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母と娘
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初めて、母と二人で料理を作った遥は、お節料理の作り方を熱心に学んだ。
「お母さんにお料理を教えてもらうのって初めてだよね。」
「小学校の低学年の時はよく使作ってたじゃない?
玉子焼きとか」
「あー、そうだったね。
でも、本当は中学とか高校の時も色々教えて欲しかったんだけど、なんか恥ずかしいっていうか、自分の本性がバレちゃいけないって思ってて」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?
別に料理するのが好きな男の子なんていっぱいいるわよ。
気にすることなかったのに。」
「何となくね。
自意識過剰になってたんだよ、あの頃はきっと」
遥はそう言って笑った。
「さて、これで一段落ついたから、ちょっと休憩よ。
お茶にしましょ」
「はーい」
奈津子と遥の親子はキッチンを出た。
「遥、あんたが瑛太君のお家に行ってる間に買い物に行ってね。
ケーキ買ってきたのよ、食べるでしょ?」
「えっ、やったあ。
アンデルセン?」
「うん。
好きな方を取って」
「えーっ、美味しそう!
どうしようかなあ
お母さん、どれにする?」
「ワタシはどっちでもいいわよ。
先に取りなさいって。」
「じゃあ、これにする。
エルドベーレだよね?
これ大好きなの。」
遥はカスタードと苺のケーキに、母はチョコレートのケーキを皿に取った。
「あっ、美味しい」
遥は一口ケーキを口に運ぶと、懐しい味に、思わず感嘆の声を上げた。
二人はコーヒーを飲み、ケーキを食べながら、思い出話に花を咲かせた。
「そうそう、お父さんが無理矢理遥にレスリング教室に通わせたよね。」
「そうよ。もう最悪だったわ、あのときは。」
「だって、あの頃は遥の心の中が女の子だなんて思ってなかったし、近所の女の子と仲良しで影響を受けてるくらいにしか、お父さんもお母さんも思ってなかったもの。」
「ごめんね。
期待に応えられなくて」
「何言ってんのよ。
遥の事を理解もせずに、苦しませたのはこっちの方なんだから。
ごめんね、すぐにわかってやれなくて。」
「お母さん…
こんな事、当事者以外には理解なんて出来ないし…無理もないことよ。
今、こうやってワタシの生き方を認めてくれてるだけでも、感謝してもしきれないのよ、本当。
ありがとう。」
「言ったでしょ?
私は女の子が欲しかったって。
こういう母娘関係に憧れてたのよ。
でも、それは遥が生まれてくるまでの話で、男の子としてあなたを授かったときには、心から嬉しく思ったわ。
私とお父さんの宝物だって…
どちらにしても、私の子どもとして生まれてきてくれてありがとうね。」
「やめてよ、お母さん…
ワタシ、涙腺ゆるゆるなんだから…」
と、言いながら、遥は大号泣した。
「お母さんにお料理を教えてもらうのって初めてだよね。」
「小学校の低学年の時はよく使作ってたじゃない?
玉子焼きとか」
「あー、そうだったね。
でも、本当は中学とか高校の時も色々教えて欲しかったんだけど、なんか恥ずかしいっていうか、自分の本性がバレちゃいけないって思ってて」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?
別に料理するのが好きな男の子なんていっぱいいるわよ。
気にすることなかったのに。」
「何となくね。
自意識過剰になってたんだよ、あの頃はきっと」
遥はそう言って笑った。
「さて、これで一段落ついたから、ちょっと休憩よ。
お茶にしましょ」
「はーい」
奈津子と遥の親子はキッチンを出た。
「遥、あんたが瑛太君のお家に行ってる間に買い物に行ってね。
ケーキ買ってきたのよ、食べるでしょ?」
「えっ、やったあ。
アンデルセン?」
「うん。
好きな方を取って」
「えーっ、美味しそう!
どうしようかなあ
お母さん、どれにする?」
「ワタシはどっちでもいいわよ。
先に取りなさいって。」
「じゃあ、これにする。
エルドベーレだよね?
これ大好きなの。」
遥はカスタードと苺のケーキに、母はチョコレートのケーキを皿に取った。
「あっ、美味しい」
遥は一口ケーキを口に運ぶと、懐しい味に、思わず感嘆の声を上げた。
二人はコーヒーを飲み、ケーキを食べながら、思い出話に花を咲かせた。
「そうそう、お父さんが無理矢理遥にレスリング教室に通わせたよね。」
「そうよ。もう最悪だったわ、あのときは。」
「だって、あの頃は遥の心の中が女の子だなんて思ってなかったし、近所の女の子と仲良しで影響を受けてるくらいにしか、お父さんもお母さんも思ってなかったもの。」
「ごめんね。
期待に応えられなくて」
「何言ってんのよ。
遥の事を理解もせずに、苦しませたのはこっちの方なんだから。
ごめんね、すぐにわかってやれなくて。」
「お母さん…
こんな事、当事者以外には理解なんて出来ないし…無理もないことよ。
今、こうやってワタシの生き方を認めてくれてるだけでも、感謝してもしきれないのよ、本当。
ありがとう。」
「言ったでしょ?
私は女の子が欲しかったって。
こういう母娘関係に憧れてたのよ。
でも、それは遥が生まれてくるまでの話で、男の子としてあなたを授かったときには、心から嬉しく思ったわ。
私とお父さんの宝物だって…
どちらにしても、私の子どもとして生まれてきてくれてありがとうね。」
「やめてよ、お母さん…
ワタシ、涙腺ゆるゆるなんだから…」
と、言いながら、遥は大号泣した。
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