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同志の童子
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「珀クン!
いらっしゃい!」
翌日、珀がNPWの道場に顔を出すと、この前とは打って変わって、ミカが超ウェルカムモードで近づいてきた。
「おはようございます。
本当に来てしまってすいません。」
「何言ってんのよ、さあ中に入って。」
ジャージ姿で、髪を後ろで束ねたミカはとても美しく、珀は思わず見惚れてしまった。
実のところ、今日、珀がここに見学に来たのも、ミカに会いたいと思ったからだった。
たしかに、ニューハーフプロレスのレベルは、自分が思っていたよりも、はるかに高かった。
ナメてかかって瞬殺もされてしまった。
それでもここに再び足を運んだのは、強くて美しくカッコいい…
NPWの看板レスラーである佐倉ミカに会いたかったからだ。
「どうしたの、珀クン?」
「あ、いえ…」
「ちょっと待ってて。」
ミカは珀を椅子に座らせると、リングの方に歩いていき、ストレッチをするミサトの肩をトントンと叩いた。
「ミサト
今日は練習に参加しなくていいから、珀クンにここの案内をしてあげて。」
「はい。わかりました。」
ミサトは立ち上がり、ミカに頭を下げると、珀のところに駆け寄ってきた。
「おはようございます。」
「あ、おはようございます…」
屈託のない笑みを浮かべて挨拶をしてきたミサトに対し、瞬殺された苦い思い出のある珀は、少しぎこちない挨拶をした。
「あの、珀クン」
「はい?」
「社長から聞いたんですけど、珀クンて十七才なんですか?」
「はい。そうです。」
「なあーんだ!
ワタシもそうなの。」
「えっ、そうなんですか?」
「ここは、みんな年上だから、嬉しい!」
「…」
「ねえ、タメなんだし、敬語やめない?」
「あ、…うん。
わかった」
ミサトは屈託のない笑みを浮かべ、やたらボディタッチしてきた。
「今日は、ワタシが珀クンを色々と案内するね。」
「うん、ありがとう。」
ミサトは珀の手を取り、二階に上がっていった。
「二階に何があると思う?」
「えっ、わかんない。
トレーニングジムみたいなの?」
「違う違う
ホラ、見て」
「…」
二階に上がると、ドアが八つほど廊下を挟んで並んでおり、ミサトは、そのいちばん手前のドアを開けた。
「ここは寮よ。」
「ホントだ…」
「一部の人はもう出て行っちゃってるんだけど、大体の人はここに住ませてもらってるの。」
珀が中を覗き込むと、六畳間くらいの広さの部屋に二段ベッドが置いてあった。
「四部屋は一人部屋で、手前の四部屋は相部屋なの。
ワタシは相手がいなくて、ここに一人なんだけど、珀クンが来てくれたら一緒の部屋になれるよ。」
ミサトはニコニコしながら、珀に言った。
いらっしゃい!」
翌日、珀がNPWの道場に顔を出すと、この前とは打って変わって、ミカが超ウェルカムモードで近づいてきた。
「おはようございます。
本当に来てしまってすいません。」
「何言ってんのよ、さあ中に入って。」
ジャージ姿で、髪を後ろで束ねたミカはとても美しく、珀は思わず見惚れてしまった。
実のところ、今日、珀がここに見学に来たのも、ミカに会いたいと思ったからだった。
たしかに、ニューハーフプロレスのレベルは、自分が思っていたよりも、はるかに高かった。
ナメてかかって瞬殺もされてしまった。
それでもここに再び足を運んだのは、強くて美しくカッコいい…
NPWの看板レスラーである佐倉ミカに会いたかったからだ。
「どうしたの、珀クン?」
「あ、いえ…」
「ちょっと待ってて。」
ミカは珀を椅子に座らせると、リングの方に歩いていき、ストレッチをするミサトの肩をトントンと叩いた。
「ミサト
今日は練習に参加しなくていいから、珀クンにここの案内をしてあげて。」
「はい。わかりました。」
ミサトは立ち上がり、ミカに頭を下げると、珀のところに駆け寄ってきた。
「おはようございます。」
「あ、おはようございます…」
屈託のない笑みを浮かべて挨拶をしてきたミサトに対し、瞬殺された苦い思い出のある珀は、少しぎこちない挨拶をした。
「あの、珀クン」
「はい?」
「社長から聞いたんですけど、珀クンて十七才なんですか?」
「はい。そうです。」
「なあーんだ!
ワタシもそうなの。」
「えっ、そうなんですか?」
「ここは、みんな年上だから、嬉しい!」
「…」
「ねえ、タメなんだし、敬語やめない?」
「あ、…うん。
わかった」
ミサトは屈託のない笑みを浮かべ、やたらボディタッチしてきた。
「今日は、ワタシが珀クンを色々と案内するね。」
「うん、ありがとう。」
ミサトは珀の手を取り、二階に上がっていった。
「二階に何があると思う?」
「えっ、わかんない。
トレーニングジムみたいなの?」
「違う違う
ホラ、見て」
「…」
二階に上がると、ドアが八つほど廊下を挟んで並んでおり、ミサトは、そのいちばん手前のドアを開けた。
「ここは寮よ。」
「ホントだ…」
「一部の人はもう出て行っちゃってるんだけど、大体の人はここに住ませてもらってるの。」
珀が中を覗き込むと、六畳間くらいの広さの部屋に二段ベッドが置いてあった。
「四部屋は一人部屋で、手前の四部屋は相部屋なの。
ワタシは相手がいなくて、ここに一人なんだけど、珀クンが来てくれたら一緒の部屋になれるよ。」
ミサトはニコニコしながら、珀に言った。
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