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「好きになったのは、これといった理由はなくて…
見てて、いいなって思ったから…」
琉偉は、圭吾に惹かれた理由を答えた。
圭吾は、突然の告白に受ける事も拒絶する事も出来ず、茫然としながら琉偉の思いを聞いていたが、無難な落とし所として
「友達からなら…」
という逃げ口上で、その場をやり過ごそうとした。
だが、琉偉も上手くいくとは考えていなかったのか、その答えで十分だと言った。
こうして、二人は同性の友人としての関係性を構築していく事になったのだが…
琉偉は圭吾に対して恋愛感情を持ち、圭吾は全く持っていない事から、二人の関係は当然上手くいくわけがないと思われた。
しかし、クラスの日陰者であった圭吾が、急に正反対のクラス一の人気者の琉偉と仲良くなったものだから、周囲の圭吾を見る目が変わってしまったのだ。
琉偉が一目置くくらいだから、圭吾は只者ではないという誤った評価がなされ、スクールカーストの階級が飛躍的に上がったのである。
男になど一切興味のない圭吾であったが、自分にだけ優しく、献身的に尽くす琉偉に接しているうちに、次第に情に絆されてきたのだが、そして、よく見れば美形で可愛い顔の琉偉に対する愛情も、少しずつではあるが、日に日に芽生えてきた。
或る休みの日、いつものように琉偉が圭吾の家に遊びに来ていた。
圭吾が家に来るのをOKするのは、家に誰もいない時に限られていた。
飲み物を取ってきて琉偉に手渡しながら、圭吾は言った。
「なあ、琉偉」
「何?」
「あのさあ、もう少し女の子っぽい格好って出来へん?」
「えっ、あ、ごめん。
恥ずかしくてさあ…」
「まあ、それはしゃあないと思うねんけど。」
「だって、圭吾も全然ワタシに優しくしてくれへんやないの。」
「えっ、まだ俺らって付き合ってへんわけやし」
「うそぉーっ!
そんなん聞いてへんわ。
この前キスしたやん!」
「いや、あれは…
うーん…
実のところ、俺も恥ずかしいねん。
琉偉の事言うてられへんなあ。」
「せやろ?
恥ずかしさが消えたらちゃんと付き合うてくれる?」
「うん…」
「ほんまに?
それやったら、早く高校卒業して地元離れなあかんなあ。」
「俺は前から言うてたように、東京の大学に進学するつもりやから。
琉偉はどうすんねん?」
「ワタシ?
ワタシは圭吾について東京に行くわ。」
「おいおい、そんな簡単に言うけど、別に東京の大学に進むつもりもあらへんねんやろ?」
「ないない。
向こうでニューハーフになるわ。
それやったら女の子らしくもなるし、一石二鳥やろ?」
琉偉は屈託のない笑みを浮かべて言った。
見てて、いいなって思ったから…」
琉偉は、圭吾に惹かれた理由を答えた。
圭吾は、突然の告白に受ける事も拒絶する事も出来ず、茫然としながら琉偉の思いを聞いていたが、無難な落とし所として
「友達からなら…」
という逃げ口上で、その場をやり過ごそうとした。
だが、琉偉も上手くいくとは考えていなかったのか、その答えで十分だと言った。
こうして、二人は同性の友人としての関係性を構築していく事になったのだが…
琉偉は圭吾に対して恋愛感情を持ち、圭吾は全く持っていない事から、二人の関係は当然上手くいくわけがないと思われた。
しかし、クラスの日陰者であった圭吾が、急に正反対のクラス一の人気者の琉偉と仲良くなったものだから、周囲の圭吾を見る目が変わってしまったのだ。
琉偉が一目置くくらいだから、圭吾は只者ではないという誤った評価がなされ、スクールカーストの階級が飛躍的に上がったのである。
男になど一切興味のない圭吾であったが、自分にだけ優しく、献身的に尽くす琉偉に接しているうちに、次第に情に絆されてきたのだが、そして、よく見れば美形で可愛い顔の琉偉に対する愛情も、少しずつではあるが、日に日に芽生えてきた。
或る休みの日、いつものように琉偉が圭吾の家に遊びに来ていた。
圭吾が家に来るのをOKするのは、家に誰もいない時に限られていた。
飲み物を取ってきて琉偉に手渡しながら、圭吾は言った。
「なあ、琉偉」
「何?」
「あのさあ、もう少し女の子っぽい格好って出来へん?」
「えっ、あ、ごめん。
恥ずかしくてさあ…」
「まあ、それはしゃあないと思うねんけど。」
「だって、圭吾も全然ワタシに優しくしてくれへんやないの。」
「えっ、まだ俺らって付き合ってへんわけやし」
「うそぉーっ!
そんなん聞いてへんわ。
この前キスしたやん!」
「いや、あれは…
うーん…
実のところ、俺も恥ずかしいねん。
琉偉の事言うてられへんなあ。」
「せやろ?
恥ずかしさが消えたらちゃんと付き合うてくれる?」
「うん…」
「ほんまに?
それやったら、早く高校卒業して地元離れなあかんなあ。」
「俺は前から言うてたように、東京の大学に進学するつもりやから。
琉偉はどうすんねん?」
「ワタシ?
ワタシは圭吾について東京に行くわ。」
「おいおい、そんな簡単に言うけど、別に東京の大学に進むつもりもあらへんねんやろ?」
「ないない。
向こうでニューハーフになるわ。
それやったら女の子らしくもなるし、一石二鳥やろ?」
琉偉は屈託のない笑みを浮かべて言った。
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