133 / 160
三本の矢
しおりを挟む
「おかえりー」
遥が帰宅すると、既に男二人は家にいた。
「ただいま。
二人ともご飯まだだよね?
すぐ作るわ。」
遥がそう言うと、凛太郎が手で制した。
「いや、飯はいい。
ちょっとだけ三人で話がしたいんだけど、いいか?」
「えっ…」
遥は、少し身構え、大輝の方を見たが、何も言わずに頷くだけだった。
三人は、いつも食事をするテーブルに着くと、凛太郎が代表して話し始めた。
「年始早々の遥の結婚宣言を受け、俺もこの共同生活の終わりが近いと感じたわけだ。
大輝もな。」
大輝も黙って頷いた。
「まあ、遥はいつ結婚するかわかんないと言ってたけど、相手の境遇からして、早くなる事も十分に考えられる。」
「うん…わかんないけど
それは、あるかも…」
「そうなったとき、ここを遥が出ていき、俺と大輝は二人になってしまう。
三人で払ってた家賃が二人で払う事になるだけで、多少は厳しくなるけど、払えない事もない。
だけど、男二人で暮らすのもなあって…」
「でも、ワタシもここに住み始めた時はフツーに男だったし…」
「学生のときと、社会人になってからじゃ話が違うよ。
それに、三人と二人では、大きく意味が変わってくる。」
「うん…それは…」
「何が言いたいかっていうと、俺らも覚悟を決めて、予め準備をしておかなきゃならないって事。
だから、日にちを決めときたい。」
「日にち?」
「そう。
お前の動向如何にかかわらず、同居解消の日にちをな。
そしたら、次に住むとこも見つけやすいし、いきなりで慌てふためく事もないだろ。」
凛太郎がそう言うと、大輝も頷いた。
「俺もその意見に賛成で、遥の意見を聞きたい。」
「ワタシは…
まだ、ハッキリといつだって言えないんだけど、前に比べたら、何となく結婚出来るのかなあって思うようになってて。」
「よし、俺は読めたぞ。
遥の結婚Xデーは、六月と見た!」
「単にジューンブライドってだけだろ」
凛太郎に大輝がツッコミを入れると、凛太郎はスカして、そのまま話を続けた。
「五月末でここを卒業する。
それでどうだろう。」
「俺もそれくらいが丁度いいと思う。
遥もいいな?」
「えっ…」
「バカだなあ、遥
お前はまだ結婚できるか不安でいるんだろ?
でも、五月末にここを出なきゃならないことをシングルファーザーに報告する。
そしたら、シングルは、だったらウチに住みなさい、結婚しようってなるはずだよ。
つまり、ここの生活を解消する日が、お前の結婚する日を確定させる事になる。
どうだ?」
「どうだって言われても…」
遥は、その表情に戸惑いの色を見せたが、凛太郎の話には一理あると思った。
遥が帰宅すると、既に男二人は家にいた。
「ただいま。
二人ともご飯まだだよね?
すぐ作るわ。」
遥がそう言うと、凛太郎が手で制した。
「いや、飯はいい。
ちょっとだけ三人で話がしたいんだけど、いいか?」
「えっ…」
遥は、少し身構え、大輝の方を見たが、何も言わずに頷くだけだった。
三人は、いつも食事をするテーブルに着くと、凛太郎が代表して話し始めた。
「年始早々の遥の結婚宣言を受け、俺もこの共同生活の終わりが近いと感じたわけだ。
大輝もな。」
大輝も黙って頷いた。
「まあ、遥はいつ結婚するかわかんないと言ってたけど、相手の境遇からして、早くなる事も十分に考えられる。」
「うん…わかんないけど
それは、あるかも…」
「そうなったとき、ここを遥が出ていき、俺と大輝は二人になってしまう。
三人で払ってた家賃が二人で払う事になるだけで、多少は厳しくなるけど、払えない事もない。
だけど、男二人で暮らすのもなあって…」
「でも、ワタシもここに住み始めた時はフツーに男だったし…」
「学生のときと、社会人になってからじゃ話が違うよ。
それに、三人と二人では、大きく意味が変わってくる。」
「うん…それは…」
「何が言いたいかっていうと、俺らも覚悟を決めて、予め準備をしておかなきゃならないって事。
だから、日にちを決めときたい。」
「日にち?」
「そう。
お前の動向如何にかかわらず、同居解消の日にちをな。
そしたら、次に住むとこも見つけやすいし、いきなりで慌てふためく事もないだろ。」
凛太郎がそう言うと、大輝も頷いた。
「俺もその意見に賛成で、遥の意見を聞きたい。」
「ワタシは…
まだ、ハッキリといつだって言えないんだけど、前に比べたら、何となく結婚出来るのかなあって思うようになってて。」
「よし、俺は読めたぞ。
遥の結婚Xデーは、六月と見た!」
「単にジューンブライドってだけだろ」
凛太郎に大輝がツッコミを入れると、凛太郎はスカして、そのまま話を続けた。
「五月末でここを卒業する。
それでどうだろう。」
「俺もそれくらいが丁度いいと思う。
遥もいいな?」
「えっ…」
「バカだなあ、遥
お前はまだ結婚できるか不安でいるんだろ?
でも、五月末にここを出なきゃならないことをシングルファーザーに報告する。
そしたら、シングルは、だったらウチに住みなさい、結婚しようってなるはずだよ。
つまり、ここの生活を解消する日が、お前の結婚する日を確定させる事になる。
どうだ?」
「どうだって言われても…」
遥は、その表情に戸惑いの色を見せたが、凛太郎の話には一理あると思った。
3
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる