N -Revolution

フロイライン

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実力

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「たしかに、何も知らないあなたから見たら、ウチらのやってる事は、オカマの戯言に見えるでしょうね。」


「いえ、そんな…」

ニューハーフプロレスを否定され、カチンときたエース格のミカが、このようにキレるのは予想された事だったが、当の珀は、天然なのか、なんでここまでキレられてるのかと焦り、しどろもどろとなった。


「ウチらもけっこう真剣にやってんのよね、プロレスってやつを。

珀クンもそれなりに腕には自信がありそうだけど、ここのメンバーの誰とやっても手も足も出ないと思うよ。」


ミカは、二十代後半で、体幹はしっかりしているようだったが、胸もあり、スポーツをしている女子という感じがした。
顔も可愛く、思わず見惚れてしまう珀だったが、誰にも勝てないと言われ、元来の負けん気の強さが出た。


「あの、お言葉ですけど、手も足も出ないって言うのは…ないと思います。」

ついつい、口ごたえしてしまった。


「フッ、気の強い子は好きよ。

ねえ、よかったら少しスパーリングしてみない?」


「えっ…」


「安心して。

あなたの相手は、ウチに一番最近入った練習生が務めるから。」


「…」

珀は、焦りながら、隣の久美子を見た。


「よかったらスパーリングしてみない?

別にスパーリングをやったからって、無理矢理入ってなんて言わないし。」

久美子はニコニコしながらそう言った。


「それじゃあ…お願いします。」


珀も思うところがあり、ミカの提案に応える事にした。
何故なら、珀の矜持が傷つけられたような気がしたからだ。

珀は、アマレスで培った基礎と、日頃の自主練のアドバンテージがあると思っていた。
本当なら男子のメジャー系団体に所属する事が出来ていたのに、体が小さいという理由だけで落とされた。
自分でそう解釈していたからだ。

見たところ、ここには自分より体の小さい人間もおり、どう考えても負ける要素はない。

逆に、現実を教えてやりたい…
それくらいの思いで、リングに上がったのだった。


「ミサト
スパーリングパートナーを務めてくれる?」


ミカがリング下に声をかけると、ジャージ姿の練習生が頷き、準備を始めた。


「ミサトは三ヶ月前に来たばかりの、ウチでは一番の新人。

今、いくつだっけ?」


「17です。」


ミサトは、珀と同い年だっだ。



珀は、リュックを足元に置き、上着を脱いでリングに上がった。

Tシャツにジャージ姿の珀に対して、ミサトも同じような服装で、少し遅れてリングにインした。

年齢、背格好はほぼ同じ。

しかし、ミサトはシャツの上からもわかるくらい胸があり、体は皮下脂肪が付いていて筋肉もない。

それに、アマレス上がりではないと、珀は彼女を見ていて、なんとなくわかった。


負ける要素は一つもない。

珀は、そう確信した。

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