カジュアルセックスチェンジ

伴奏

淳と由香里が開いたささやかな宴は、大いに盛り上がり、夜遅くまで話が尽きなかった。


中でもメグが出たAVについて、智が由香里に謝罪する場面もあった。


だが、メグは自分で納得して出演したわけであり、誰にも迷惑をかけていないと強く反発したのだった。


「恵太、東京に出てトモちゃんやユウちゃんにお世話になりながら生活してるんだから、ちゃんと目的を持って生きなきゃダメよ。」


「わかってるわよ、ママ。

でも、高校すら出てなくて、こんな容姿で、やれる事っていったら、そんなにはないの。

水商売か風俗とかAVくらい。
ワタシの場合、ラッキーな事に、尊敬するトモちゃんとユウちゃんがバーをやっていて、そこで働かせてもらう事になったの。」


「うん。
それは聞いてるわ。
でも、AVは…」


「それについては、ママだって認めてくれたよね？

そのバーの隣に空き物件が出来てね。
どうしてもそこの場所が欲しくて、権利を得るのにまとまったお金が必要だったの。

ワタシも二人の家族の一員だって思ってたし、協力したいって心から思ったの。」


「由香里さんが言うのももっともな事だわ。

ワタシが付いていながら、こんな事になって本当にごめんなさい。」


確かに事前にメグから由香里に話をし、了解してもらっていたが、やはり我が子がそういうものに出ているという事実に、何か一言申したかったのだろう。

智とユウは、ただ謝るしかなかった。


だが、由香里もその事は重々わかった上で発言しており、そこからは少し冷静になった。


「トモちゃん、ユウさん
イヤな事言ってごめんなさい。

この事については私も承知したことだったのにね。」


「いえ、由香里さんの言うのは当然の事よ。」


「違うの、トモちゃん。

私は恵太にわかって欲しかったの。

私が恵太の事を心から大切に思っているって事を。」


「ママ…」


「前の夫と別れ、こうして敦さんと再婚する事になり、赤ちゃんまで出来てしまった。
こんな年齢で…

それまでの結婚生活があまり良いとは言えないものだったから、敦さんとの子供がどうしても産みたかったし、この幸せを確かなものにしたかった。

恵太もそんなワタシの気持ちを慮ってくれて、予定していたよりも早くこの家を出ていった…
本当に恵太には悪い事をしたと思ってる。

でも、私も敦さんも恵太の事は本当に大切に思ってるし、心から愛してるの。

だから、自分を大切に生きて欲しいし、何があっても私たちは恵太の味方なんだから、いつでも帰ってきていいんだよ…

それが言いたかったの。」


由香里が言い終わると、恵太は泣き出し、智もユウも目に涙を溜めて頷いた。