タイは若いうちに行け

フロイライン

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大使

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「東京に比べるのもアレじゃけど、何もないじゃろ?
岡山は」

岡山駅東口のエスカレーターに乗りながら賢太は後ろのワタシに振り返って言った。


「ううん。思ったより都会でビックリした。
8階建てで地下もあるイオンなんて他にないんじゃない?」


「あーいうデカいイオンがある自体田舎やし。」


「そうかなあ。

でも、便利そうだし、気に入ったよ
この辺」


「それならええけど。」

そんな話をしながら、二人でバス停まで歩いていくと、バスを待つ人達が結構並んでた。


「平松」

その列の中から、賢太の名前を呼ぶ者がいた。

「あ、三村」

賢太と同じ制服と同じ鞄を持っているので、一緒の学校の友達だろうと思った。
純朴そうな感じの人だ。

三村と呼ばれた人は、賢太の隣のワタシの存在に気づき、ハッとした顔をして話をやめた。

賢太もそれに気付いたのか、ワタシを指差して

「親戚。
こっちに引っ越してきたんじゃ。昨日。

な?」

と、振ってきた。


「うん。

えっと、酒井雫といいます。」


ワタシは女声で挨拶をし、頭を下げた。

「あ、こんにちは

俺、平松と一緒のクラスなんす。
三村楓悟といいます。
よろしくお願いします。」

三村君はそう言ってペコリと頭を下げた。


「みんな同い年なんじゃし、敬語なんか使わんでええよ。」


「雫さんはどちらから?」


「東京です。」


それでもやっぱり敬語になってしまう。


「東京かあ。

なんで岡山に?」


「ちょっと色々あって、賢太君の家に住ませてもらう事になったんです。」


「へえ。」


「三村、もうバス来るで、お前の方。」

賢太は前の方を覗き込みながら言うと、三村君は

「こうやって会えたのも何かの縁じゃし、ちょっと話さん?」

と、賢太に言った。


「話す?三人でかよ

どこで」


「とりあえず天満屋まで行こうや。」


「って言うとるけど、雫
どうする?」


「ワタシは何も予定ないし、別にいいよ。」


「ありがとうございますっ!」

三村君はワタシの言葉にかぶせるようにして礼を言った。


「じゃあ行くか」

三人は同じバスに乗り、天満屋バスセンターというところに降り立った。
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