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フロイライン

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反省会

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時間の無駄とも言えたコンパはここで終了となり、店の前で解散となった。

女性側の三人はしばらく一緒に歩いていたが、奈緒美だけ家の方向が違うという事で、途中で別れた。
本当は反省会と称してもう少し女だけで語らいたかったようだが、彩と遥は用事があると固辞した。


地下に降りていく奈緒美を見送った彩と遥は、ほっと一息ついた。


「遥ちゃん、ごめんね
イヤな役回りさせて」


「いえ、先輩の方こそ色々大変でしたね。」


彩と遥は、幼稚園では紀藤、石川という名字で呼び合っているが、それ以外では「遥ちゃん」、「先輩」と互いを呼んでいた。

彩自身が、遥と同じ大学出身であった事も、先輩と呼ぶ所以であったが。


「ねえ、ちょっと飲み直さない?」


「はい。行きます」


二人は近くのショットバーに入っていった。


「へえ、先輩、こんなオシャレなお店をご存知なんですね」

遥はキョロキョロしながら周りをぐるりと見回したが、彩は笑ってその様子を見つめた。


「ここは私に奢らせて。
今日の迷惑料だと思ってね。」


「いえ、先輩の方が被害者じゃないですか

割り勘にしましょう」


「いいのよ

遥ちゃんに愚痴も聞いてもらいたいからね」


「聞きます聞きます」

遥はそう言って笑った。


遥はモヒート、彩はマティーニをオーダーすると、再び話し始めた。


「先輩、樋谷さんて昔からあんな風にコンパのセッティングを強要してくるんですか?」


「うん。
私が新人で入ってきた時には既にあんな感じでガツガツしてて、私の2個上に斎藤先生っていう美人で優しい先輩がいたんだけど、彼女も樋谷さんに執拗にコンパのセッティングをさせられてて、ウンザリして私に愚痴ってたのを思い出すわ。」


「へえ、そうなんですね」


「結局、遥ちゃんが来る少し前に辞めちゃったのよ。

結婚するのを機に辞めるっていうのが表向きの理由だけど、ホントは樋谷さんがイヤで辞めたって話よ。」


「えーっ、辞めちゃうくらいにイヤだったって話ですか!」


「そうね。
本人からもそう聞いたし。
実際には結婚なんかしてないしね、今も。」


「なんか樋谷さん、怖いなあ」


「私も斎藤先生の気持ちがよくわかるよ、今は…


あっ…」


話の途中で、彩は言葉を切り、バックから携帯を出した。


「どうしたんですか?」

「樋谷さんよ。

オープンチャットに今日のコンパのお礼と、次を期待するメッセージを入れてるわ。」


「えーっ!早っ」


「遥ちゃんは見なくていいからね

みんな既読になって反応が無いとまたへそ曲げちゃうから。」


「あ、そうですね」


「三十分経って誰も反応無かったら、私もお礼の文章書くわ。」

彩はウンザリした表情で、携帯を机に置いた。
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