534 / 722
茨の道
しおりを挟む
「女ホルの注射ってお尻に打つんですね。
なんか恥ずかしかった…」
病院を出て、駅までの道を歩きながら、恵太はユウに言った。
「痛かったでしょ?
筋肉注射だからね。
腕に打つ人もいるけど、だいたいはお尻よ。
ワタシもトモちゃんもね。」
「へえ、そうなんだ
でも、念願の注射を打てたんで、本当に嬉しいです。」
「すぐには変化はしてこないだろうけど、経口薬の効果を見たら、恵ちゃんは多分体つきとかが顕著に変わるタイプだと思うから、ある程度の期間が過ぎたら、劇的に変わると思うよ。」
「だったらいいんですけど」
「あと、副作用には気をつけてね。
気をつけてって言っても、どうしようもないんだけど。
頭痛とか、のぼせるってか熱った感じになったり、あと、鬱みたいな症状も出やすいしね。」
「はい。
経口薬でも、調子崩すときもありましたから、気をつけます。」
「そうね。
トモちゃんなんて、めちゃくちゃ頭良いのに、ホルモンしてからバカになったって言うくらいだし。」
「えっ、そうなんですか」
「物事を理論立てて考えられなくなったんだって。
それと、集中力が削がれるっていうのか…」
「へえ、そうは見えなかったけどなあ。」
「当事者だから言えるけど、女性ホルモンなんてものは、出来ることならしない方がいいわね。」
「たしかに…
でも、女らしい体になるのが夢だったし…」
「そこよね。
だから、結局は寿命縮めてもみんな女ホルをやるんだもんね。」
ユウは、そう言って笑った。
「本物の女性になれるわけじゃないんですけど、それでも少しずつでもいいから女らしい体になりたいです。」
「そうね。
ワタシもそれが目的で始めたし、こうして今も続けてる。
男の部分をとことん消したくてね。」
「ユウさん
ワタシ、こんなだから、ずっとオカマだって皆んなに言われて、いじめられてきたんです。
だから、高校も入ってすぐに耐えられなくなって辞めてしまいました。
でも、三ヶ月しか在籍しなかった高校で、ワタシは莉愛ちゃんと出会い、すごく親切にしてもらったんです。
莉愛ちゃんはなんでワタシに優しくしてくれるのか、不思議で仕方なかったんですが、聞いてみると、ママがニューハーフだって…
それも、ワタシが小さい時からキレイだなあって憧れてきたトモちゃんだって言うから、もうビックリしちゃって…
そして、今
トモちゃんと一緒に出ていたユウさんにまで出会うことが出来て、もう夢みたいで信じられない思いです。
トモユウはワタシを救ってくれた命の恩人なんです。」
「そうなんだ…
そう思ってくれる人がいたって事は、ワタシも活動した甲斐があったっていうものね。
恵ちゃん、いっぱい辛い事があったと思うけど、人生のターンはもう変わったの。
これからは幸せになる番だよ。」
ユウは恵太を励ました。
「ありがとうございます」
恵太はユウの言葉に礼を述べたが、我慢できずに大泣きしてしまった。
なんか恥ずかしかった…」
病院を出て、駅までの道を歩きながら、恵太はユウに言った。
「痛かったでしょ?
筋肉注射だからね。
腕に打つ人もいるけど、だいたいはお尻よ。
ワタシもトモちゃんもね。」
「へえ、そうなんだ
でも、念願の注射を打てたんで、本当に嬉しいです。」
「すぐには変化はしてこないだろうけど、経口薬の効果を見たら、恵ちゃんは多分体つきとかが顕著に変わるタイプだと思うから、ある程度の期間が過ぎたら、劇的に変わると思うよ。」
「だったらいいんですけど」
「あと、副作用には気をつけてね。
気をつけてって言っても、どうしようもないんだけど。
頭痛とか、のぼせるってか熱った感じになったり、あと、鬱みたいな症状も出やすいしね。」
「はい。
経口薬でも、調子崩すときもありましたから、気をつけます。」
「そうね。
トモちゃんなんて、めちゃくちゃ頭良いのに、ホルモンしてからバカになったって言うくらいだし。」
「えっ、そうなんですか」
「物事を理論立てて考えられなくなったんだって。
それと、集中力が削がれるっていうのか…」
「へえ、そうは見えなかったけどなあ。」
「当事者だから言えるけど、女性ホルモンなんてものは、出来ることならしない方がいいわね。」
「たしかに…
でも、女らしい体になるのが夢だったし…」
「そこよね。
だから、結局は寿命縮めてもみんな女ホルをやるんだもんね。」
ユウは、そう言って笑った。
「本物の女性になれるわけじゃないんですけど、それでも少しずつでもいいから女らしい体になりたいです。」
「そうね。
ワタシもそれが目的で始めたし、こうして今も続けてる。
男の部分をとことん消したくてね。」
「ユウさん
ワタシ、こんなだから、ずっとオカマだって皆んなに言われて、いじめられてきたんです。
だから、高校も入ってすぐに耐えられなくなって辞めてしまいました。
でも、三ヶ月しか在籍しなかった高校で、ワタシは莉愛ちゃんと出会い、すごく親切にしてもらったんです。
莉愛ちゃんはなんでワタシに優しくしてくれるのか、不思議で仕方なかったんですが、聞いてみると、ママがニューハーフだって…
それも、ワタシが小さい時からキレイだなあって憧れてきたトモちゃんだって言うから、もうビックリしちゃって…
そして、今
トモちゃんと一緒に出ていたユウさんにまで出会うことが出来て、もう夢みたいで信じられない思いです。
トモユウはワタシを救ってくれた命の恩人なんです。」
「そうなんだ…
そう思ってくれる人がいたって事は、ワタシも活動した甲斐があったっていうものね。
恵ちゃん、いっぱい辛い事があったと思うけど、人生のターンはもう変わったの。
これからは幸せになる番だよ。」
ユウは恵太を励ました。
「ありがとうございます」
恵太はユウの言葉に礼を述べたが、我慢できずに大泣きしてしまった。
3
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる