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Lesson34

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「優斗クン
準備出来た?」


「うん
出来たよ」


優斗がそう答えると、香菜子はニコッと笑って頷いた。

結局、優斗は金曜日の晩から三泊し、週明けの朝を香菜子の部屋で迎えていた。


香菜子は、玄関で靴を履こうとする優斗にキスをした。
優斗も手を止めて香菜子を抱きしめ、香菜子の舌を受け入れたのである。


このままだとエンジンがかかり、遅刻してしまうので、二人は断腸の思いでキスをやめ、家を出た。

エレベーターに二人で乗り込み、エントランスを経て、外に出たのだが、香菜子はそこで声を上げた。

「あれっ?」


と…。


「どうしたの、香菜ちゃん?」



「ううん。

なんか、ちょっと…

私がおかしいだけだと思うんだけど。」


「おかしい?」


「うん。

なんか違うのよ。
景色が…

いつもと同じで、見慣れてる筈なのに…」


「へえ、そうなんだ」


「ごめんごめん

変な事言って。」


香菜子は優斗の手を握った。

優斗もニコッと笑い、その手を握り返した。


「香菜ちゃん

地下鉄に乗り換えるまでは手を繋いでいられるね」


「うん。」


「ホントはずっと繋いでいたいけど、会社の人に見つかるとマズイからね。」


「ごめんね。

私もそうしたいんだけど、ホラ、私って会社で偉そうにしてるでしょ?
なんかそういう部分を見せてもいいのかなって思って…」


「うーん…

香菜ちゃんがやりやすいようにしたらいいと思うよ、俺は。

別に会社でイチャイチャしなくても、家に帰ったらいくらでも一緒にいられるんだから。」


「うん。そうだね

ありがとう、優斗クン」


既に優斗に依存しすぎていると自覚しながら、香菜子は言った。


「ねえ、香菜ちゃん

次はいつ会ってくれるの?」


「えっ、そんなのいつでもオッケーよ」


「いや、でも、香菜ちゃん、仕事が忙しいだろうし、俺の気持ちを優先させるわけには…」


「いいのよ、そんなの気にしないで。
今までの私の生き方は明らかに間違ってた
そう気付いたの。

仕事は大切だけど、プライベートに勝ることなんてないのよ。」


「そう言ってくれると嬉しいけど。」


「今日も泊まってく?

私は全然いいよ
むしろ来て欲しい」


「ありがとう、香菜ちゃん

でも、金曜の朝から放置してるものが色々ありすぎて…」


「あ、ごめん

そうだよね…
ウチに帰らないとね
優斗クンてどんな部屋に住んでるの?
すごく興味があるわ」


「さすがに香菜ちゃんを俺の家には呼べないわ。

小さくて汚すぎる」


「えーっ、そんなの気にしないでよ
行くよ、行く行く
カレの部屋に行ってお掃除したりご飯作ったりって、私にとっては非現実的な夢物語だったの。

それが叶うのね!

めっちゃ感動する。」


「もう、香菜ちゃんも大袈裟だなあ
てか、来る気満々じゃん」

優斗はそう言って大笑いした。

二人は肩を寄せ合い駅の改札を抜けていった。
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