タイは若いうちに行け

フロイライン

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新天地

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岡山に着いた。

ワタシとお母さんは、新幹線の改札を出て、エスカレーターを降りると、目の前にバスターミナルがあり、そこからバスに乗った。

「久しぶりよね、おばあちゃんのお家に来るの。」


「そうね。
最後に来たのは、雫が小六だったかしら。」


「うん。
岡山来るのもそれ以来かあ」

ワタシはバスの窓から見える路面電車(チャギントン号)を眺めながら、ふと懐かしく思った。

ワタシ達を乗せたバスは、一旦バスセンターに入り、新しいお客さんを乗せてまた走り出した。


そこから少し行くと、日本三大庭園に数えられる後楽園が見えてきた。


「後楽園の次で降りるわよ」


お母さんはそう言って降車の準備を始めた。

何となく思い出してきた…
たしかこの辺だったなあ

おばあちゃんのお家。


このバス停ではワタシ達しか降りなかった。


そうそう
このバス停から、一つ筋に入ったところにおばあちゃんの家がある。


ほら、あった。

この辺は住宅街で岡山の中でも家が密集しているので、一戸建てだけど、そんなには大きな家じゃない。

お母さんは門扉のところにあるインターホンのとところまで行き、ボタンを押した。

インターホンからは全く反応はなかったが、すぐにドアが開き、おばあちゃんが出てきた。


おばあちゃんは今年六十六歳になるが、実に若々しく見える。
可愛らしいおばあちゃんだ。


「おばあちゃん、久しぶり」

ワタシは、もう開き直りの心境で女声で言った。

ワタシの見た目で既に固まってしまったおばあちゃんだったが、声を聞いて、さらにビックリした様子だった。


「まあ、翔ちゃん

すごく可愛くなっちゃって」


それでも、おばあちゃんは笑みを浮かべて、精一杯明るく接してくれた。

「お母さん、無理言ってごめんね

翔太じゃなくて、この子、雫に改名したの。

申し訳ないけど、雫がお世話になりますね。
私も一泊させてもらうから。」


「ああ、もちろん大歓迎よ。

そんな事より、早く中に入り」


おばあちゃんはワタシ達を家の中に招き入れた。


「お邪魔しまーす」

ワタシは靴を脱ぎ、部屋に上がった。


そのときである


ドタドタと階段を降りてくる音がした。

そして、降りてきたのは…



「翔太!

えっ、翔太?」 


ガサツな言い方でワタシの前の名前で呼ぶヤツ


それは、従兄弟の賢太だった。



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