カジュアルセックスチェンジ

フロイライン

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「ねえ、あっちゃん
明日、莉愛ちゃんがここに来るって連絡が入ったの。」

由香里は、敦が待つベッドに入ると、智から入ったLINEの画面を見せた。

「えっ、莉愛が?」

「何か、私物を取りに来たいからって。」


「私物?
そんなもの置いてたっけ?

まあ、いいか。
それよりも…大丈夫?

由香里ちゃん」


敦は少し遠慮気味に言った。


「えっ、ひょっとして前妻の娘さんの莉愛ちゃんがここに来るのを私が嫌がるって思ってる?

あっちゃん、そんなのいいに決まってるじゃない。

私だって莉愛ちゃんの事は今でも家族のように思ってるのよ。」


「うん、ごめん。
そう言ってもらえると、僕もすごく嬉しいよ。

ところで何時に駅に着くって?」


「夕方の四時過ぎだって。」


「じゃあ、迎えに行かないとな」


「あっちゃん、私が行くわよ。」


「あ、うん。

ありがとう。」


「恵太も喜ぶしね。」


「まあ、色々あったけど、こうして由香里ちゃんと恵太君と幸せに暮らせているし、僕は本当に幸せ者だよ。」


「うん。
私もよ…


私、智さんの事が大好きなのよ。
あっちゃんと別れたのだって、決して嫌いになったんでもこの生活がイヤになったんでもないと思うのね。

みんなが幸せに生きる事を念頭に、敢えて自分を殺して、今の形を作ってくれたのよ。」


「それは、僕も思うけど…」


「けど?」


「誤解を恐れずに言うと、僕が本当に求めていたものは、フツーなんだよ。

たしかにトモの事はすごく好きだったし、一緒にいて楽しくもあった。

でも、平凡な家庭で育ち、平凡な小学校の教員だった僕は、トモと付き合い、一緒になって、幸せではあったけど、フツーではなかった。

トモがニューハーフだったっていうことは、小さな事ではないが、そこまで気にはしていなかった。

でも、やはりフツーの生活っていうのは難しかったんだよね。

農業も上手くいかず、母も病気になって、僕は心の底にしまっていた疑問のような、不満のような、上手く言葉で説明できないけど、そのような感情が時折湧いてくるようになっていたんだ。

そして、キミに出会った。

キミはすごく美しくて優しくて、魅力的な女性だったが、それでいてフツーの女性だった。

僕はそんなキミに心を奪われてしまった。

だから、トモが身を引かなくても、早晩このような事になっていたと思うよ。」

敦は日頃から思っている事を、由香里に言葉で伝えた。


「あっちゃん…愛してる」

由香里は瞳を潤ませ、敦の胸に顔を埋めた。
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