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二人の時間

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「俊斗君、寝たよ」


リビングに戻ってきた遥は、小声で良太に言った。


「何から何まで甘えてしまってごめんね」


「いいのよ。
気にしないで。」


「ゆっくり二人で話がしたくて。」

「そうだね。
ワタシもそう思ってた」


お互いのニーズが一致した。


二人は、コーヒーを飲みながら、明日の事や、お互いの悩みやエピソードトークなどをして、気がつけば終電ギリギリの時間になっていた。


「あ、ヤバイっ!

良太さん、ワタシ帰らないと」


「あ、ホントだ。

気付かずにごめん!」


良太も時計を見て驚き、慌てて出かける準備を始めた。


「いいよ、大丈夫

一人で帰れるから」

遥は良太を手で制すと、床に置いていたバックを持ち、立ち上がって玄関に向かった。


「遥」

急いで靴を履こうとする遥を、良太は呼び止めた。


「えっ?」


「あの、よかったら泊まっていかないか?」


「…


えっ、

えっ?」


予想もしていなかった提案が良太の口から飛び出した。


「多分、終電も間に合わないし…遥さえ良ければ…」


遥はフリーズしてしまった。


思考が停止し、良太が何を言ったかもわからなくなってしまったのだった。

しばらくして、ようやく、言われた言葉が頭の中で蘇ってきて、ここに泊まるように言われたのだと、理解した。

「えっ、泊まらせてもらうって言っても、準備も何もしてきてないし」

当然の如く、良太の提案を断る遥だったが

「化粧落とすのとかだね?

コンビニに買いに行こうよ。」

良太は全く諦めていない


遥は途方に暮れていた。


付き合うってこんな感じなの?

ちょっと展開が早くない?

いや、そもそも付き合った事がないから、経験則で語れない…

遥は僅かな時間で、色々考えてみたが、どう答えるのがベターなのか、全くわからなかった。

だが、結局は良太の熱意と勢いに押されて、泊まる事を承諾してしまった。


遥は駅に向かうのをやめて、コンビニにお泊り用のグッズを買いに行く事にした。

良太も付いてこようとしたが、俊斗がいるので強く固辞し、一人で向かう事にした。


コンビニに着くと、メイク落としや下着をカゴに入れていく遥だったが、思わずため息をついた。

何故なら、この先の展開が読めずに憂鬱な気持ちに襲われたからだ。

それでも、もはや選択肢は一つになってしまったので、トボトボと歩いて、良太の待つ部屋に戻っていった。


「おかえりー」

そんな苦悩を知らない良太は、満面の笑みを浮かべて遥を出迎えた。
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