初日が無事に終わった事と、さっき家に帰ってきたという内容を送った。
間髪入れずに楓悟からの返信があり、今から電話してもいいか?という内容のものだった。
まあ、ヒマだしいいか…なんて思い、OKすると。
これまた即、電話をかけてきた。
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お疲れ様」
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「どうじゃった?」
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初日にしては、自分としてはやれたんじゃないかなあ。」
「それはよかった。
なあ、雫ちゃん
明後日の映画のことなんじゃけど」
「うん。
すごく楽しみにしてるよ」
「えっ?
やっぱり俺と行ってくれるん?」
「当たり前じゃん。
誰と行くのよ。」
「いや、俺が強引に誘うたから、雫ちゃん…
よう断れんかったんかと思て。」
「イヤならイヤってハッキリ言うし、そんなの気にしないでよ。
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「えっ、えっ
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「また、待ち合わせの時間を教えてね。」
「じゃったら、8時半に岡山駅東口を出たとこの桃太郎像の前でええかな」
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