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はたらくお姉さん

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「いらっしゃいませ
パピーカードはお持ちですか?」


ワタシは品物とカードを受け取り、レジを打った。


「1280円です」


子供連れのお母さんが頷き、現金をトレイに出した。

ワタシはお金を受け取り、またレジを打ち、ポイント付与したカードとお釣りを手渡し、小さな紙袋に入れて手渡した。


「ありがとうございました。」


にこやかに笑い、お辞儀を…っと


よし、出来た。


「完璧じゃあ、酒井さん」


隣でワタシの動きを見ていた関藤さんが、ワタシの肩をポンポンと叩いて褒めてくれた。


「ありがとうございます。

あー、緊張した」


ワタシは初めてのレジ対応を終え、ホッと一息つきながら関藤さんに言った。

関藤さんは元々社員でいたらしいんだけど、定年になって、今はワタシと同じパートさんとして週に3回シフトに入っている。

同じパートといっても、ワタシは胸に「研修中」というパッチを付けており、ちょっと難しそうな事が起きたら、すぐに他の人に代わってもらえるための言い訳がきくようになっている。


「酒井さん、前にどっかで働いたことあるの?」


「いえ、初めてです。」


「へえ、初めてとは思えない落ちつきぶりじゃったけどなあ。」


「いえいえ、そんなことは…」


「あなた、顔も可愛いし、愛嬌もあるからモテるじゃろ?」


「そんなの、全然です」


「あら、そうなの?」


「はい。
ホントに」


「まあ、それはええが。

わからない事があったら、私に聞いてね。」


「はい。
よろしくお願いします。」



女としてこういう風に働くのは不安だったけど、なんとか頑張れそうだ。

この関藤さんも優しくしてくれるし、社員の人もみんな親切だ。



午後三時頃、雄太叔父さんがワタシのところに来てくれた。


「どうじゃ?雫ちゃん

頑張っとるか?」


と、言いながら。


「あっ

お疲れ様です。
どうしてここへ?」


「あー、ワシはバイヤーじゃから、週に何回かは店ラウンドするんじゃ、何店舗もな。」


「あー、なるほど」


「ここのお姉さん達は怖いからなあ。
虐められとるんとちがうか?」


「いえ、みんな優しくしてくれます。」


「酷い事言うねえ、平松さん

久々に来てくれた若い子なんじゃから優しくするわよ。」

社員の佐藤チーフさんが反論した。


「まあ、東京から来て間もないし、仕事も初めてなんでわからんことが山ほどあると思う。

面倒見たってくれ」


叔父さんはそう言うと、自分の担当している部署に戻っていった。


「平松さんも心配なんじゃねえ。酒井さんの事が」


佐藤チーフさんは、ワタシを見つめて笑って言った。

ここの売場では若めの三十代半ばってところかな。
美人だし、好き。
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