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四方山話
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三杯目を注文した二人はコンパの時とは打って変わって、話が弾みまくった。
「それにしても遥ちゃんて可愛いよね。」
「えーっ、そんな事全然ないです。
先輩の方が何百倍も美人です。
ワタシ、愛多に来た時から先輩に憧れてるんです。」
「またまたご謙遜。
遥ちゃん、子供にも保護者さんにもすごい人気じゃない。
やっぱりわかるんだよね、小さな子供でも。」
「そうなんですかねえ」
「絶対そうよ。
ところで、遥ちゃんはカレシいるの?」
「えっ、いません。」
「ウソ、なんで?
別れちゃったの?」
「いえ、ワタシ、付き合った事ないので…」
「…
真剣に言ってる?」
「真剣です、はい」
「えーっ、意外すぎる!
なんで、こんな可愛いのにいないのよ。
ひょっとしてめっちゃ面食いだとか?」
「いえ、顔とかで好きとか嫌いにはなりません。」
「ふーん
不思議だねえ
じゃあさっきみたいなコンパで頑張ってみた方がよかったんじゃない?」
「うーん…
あんまりコンパとかでの出会いに興味なくて…」
「へえ、遥ちゃんて真面目なのね」
「真面目ってわけじゃないんですが…
先輩はお付き合いされてる人とかいるんですか?」
「私?
あー、別れたとこよ、最近」
「えっ、そうなんですか!」
「うん。
結構長かったんだけどね
浮気しやがってさ」
「あー、それはイヤです」
「まあ、私も歳も歳だけど、しばらくは男は要らないかな。」
「先輩は美人ですし、内面も素敵なので、その気になればすぐに見つかりますもんね。」
「遥ちゃんに言われると、少し複雑な気分だけど、ボチボチ頑張ってくよ。」
「はい。」
遥は、この何でも素直な気持ちで話ができる先輩に、自分の秘密を打ち明けるべきか悩んでいた。
だが、打ち明けて、拒絶されたら…
幼稚園にも居られなくなる。
随分と葛藤があったが、すんでのところでカミングアウトするのをやめた。
「遥ちゃん
この仕事の事どう思ってる?」
「幼稚園の、ですか?」
「うん」
「ずっとなりたいと思ってたから、愛多幼稚園に採用してもらったときはすごく嬉しかったです。」
「まあ、私も似たようなものだけど…
でも、実際になってみると、給料は安いし、仕事は過酷だし、想像と現実があまりにも違った。
樋谷先生の話で、子供が好きだからという理由ではこの仕事は続かないっていう話は正しいと思うわ。
その他については何一つ共感出来ないけどね。」
「そうですね…」
「まあ、遥ちゃんは若いし、これからどうにだってなるわよ。
あっ、もうこんな時間だわ。
そろそろ帰ろうか。」
「はーい」
「しまった!
オプチャに返事するのを忘れた!」
彩は慌てて携帯の画面を覗き込んだが、予想通り、奈緒美のメッセージには誰も返事を入れていなかった。
「それにしても遥ちゃんて可愛いよね。」
「えーっ、そんな事全然ないです。
先輩の方が何百倍も美人です。
ワタシ、愛多に来た時から先輩に憧れてるんです。」
「またまたご謙遜。
遥ちゃん、子供にも保護者さんにもすごい人気じゃない。
やっぱりわかるんだよね、小さな子供でも。」
「そうなんですかねえ」
「絶対そうよ。
ところで、遥ちゃんはカレシいるの?」
「えっ、いません。」
「ウソ、なんで?
別れちゃったの?」
「いえ、ワタシ、付き合った事ないので…」
「…
真剣に言ってる?」
「真剣です、はい」
「えーっ、意外すぎる!
なんで、こんな可愛いのにいないのよ。
ひょっとしてめっちゃ面食いだとか?」
「いえ、顔とかで好きとか嫌いにはなりません。」
「ふーん
不思議だねえ
じゃあさっきみたいなコンパで頑張ってみた方がよかったんじゃない?」
「うーん…
あんまりコンパとかでの出会いに興味なくて…」
「へえ、遥ちゃんて真面目なのね」
「真面目ってわけじゃないんですが…
先輩はお付き合いされてる人とかいるんですか?」
「私?
あー、別れたとこよ、最近」
「えっ、そうなんですか!」
「うん。
結構長かったんだけどね
浮気しやがってさ」
「あー、それはイヤです」
「まあ、私も歳も歳だけど、しばらくは男は要らないかな。」
「先輩は美人ですし、内面も素敵なので、その気になればすぐに見つかりますもんね。」
「遥ちゃんに言われると、少し複雑な気分だけど、ボチボチ頑張ってくよ。」
「はい。」
遥は、この何でも素直な気持ちで話ができる先輩に、自分の秘密を打ち明けるべきか悩んでいた。
だが、打ち明けて、拒絶されたら…
幼稚園にも居られなくなる。
随分と葛藤があったが、すんでのところでカミングアウトするのをやめた。
「遥ちゃん
この仕事の事どう思ってる?」
「幼稚園の、ですか?」
「うん」
「ずっとなりたいと思ってたから、愛多幼稚園に採用してもらったときはすごく嬉しかったです。」
「まあ、私も似たようなものだけど…
でも、実際になってみると、給料は安いし、仕事は過酷だし、想像と現実があまりにも違った。
樋谷先生の話で、子供が好きだからという理由ではこの仕事は続かないっていう話は正しいと思うわ。
その他については何一つ共感出来ないけどね。」
「そうですね…」
「まあ、遥ちゃんは若いし、これからどうにだってなるわよ。
あっ、もうこんな時間だわ。
そろそろ帰ろうか。」
「はーい」
「しまった!
オプチャに返事するのを忘れた!」
彩は慌てて携帯の画面を覗き込んだが、予想通り、奈緒美のメッセージには誰も返事を入れていなかった。
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