55 / 55
充足感
しおりを挟む
バイト初日を無事に終え、ワタシは満足感に包まれながら帰宅した。
タイで女にされて以来、学校にも行かず、言ったら社会から身を隠すようにして生きてきたワタシ。
でも、今日、ようやく社会に出る事ができた。
ほんの少し、極々狭くて小さなサークルの中ではあるけど。
世の中から抹消された感覚でいたワタシだったけど、なんとか自分の存在感ていうのを示す事が出来たんだ。
本当に嬉しい。
「おう、お疲れ」
家に帰ると、賢太が声をかけてくれた。
「ただいま、賢太。」
「どうじゃった?仕事は」
「まあ、なんとかね。
みんな優しいし、すごく楽しかった。
叔父さんも顔出してくれたし。」
「そうか。
それは良かったな。なんかお前、楽しそうやもんな。」
「そう?
そうかなあ」
「三村も心配しとったわ。
お前がちゃんと仕事出来てんのかなあって。」
「うん。LINEが山ほど来てるし。
後で返しとくわ。」
ワタシはそう言って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、楓悟にバイト初日が無事に終わった事と、さっき家に帰ってきたという内容を送った。
間髪入れずに楓悟からの返信があり、今から電話してもいいか?という内容のものだった。
まあ、ヒマだしいいか…なんて思い、OKすると。
これまた即、電話をかけてきた。
「もしもし」
「あ、雫ちゃん
お疲れ様」
「ありがとう。」
「どうじゃった?」
「まあ、なんとかね。
初日にしては、自分としてはやれたんじゃないかなあ。」
「それはよかった。
なあ、雫ちゃん
明後日の映画のことなんじゃけど」
「うん。
すごく楽しみにしてるよ」
「えっ?
やっぱり俺と行ってくれるん?」
「当たり前じゃん。
誰と行くのよ。」
「いや、俺が強引に誘うたから、雫ちゃん…
よう断れんかったんかと思て。」
「イヤならイヤってハッキリ言うし、そんなの気にしないでよ。
楓悟クンと一緒にいるとすごく楽しいんだよ、ホント。」
「えっ、えっ
マジか!
やった!」
電話の向こうで、アタフタしてるのがわかる。
やっぱりコイツ、本当に可愛い。
「また、待ち合わせの時間を教えてね。」
「じゃったら、8時半に岡山駅東口を出たとこの桃太郎像の前でええかな」
「うん。わかりやすくていいわ」
ワタシ達は明後日の事を再確認し合い、電話を切った。
この胸の疼くような感覚…
これは…やっぱり恋なのかなあ
タイで女にされて以来、学校にも行かず、言ったら社会から身を隠すようにして生きてきたワタシ。
でも、今日、ようやく社会に出る事ができた。
ほんの少し、極々狭くて小さなサークルの中ではあるけど。
世の中から抹消された感覚でいたワタシだったけど、なんとか自分の存在感ていうのを示す事が出来たんだ。
本当に嬉しい。
「おう、お疲れ」
家に帰ると、賢太が声をかけてくれた。
「ただいま、賢太。」
「どうじゃった?仕事は」
「まあ、なんとかね。
みんな優しいし、すごく楽しかった。
叔父さんも顔出してくれたし。」
「そうか。
それは良かったな。なんかお前、楽しそうやもんな。」
「そう?
そうかなあ」
「三村も心配しとったわ。
お前がちゃんと仕事出来てんのかなあって。」
「うん。LINEが山ほど来てるし。
後で返しとくわ。」
ワタシはそう言って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、楓悟にバイト初日が無事に終わった事と、さっき家に帰ってきたという内容を送った。
間髪入れずに楓悟からの返信があり、今から電話してもいいか?という内容のものだった。
まあ、ヒマだしいいか…なんて思い、OKすると。
これまた即、電話をかけてきた。
「もしもし」
「あ、雫ちゃん
お疲れ様」
「ありがとう。」
「どうじゃった?」
「まあ、なんとかね。
初日にしては、自分としてはやれたんじゃないかなあ。」
「それはよかった。
なあ、雫ちゃん
明後日の映画のことなんじゃけど」
「うん。
すごく楽しみにしてるよ」
「えっ?
やっぱり俺と行ってくれるん?」
「当たり前じゃん。
誰と行くのよ。」
「いや、俺が強引に誘うたから、雫ちゃん…
よう断れんかったんかと思て。」
「イヤならイヤってハッキリ言うし、そんなの気にしないでよ。
楓悟クンと一緒にいるとすごく楽しいんだよ、ホント。」
「えっ、えっ
マジか!
やった!」
電話の向こうで、アタフタしてるのがわかる。
やっぱりコイツ、本当に可愛い。
「また、待ち合わせの時間を教えてね。」
「じゃったら、8時半に岡山駅東口を出たとこの桃太郎像の前でええかな」
「うん。わかりやすくていいわ」
ワタシ達は明後日の事を再確認し合い、電話を切った。
この胸の疼くような感覚…
これは…やっぱり恋なのかなあ
2
お気に入りに追加
16
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
pretty preschool teacher
フロイライン
BL
愛多幼稚園新人教諭の石川遥は、その美貌と優しい性格から、子供達は勿論のこと、その保護者からも圧倒的な支持が寄せられていた。
しかし、遥には誰にも言えない秘密があった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる