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上京
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智は半年ぶりに東京にやってきた。
本当なら美智香の家に行くつもりだったが、まさかの団地妻になっているとはつゆ知らず、初っ端からアテが外れてしまった。
しかし…
「トモちゃん!」
駅の改札を出たところで小柄で可愛らしい女性が智に声をかけてきた。
その美女はユウだった。
智を慕う美人ニューハーフのユウは、智から連絡を受けて、自分の家に来るように申し出てくれたのだ。
智は申し訳ないと思いつつ、またユウに頼ってしまったのだった。
「ごめんね、ユウちゃん
突然無理をお願いしちゃって。」
「何言ってるのよれ
トモちゃんから連絡きてからさあ、もうずーっとワクワクしっぱなしだったんだから、今日まで」
「ありがとう、ユウちゃん」
「とりあえず、ウチに荷物置きに行こうよ」
ユウはキャリーケースとボストンバックを持つ智からボストンバックの方を受け取り、肩にかけた。
「あ、大丈夫よ、ユウちゃん
自分で持てるから」
智が恐縮するのにも構わず、ユウは笑顔で歩き出した。
家に着くと、智は長旅の疲れを癒すべく、少しソファーに座らせてもらってのんびりとした時間を過ごした。
ユウは隣に座り、この半年間に起きた事を二人で語り合った。
ユウの関心は、もっぱら智の離婚についてで、この前会った時はそういう兆候が見えていなかったにもかかわらず、わずかな期間で離婚に至った経緯を聞きたがった。
智はこういう状況に陥ってしまった理由、そして自分の思い、後ろめたい気持ち等、ユウには遠慮する事なく赤裸々に語った。
ユウは驚きながら、その話を聞いていたが、途中で泣き出してしまった。
「どうしたの、ユウちゃん
全然泣くような話じゃないよ」
「だって、トモちゃんの気持ちを考えたら、何か涙が止まらなくなっちゃう…」
「そこまで悲しんでないのよ、ワタシ
なんかまた東京で頑張ろうっていう前向きな気持ちもあるしね」
「トモちゃん、家なんて見つけなくてもいいよ
ここで一緒に住も」
「それはいくらなんでも、悪いわ」
「全然。
ワタシ、トモちゃんと一緒に住むのが夢だったの」
「でも…
春休みには娘も寮から帰ってくるし、戻る場所っていうの?
そういうのを作っておかなきゃなんないのよ。」
「それだったら、娘さんもこっちに来ればいいじゃん。
ワタシは全く問題ないけど。
娘さん、ニューハーフに理解ある?」
「あるある。
だって父親がニューハーフなんだから」
智はそう言って笑った。
「だったら、ね?
ここにいて、トモちゃん」
「お言葉に甘えていいのかなあ」
智が恐縮しながら言うと、ユウは言葉の代わりに抱きついてキスをしてきた。
本当なら美智香の家に行くつもりだったが、まさかの団地妻になっているとはつゆ知らず、初っ端からアテが外れてしまった。
しかし…
「トモちゃん!」
駅の改札を出たところで小柄で可愛らしい女性が智に声をかけてきた。
その美女はユウだった。
智を慕う美人ニューハーフのユウは、智から連絡を受けて、自分の家に来るように申し出てくれたのだ。
智は申し訳ないと思いつつ、またユウに頼ってしまったのだった。
「ごめんね、ユウちゃん
突然無理をお願いしちゃって。」
「何言ってるのよれ
トモちゃんから連絡きてからさあ、もうずーっとワクワクしっぱなしだったんだから、今日まで」
「ありがとう、ユウちゃん」
「とりあえず、ウチに荷物置きに行こうよ」
ユウはキャリーケースとボストンバックを持つ智からボストンバックの方を受け取り、肩にかけた。
「あ、大丈夫よ、ユウちゃん
自分で持てるから」
智が恐縮するのにも構わず、ユウは笑顔で歩き出した。
家に着くと、智は長旅の疲れを癒すべく、少しソファーに座らせてもらってのんびりとした時間を過ごした。
ユウは隣に座り、この半年間に起きた事を二人で語り合った。
ユウの関心は、もっぱら智の離婚についてで、この前会った時はそういう兆候が見えていなかったにもかかわらず、わずかな期間で離婚に至った経緯を聞きたがった。
智はこういう状況に陥ってしまった理由、そして自分の思い、後ろめたい気持ち等、ユウには遠慮する事なく赤裸々に語った。
ユウは驚きながら、その話を聞いていたが、途中で泣き出してしまった。
「どうしたの、ユウちゃん
全然泣くような話じゃないよ」
「だって、トモちゃんの気持ちを考えたら、何か涙が止まらなくなっちゃう…」
「そこまで悲しんでないのよ、ワタシ
なんかまた東京で頑張ろうっていう前向きな気持ちもあるしね」
「トモちゃん、家なんて見つけなくてもいいよ
ここで一緒に住も」
「それはいくらなんでも、悪いわ」
「全然。
ワタシ、トモちゃんと一緒に住むのが夢だったの」
「でも…
春休みには娘も寮から帰ってくるし、戻る場所っていうの?
そういうのを作っておかなきゃなんないのよ。」
「それだったら、娘さんもこっちに来ればいいじゃん。
ワタシは全く問題ないけど。
娘さん、ニューハーフに理解ある?」
「あるある。
だって父親がニューハーフなんだから」
智はそう言って笑った。
「だったら、ね?
ここにいて、トモちゃん」
「お言葉に甘えていいのかなあ」
智が恐縮しながら言うと、ユウは言葉の代わりに抱きついてキスをしてきた。
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