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stress disorder

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「リンタ」

「ん?」

「遥は?」


「部屋に閉じこもったままだよ。」


「やっぱダメか」


「昨日はなんとか幼稚園に行ったらしいけど、帰ってきてからはずっと部屋に閉じこもったままで、今日もまだ顔見てない。」


「俺はトイレに行くとこを朝見たきりだな。

やっぱ、あんな事が起きてしまうとな。」


「たった一人の親友だったらしいよ。
同じニューハーフで、気持ち的にも互いを拠りどころにしてた部分もあったんだろうな。」


「よしっ、ちょっと気分転換させるか!」

そう言うと、大輝は頷いて立ち上がった。


「気分転換て、どうすんだよ」


「これよ、コレ」

大輝は凛太郎に車のキーをポケットから出して見せた。


「遥がそんな誘いに乗ってくるかね」

凛太郎の言葉を背中に受けながら、大輝はリビングを出て、廊下の一番奥にある遥の部屋の前にやってきた。

二回ほどドアを叩き

「遥ーっ!」

と、大きな声で呼びかけたが…

中からは何の反応もなかった。


「入るぞ」

大輝は男友達時代の付き合いのように、ガサツな感じで言うと、ドアを徐に開けた。

カギはかかってなかった。

久しぶりに遥の部屋に入った大輝は部屋の雰囲気が依然とはガラッと変わってる事に驚きを隠せなかった。

女の部屋…
ドレッサーから小物に至るまで、当たり前だが、全て女子そのもので、色彩、匂いもやはり女のものであった。
ここへきた当初は、遥もまだ男として生活しており、部屋もこんな感じではなかった。

自分の性自認について、二人に悟られたくなかったのだろう。
ただ、男の部屋としてはキチンと整頓され、白を基調に清潔感溢れる清々しい雰囲気の部屋だった。

遥は、カーテンを閉め切り、部屋を真っ暗にしたままベッドでタオルケットに包まっていた。

「遥、大丈夫か?」

背中を向けて表情を計り知れない遥に向けて呼びかけた。

ここで、ようやく遥が振り向き、大輝の方を見た。

「よぉ、喉乾いてないか?」

と、声をかけた大輝だったが、化粧もせず髪もボサボサ、さらにずっと泣いていたと思わせる腫れぼったい目…
普段の遥とは大違いのブス女が目の前にいた。


「おいおい、お前目が腫れまくってんじゃん。
泣きすぎだって」

「だって…」

遥はそれだけ言うと、また顔を押さえて声を上げて泣き出した。


「遥、辛い気持ちはわかるけど、お前がいつまでもそんな感じじゃ、亡くなった友達も悲しむよ。」

「うん…」

「ちょっと外の空気吸いに行こうぜ」

「えっ…」

大輝はそう言うと、戸惑う遥の腕を引っ張って起こした。


「十分まっててやるから、準備しろよ。」


「無理だよ…そんなの」


「早くしろよ、もう三十秒経ったぞ」

そう言って大輝は部屋から出て行った。

遥は仕方なく着替えて部屋を出てきたが、化粧をする時間がなく、すっぴんにメガネという姿だった。


「行ってらっしゃい」

リビングにいた凛太郎は二人に手を振って見送った。


不本意ながら、遥は大輝の後に付いて、マンションの地下にある駐車場に行った。
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