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return of日常
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翌日の月曜日から、遥は吹っ切れたように仕事に精を出した。
完全に立ち直れたわけではないが、大輝と凛太郎の優しさに絆され、いつまでも塞ぎ込んではいけないと思ったからだった。
それと、仕事に没頭することによってネガティブな思考に陥る事を防ぐ事が出来る
そう思ったからに他ならない。
自分の受け持つクラスの園児たちを見ていると、心も癒されるし、暗い顔をするのはこの子達にも失礼だと、遥は気合を入れ直して臨んでいた。
こうして、遥は一日を乗り切った。
この調子なら明日以降も大丈夫だと確信を持ちながら…
「石川先生」
職員室に戻った遥を、彩が呼び止めた。
「はい?
どうかされましたか…紀藤先生」
彩は職員室に自分たちしかいないのを確認すると、小声で
「遥ちゃん、仕事終わったらちょっと付き合ってほしいんだけど」
と、言った。
「はい、大丈夫です。
すぐに仕事片付けちゃいます」
遥も小声でそう返事して、自分の席に着いた。
また飲みの誘いだと思い、遥は一瞬躊躇したが、彩の様子が少し変だった為、その誘いに応じたのだった。
亡くなった親友リサも、遥に救いを求めるべく連絡してきた。
結果として力になれず、不幸な結果になってしまったが、遥自身はリサの求めに応じて会いに行き、親身になって話を聞いた。
自分なりにアドバイスも出来た…
その部分では後悔はない。
もし、あのとき会わずに帰っていたら、一生立ち直れなかっただろう。
リサを失った苦しみについて、大輝や凛太郎だけじゃなく、仲良くしてくれている”同性”の彩にも聞いてもらいたいと、遥はこの瞬間、強く思った。
だが、そうすると自分の素性を明かさなければならない…
彩を信じて自分がニューハーフであるということを告白するか…
告白して受け入れてもらえなかったら?
そのときは、遥はこの幼稚園を辞めなければならないだろう。
そして、次の幼稚園に行こうとしても、他でも雇ってもらえるかは甚だ疑問だ。
愛多幼稚園の経営者夫婦は、自分が戸籍上の男とわかっていながら雇ってくれた。
そんな物分かりのいい幼稚園が他にあるとは思えない…
遥は、しばらく考えていたが、やはり、自分の事は話してはならないという結論に至った。
完全に立ち直れたわけではないが、大輝と凛太郎の優しさに絆され、いつまでも塞ぎ込んではいけないと思ったからだった。
それと、仕事に没頭することによってネガティブな思考に陥る事を防ぐ事が出来る
そう思ったからに他ならない。
自分の受け持つクラスの園児たちを見ていると、心も癒されるし、暗い顔をするのはこの子達にも失礼だと、遥は気合を入れ直して臨んでいた。
こうして、遥は一日を乗り切った。
この調子なら明日以降も大丈夫だと確信を持ちながら…
「石川先生」
職員室に戻った遥を、彩が呼び止めた。
「はい?
どうかされましたか…紀藤先生」
彩は職員室に自分たちしかいないのを確認すると、小声で
「遥ちゃん、仕事終わったらちょっと付き合ってほしいんだけど」
と、言った。
「はい、大丈夫です。
すぐに仕事片付けちゃいます」
遥も小声でそう返事して、自分の席に着いた。
また飲みの誘いだと思い、遥は一瞬躊躇したが、彩の様子が少し変だった為、その誘いに応じたのだった。
亡くなった親友リサも、遥に救いを求めるべく連絡してきた。
結果として力になれず、不幸な結果になってしまったが、遥自身はリサの求めに応じて会いに行き、親身になって話を聞いた。
自分なりにアドバイスも出来た…
その部分では後悔はない。
もし、あのとき会わずに帰っていたら、一生立ち直れなかっただろう。
リサを失った苦しみについて、大輝や凛太郎だけじゃなく、仲良くしてくれている”同性”の彩にも聞いてもらいたいと、遥はこの瞬間、強く思った。
だが、そうすると自分の素性を明かさなければならない…
彩を信じて自分がニューハーフであるということを告白するか…
告白して受け入れてもらえなかったら?
そのときは、遥はこの幼稚園を辞めなければならないだろう。
そして、次の幼稚園に行こうとしても、他でも雇ってもらえるかは甚だ疑問だ。
愛多幼稚園の経営者夫婦は、自分が戸籍上の男とわかっていながら雇ってくれた。
そんな物分かりのいい幼稚園が他にあるとは思えない…
遥は、しばらく考えていたが、やはり、自分の事は話してはならないという結論に至った。
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