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不変と普遍
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「えっ、何?」
樋口栄子は当然、奈津子の言った意味がわからずに戸惑いの表情を見せた。
「樋口さん、この子は遥なのよ。
今、里帰りしてきててね。」
「えっ、遥クン?」
「あ、ご無沙汰しています。
遥です。」
遥はぎこちなく頭を下げた。
「えーっ!
そういえば、なんとなく面影はあるけど…
遥クンなのね」
「はい。
すいません、こんな風になっちゃって」
遥は申し訳なさそうに言い、また頭を下げた。
「ううん。
すごくキレイじゃない!
おばちゃん、ビックリしちゃったわ。」
「親の私でも、最初にこの姿を見た時には腰を抜かしたくらいだから、そりゃビックリするわね。」
奈津子は声を出して笑った。
「これくらい可愛かったら全然アリだと思うよ。
遥クン…いや、遥ちゃんか
瑛太は、仕事辞めてずっと家にいるのよ。
ウチに来てハッパかけてよ。」
「瑛太が?」
「そうよ。
会社で何か嫌なことあったのか知らないけど、半年で辞めて広島からこっちに戻ってきて。
引きこもりみたいになってんのよ。
もう困っちゃって。」
「そうなんですか…
色々辛いことがあったんじゃないですか。」
「遥ちゃんは何してんの?」
「ワタシですか?
幼稚園の教諭をさせてもらっています。」
「えーっ、スゴイ!
女性として?」
「えっ、はい
理解ある理事長さんのおかげで…」
「偉いわね。
ホントに」
「そんな事ないです。」
「ところでいつまでこっちにいるの?」
「三日の昼頃までいて、東京に戻ります。」
「そうなのね。
だったら、こっちにいる間に、ホントにウチに一度遊びに来て。
瑛太、引きこもりだから外部の人と接触したがらないんだけど、遥ちゃんなら会うと思うし。」
「はい。
ワタシも瑛太とは仲良かったし、是非お伺いさせていただきます。」
「来て来て。
今日来る?」
「えっ、いや
それは…」
「そんなすぐにはアレよね、予定もあるだろうし。
明日は?」
強引な栄子の誘いにタジタジになる遥だったが、奈津子の方を見ると、笑って頷いたので、その誘いを受けることにした。
「それじゃあ明日、遊びに行かせてもらいます。」
「ありがとう、遥ちゃん。
お昼ご飯食べずに来てね。一緒に食べましょう。」
「え、すいません…
でも、瑛太、大丈夫ですか?…」
「多分、遥ちゃんだったら出て来て一緒に食べるわよ。
私はそう確信してる。」
栄子は約束を取り付けると、満足そうな表情で去っていった。
樋口栄子は当然、奈津子の言った意味がわからずに戸惑いの表情を見せた。
「樋口さん、この子は遥なのよ。
今、里帰りしてきててね。」
「えっ、遥クン?」
「あ、ご無沙汰しています。
遥です。」
遥はぎこちなく頭を下げた。
「えーっ!
そういえば、なんとなく面影はあるけど…
遥クンなのね」
「はい。
すいません、こんな風になっちゃって」
遥は申し訳なさそうに言い、また頭を下げた。
「ううん。
すごくキレイじゃない!
おばちゃん、ビックリしちゃったわ。」
「親の私でも、最初にこの姿を見た時には腰を抜かしたくらいだから、そりゃビックリするわね。」
奈津子は声を出して笑った。
「これくらい可愛かったら全然アリだと思うよ。
遥クン…いや、遥ちゃんか
瑛太は、仕事辞めてずっと家にいるのよ。
ウチに来てハッパかけてよ。」
「瑛太が?」
「そうよ。
会社で何か嫌なことあったのか知らないけど、半年で辞めて広島からこっちに戻ってきて。
引きこもりみたいになってんのよ。
もう困っちゃって。」
「そうなんですか…
色々辛いことがあったんじゃないですか。」
「遥ちゃんは何してんの?」
「ワタシですか?
幼稚園の教諭をさせてもらっています。」
「えーっ、スゴイ!
女性として?」
「えっ、はい
理解ある理事長さんのおかげで…」
「偉いわね。
ホントに」
「そんな事ないです。」
「ところでいつまでこっちにいるの?」
「三日の昼頃までいて、東京に戻ります。」
「そうなのね。
だったら、こっちにいる間に、ホントにウチに一度遊びに来て。
瑛太、引きこもりだから外部の人と接触したがらないんだけど、遥ちゃんなら会うと思うし。」
「はい。
ワタシも瑛太とは仲良かったし、是非お伺いさせていただきます。」
「来て来て。
今日来る?」
「えっ、いや
それは…」
「そんなすぐにはアレよね、予定もあるだろうし。
明日は?」
強引な栄子の誘いにタジタジになる遥だったが、奈津子の方を見ると、笑って頷いたので、その誘いを受けることにした。
「それじゃあ明日、遊びに行かせてもらいます。」
「ありがとう、遥ちゃん。
お昼ご飯食べずに来てね。一緒に食べましょう。」
「え、すいません…
でも、瑛太、大丈夫ですか?…」
「多分、遥ちゃんだったら出て来て一緒に食べるわよ。
私はそう確信してる。」
栄子は約束を取り付けると、満足そうな表情で去っていった。
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