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理由
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「石川先生
先生のおっしゃる通り、このまま多くの人たちにご迷惑をかけるのなら、保育園などに転園した方がいいのはよくわかっています。」
「ご存知かもしれませんが、そもそも幼稚園と保育園では管轄の省庁も違います。
幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省です。
これは、幼稚園は教育の場、保育園はそれに加えて福祉の場でもあることが言えます。
岩見さんのように、お父様一人での子育てが難しいご家庭には、それ相応のケアが必要だということです。
幼稚園ではそれが不可能で、保育園には可能なんです。」
遥が説明すると、岩見は一々頷いた。
「石川先生
私もその辺りの事は、シングルになってから色々調べてみたんです。
先生の言うように、私のような事情がある家庭には、役所も優先的に公立の保育園に入れてくれるでしょう。
本当は、私も今年になって真剣にそう考えるようになり、手続きをしようとしていたんです。
ですが、俊斗が年中に上がって事情が変わってしまったんです。」
「事情が変わった?
んですか…」
「ええ。
俊斗が愛多幼稚園を離れたくないと言い出しましてね…
私もすぐにその理由がわかりました。」
「何があったんですか?」
「それは、石川先生
あなたです。」
「えっ、ワタシ?」
「そうです。
先生は今年の春、こちらの幼稚園に来られて俊斗のクラスの担任になられた。」
「ええ、それは、はい…」
「こんな事を申し上げるのは大変失礼だと思うんですが…
亡くなった妻…
つまり、俊斗の母親と石川先生があまりにも似ていたからなんです。」
「えっ…」
「私も先生を見て本当に驚きました。
あまりにも似ていたので…
だから、俊斗は石川先生にいつも纏わりついていたでしょう?」
「ええ…それは、たしかに」
「その証拠に、年少のときは全くそういう事はありませんでした。」
年少の時の担任は樋谷先生だから、一概には言えないと、一瞬、脳裏をかすめた晴香だったが、何も言わずに話に耳を傾けていた。
「先生、私の話を信じられないと思いますので…
これを見ていただけますか。」
岩見は携帯を胸ポケットから取り出し、しばらく操作していたが、すぐに画面を遥に向けた。
「…」
携帯の画面には岩見の妻と思しき女性が、今よりまだ小さい頃の俊斗を抱いて笑っているシーンが映し出されていた。
それは、たしかに似ていた。
いや、瓜二つと言っても良かった。
顔が似ているばかりか、趣味まで似ていたのか、着ている服装、薄めのメイクなど、全部が本当にそっくりだったのだ。
先生のおっしゃる通り、このまま多くの人たちにご迷惑をかけるのなら、保育園などに転園した方がいいのはよくわかっています。」
「ご存知かもしれませんが、そもそも幼稚園と保育園では管轄の省庁も違います。
幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省です。
これは、幼稚園は教育の場、保育園はそれに加えて福祉の場でもあることが言えます。
岩見さんのように、お父様一人での子育てが難しいご家庭には、それ相応のケアが必要だということです。
幼稚園ではそれが不可能で、保育園には可能なんです。」
遥が説明すると、岩見は一々頷いた。
「石川先生
私もその辺りの事は、シングルになってから色々調べてみたんです。
先生の言うように、私のような事情がある家庭には、役所も優先的に公立の保育園に入れてくれるでしょう。
本当は、私も今年になって真剣にそう考えるようになり、手続きをしようとしていたんです。
ですが、俊斗が年中に上がって事情が変わってしまったんです。」
「事情が変わった?
んですか…」
「ええ。
俊斗が愛多幼稚園を離れたくないと言い出しましてね…
私もすぐにその理由がわかりました。」
「何があったんですか?」
「それは、石川先生
あなたです。」
「えっ、ワタシ?」
「そうです。
先生は今年の春、こちらの幼稚園に来られて俊斗のクラスの担任になられた。」
「ええ、それは、はい…」
「こんな事を申し上げるのは大変失礼だと思うんですが…
亡くなった妻…
つまり、俊斗の母親と石川先生があまりにも似ていたからなんです。」
「えっ…」
「私も先生を見て本当に驚きました。
あまりにも似ていたので…
だから、俊斗は石川先生にいつも纏わりついていたでしょう?」
「ええ…それは、たしかに」
「その証拠に、年少のときは全くそういう事はありませんでした。」
年少の時の担任は樋谷先生だから、一概には言えないと、一瞬、脳裏をかすめた晴香だったが、何も言わずに話に耳を傾けていた。
「先生、私の話を信じられないと思いますので…
これを見ていただけますか。」
岩見は携帯を胸ポケットから取り出し、しばらく操作していたが、すぐに画面を遥に向けた。
「…」
携帯の画面には岩見の妻と思しき女性が、今よりまだ小さい頃の俊斗を抱いて笑っているシーンが映し出されていた。
それは、たしかに似ていた。
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