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最後の聖戦
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遥は彩に誘われて、きつもの居酒屋に来ていた。
女子二人のささやかな新年会
兼、週末のコンパの打ち合わせで。
いや、彩にとってはもう一つ
遥の結婚話を聞きたいという目的もあった。
「それじゃあ、乾杯」
「乾杯
先輩、今年もよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくね。
でも、寿退社するかもしれないんだよね?」
「いえ、全然
まだ何も決まってませんし、今年は何もない可能性だってあります。」
「そうなの?」
「はい。
カレの奥様が亡くなられてからまだ一年と少ししか経ってなくて、本当にいいのかなあって、事あるごとに思っちゃって。」
「そっか。
そうだったね。」
「でも、俊斗君がすごく懐いてくれて、ベッタリなんです。
そういうの見てたら、早く一緒に住んで、そばにいてあげたいなあなんて、思ったり。」
「うんうん。
わかるよ、その気持ち。」
「色々葛藤があります。」
「ねえ、遥ちゃん」
「なんですか?」
「こういう事聞くのもアレなんだけど…」
「いえ、言ってください。」
「俊斗君のお父さんと結婚するじゃない?
そしたら、自動的にって言ったら表現が悪いけど、俊斗君のお母さんになるよね。」
「はい。」
「遥ちゃん自身の子供は欲しいと思ってるの?」
「えっ…」
「だって、よく聞くじゃない。
相手に連れ子がいて、結婚した後に子供が出来たら、なんか関係がおかしくなったとか…」
「あ、ああ、そうですね…」
「遥ちゃんは、その辺のことどう考えてるのかなって。」
「ワタシは…
自分の子供は作るつもりはないです…」
「へえ、そうなんだね。
ちゃんと、そういうことも考えてるんだ。
偉いわね。
ワタシだったら、後になって色々考えて、どうしようってなると思う。」
「…」
もちろん、遥が子供を産めるわけがなく…必然的に俊斗オンリーの母親となる。
それでも、遥にとっては嬉しく、良太や俊斗にすごく感謝している。
しかし、もしも願いが叶うなら、子供を産んでみたい。
これは、遥のように性同一性障害で苦しむ人のほとんどが思うことだと言っても過言ではなかった。
遥も心の奥底では、そんな願望を持っていたが、現状でも幸せには変わりなく、彩の指摘を受けるまで、微塵も考えていなかった。
女子二人のささやかな新年会
兼、週末のコンパの打ち合わせで。
いや、彩にとってはもう一つ
遥の結婚話を聞きたいという目的もあった。
「それじゃあ、乾杯」
「乾杯
先輩、今年もよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくね。
でも、寿退社するかもしれないんだよね?」
「いえ、全然
まだ何も決まってませんし、今年は何もない可能性だってあります。」
「そうなの?」
「はい。
カレの奥様が亡くなられてからまだ一年と少ししか経ってなくて、本当にいいのかなあって、事あるごとに思っちゃって。」
「そっか。
そうだったね。」
「でも、俊斗君がすごく懐いてくれて、ベッタリなんです。
そういうの見てたら、早く一緒に住んで、そばにいてあげたいなあなんて、思ったり。」
「うんうん。
わかるよ、その気持ち。」
「色々葛藤があります。」
「ねえ、遥ちゃん」
「なんですか?」
「こういう事聞くのもアレなんだけど…」
「いえ、言ってください。」
「俊斗君のお父さんと結婚するじゃない?
そしたら、自動的にって言ったら表現が悪いけど、俊斗君のお母さんになるよね。」
「はい。」
「遥ちゃん自身の子供は欲しいと思ってるの?」
「えっ…」
「だって、よく聞くじゃない。
相手に連れ子がいて、結婚した後に子供が出来たら、なんか関係がおかしくなったとか…」
「あ、ああ、そうですね…」
「遥ちゃんは、その辺のことどう考えてるのかなって。」
「ワタシは…
自分の子供は作るつもりはないです…」
「へえ、そうなんだね。
ちゃんと、そういうことも考えてるんだ。
偉いわね。
ワタシだったら、後になって色々考えて、どうしようってなると思う。」
「…」
もちろん、遥が子供を産めるわけがなく…必然的に俊斗オンリーの母親となる。
それでも、遥にとっては嬉しく、良太や俊斗にすごく感謝している。
しかし、もしも願いが叶うなら、子供を産んでみたい。
これは、遥のように性同一性障害で苦しむ人のほとんどが思うことだと言っても過言ではなかった。
遥も心の奥底では、そんな願望を持っていたが、現状でも幸せには変わりなく、彩の指摘を受けるまで、微塵も考えていなかった。
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