N -Revolution

フロイライン

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九州遠征

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「美月ちゃん

どう?調子は」


「うん。おかげでだいぶ良くなったわ。」


「よかった。
しばらく遠征で帰ってこないから、心配で心配で。」


「本音を言えば、遠征について行きたいくらいよ。」


「えーっ、ダメよ。

まだ安静にしとかないと」


「それくらい元気になったということよ。

ちゃんと留守番してるから、頑張ってきて。」


「うん。
じゃあ行ってくる。

お土産買ってくるからね!」


ミサトは大きなボストンバッグを肩からかけながら言うと、部屋を出ていった。




ミサトが一階に降りてくると、ミカをはじめとする選手一同がすでに集まっていた。

だが、友谷久美子社長を囲み、何やら深刻な表情で話し合っていたので、ミサトは敢えて挨拶をせず、会釈だけして、その場から少し離れた。


「社長、それで向こうからの返事は?」

ミカが質問すると、久美子は首を横に振り、厳しい表情を浮かべて答えた。

「こっちからの要求は全て拒否されたわ。

逆に向こうからは、ウチのレギュレーションは採用せずに、階級フリーとする。

ブックはなし。
試合開始から終了まで完全なるガチンコ勝負」


「ブックなしは、望むところだけど…

レギュレーションを無視されるとなると…

ちょっと危険ですね。」


ミカは、ため息をつき、天を見上げた。


「ミカさん、熊子はマジでヤバいです。

まともにやったら殺されちゃいますよ。」


ミカ、サオリ、アキに次ぐ実力者のエミリが、心配そうに声をかけた。


「エミリは、男時代に一緒の団体にいたんだよね?
熊子ってそんなにヤバい?」

アキが言うと、エミリは静かに頷いた。


「ワタシと熊子は、一年ほどしかカブってませんけど、当時のAMWでは、新人とは思えない強さで、看板レスラーとも互角にやり合ってました。

でも、ウチらの商売はプロレスなので、魅せるって事も大事ですし、技を受けるって事も大事なので、その点では熊子は不向きだったと思います。

それからすぐ辞めちゃて、総合の方に行くのかなって思ってたら、ニューハーフプロレスに入ってました。」



「なるほどね。
熊子も心は女だったのね。


でも、アイツが所属している団体とウチとの違いは大きいわ。

向こうは何でもありの野蛮な団体。

ウチは、強く、そして美しく!っていうのをテーマにしてるから、ただ強いだけじゃいけないのよ。」


「そうですね。
ミカ姉や、アキ先輩の美しさは群を抜いてます。」


エミリは、二人を見つめながら、感情のこもった言い方をした。
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