97 / 160
些細なハナシ
しおりを挟む
「俺、自分の事をかなり過信してた部分があったんだ。
俺は出来るヤツだとか、頭がいいとか…」
「実際そうじゃん。
じゃないと広大なんて行けんよ」
「いや、井の中の蛙とは俺みたいな奴のことを言うんじゃ。
実際、広大なんて行かんと東大に入ろうと思うっとったし。」
「そうなん?」
「ああ。
高校に入るまでは、その気でおった。」
「…」
「でも、高校に入ったら、俺みたいなレベルの奴は掃いて捨てるほどいて、上には上がおるいうのがようわかった。」
「あそこは県内の天才達が集まるからね。」
「それでも、俺はまだモチベーションを保ってたから、ここから浮上してやるぞって心に誓って必死に勉強を頑張ったんだ。
でも、上位にいる奴らの上に立つことは、三年間一度も出来ずに終わってしまった。
俺は、勝てると思ってた自分が恥ずかしくなり、夢見る事を諦めたんだ。
結局広大に進んだ俺は、勝負は働き出してからっていう結論に達し、とにかく少しでも良いところで働こうと心に誓った。」
「うんうん」
「だけど、現実はそう甘くはなかった。
広島市内のまあ一流と呼ばれる会社に入ったものの…
詳しいことはまた思いだしてしまうけぇ、話したくないけど、結局は就職しても上手くいかんかった。
ただ、それだけの事なんじゃ。」
「そうなん…」
「俺も、このままじゃいけんのはようわかとるんじゃ。
でも、みんな、口に出さんでも心の中じゃあ、俺をバカにしとると思うようになって…
なんか知らんけど、怖なって、外に出れんようになってしもたんじゃ」
秀才と呼ばれ、周りから一目置かれて育ってきた瑛太は、挫折してからの奮起という気概が出なかったのだろう…
遥はそう思い、肩を落としてベッドに腰掛けたままの瑛太を見つめた。
「瑛太
ワタシからは偉そうに頑張れとか、負けるなとは気安く言えんけど…
ワタシはアンタのこと友達やと思うてるけぇ
また電話してきてよ。
こっちからもするし」
「え、ああ
ありがとう」
「電話番号知ってたっけ?」
「いや、知らん」
「じゃあ交換しよ。」
遥は携帯を取り出し、瑛太と連絡先の交換をした。
「それじゃあ、ワタシ行くね。
中に入れてくれてありがとう。」
「いや、こっちの方こそ…
来てくれたんがお前でよかったわ。」
瑛太は少しだけ口元を綻ばせ、遥に言った、
俺は出来るヤツだとか、頭がいいとか…」
「実際そうじゃん。
じゃないと広大なんて行けんよ」
「いや、井の中の蛙とは俺みたいな奴のことを言うんじゃ。
実際、広大なんて行かんと東大に入ろうと思うっとったし。」
「そうなん?」
「ああ。
高校に入るまでは、その気でおった。」
「…」
「でも、高校に入ったら、俺みたいなレベルの奴は掃いて捨てるほどいて、上には上がおるいうのがようわかった。」
「あそこは県内の天才達が集まるからね。」
「それでも、俺はまだモチベーションを保ってたから、ここから浮上してやるぞって心に誓って必死に勉強を頑張ったんだ。
でも、上位にいる奴らの上に立つことは、三年間一度も出来ずに終わってしまった。
俺は、勝てると思ってた自分が恥ずかしくなり、夢見る事を諦めたんだ。
結局広大に進んだ俺は、勝負は働き出してからっていう結論に達し、とにかく少しでも良いところで働こうと心に誓った。」
「うんうん」
「だけど、現実はそう甘くはなかった。
広島市内のまあ一流と呼ばれる会社に入ったものの…
詳しいことはまた思いだしてしまうけぇ、話したくないけど、結局は就職しても上手くいかんかった。
ただ、それだけの事なんじゃ。」
「そうなん…」
「俺も、このままじゃいけんのはようわかとるんじゃ。
でも、みんな、口に出さんでも心の中じゃあ、俺をバカにしとると思うようになって…
なんか知らんけど、怖なって、外に出れんようになってしもたんじゃ」
秀才と呼ばれ、周りから一目置かれて育ってきた瑛太は、挫折してからの奮起という気概が出なかったのだろう…
遥はそう思い、肩を落としてベッドに腰掛けたままの瑛太を見つめた。
「瑛太
ワタシからは偉そうに頑張れとか、負けるなとは気安く言えんけど…
ワタシはアンタのこと友達やと思うてるけぇ
また電話してきてよ。
こっちからもするし」
「え、ああ
ありがとう」
「電話番号知ってたっけ?」
「いや、知らん」
「じゃあ交換しよ。」
遥は携帯を取り出し、瑛太と連絡先の交換をした。
「それじゃあ、ワタシ行くね。
中に入れてくれてありがとう。」
「いや、こっちの方こそ…
来てくれたんがお前でよかったわ。」
瑛太は少しだけ口元を綻ばせ、遥に言った、
3
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる