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汚れたシャツ
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翌朝、莉愛は横で眠る恵太を横目にしながら昨夜の事を思い出していた。
自分はやってはいけない事をされてしまった。
自ら望んだ事ではないにせよ、汚れてしまった…
もう自分は昨日までの自分ではなく、薄汚れた存在に成り果ててしまったのだ。
莉愛は死にたい衝動に駆られるくらいに落ち込み、絶望の闇の中でもがき苦しんでいた。
だが、そんな心境を遥かに凌駕するほどの快感は、莉愛が完全に堕ちる事を阻止し、性への好奇心は、逆に生への執着を与えた。
「おはよう、莉愛ちゃん」
莉愛を地獄に突き落とした張本人の恵太も目を覚まし、莉愛に語りかけてきた。
「…」
「莉愛ちゃん、昨日はごめんなさい」
「ごめんじゃない!
なんであんな事したのよ!」
「本当にごめんなさい…」
「アンタさあ、女子になりたいって言ってたんじゃないの?
だから、私も安心して一緒に寝たのに、なんなのよ、もう!」
怒りに満ち溢れた表情で、莉愛は恵太を激しく叱責した。
「莉愛ちゃん、ワタシ…
女子になりたいのは本当なの…
でも、恋愛対象は男子じゃなくて女子なの」
「何よ、ソレ…
そんな事ってあるの!?
嘘つくなよ!」
「ついてない、ついてない
ワタシも自分のことで悩んで、調べてみたら
自分のようなパターンもあるってわかったの」
「…」
「本当にごめんなさい…
もう、絶対にしないから」
「もう、いいよ…
私、パパと病院行っておばあちゃんのお見舞いしてくるわ」
莉愛は元気なく答えると、肩を落として部屋を出ていった。
気まずいと思い、恵太は暫くそこに寝たままでいたが、さすがに農作業に遅れると思い、下に降りていった。
既に莉愛の姿はなく、代わりに智が来て声をかけた。
「おはよう、恵ちゃん」
「おはようございます…」
「どうしたの?
何か元気ないわね」
「そんなことないけど…
莉愛ちゃんは?」
「今、パパと出掛けてったわ。」
「そう…
ママは?」
「もう畑に行ったわよ。」
「ワタシもすぐ準備して行くね」
「ダメよ
ちゃんと朝ご飯は食べないと…」
「うん」
智はトーストを焼き、ハムエッグとサラダを恵太の為に用意した。
「トモちゃん…
東京へはいつ行くの?」
恵太は、自分も畑に出る準備を始めようとしていた智に質問したが
「まだ何も決めてないわ」
智の口ぶりから、本当に何も決まってないことが窺い知れた。
恵太は、尊敬する智の愛娘を傷つけてしまった後悔の念に包まれながら、ため息をついた。
自分はやってはいけない事をされてしまった。
自ら望んだ事ではないにせよ、汚れてしまった…
もう自分は昨日までの自分ではなく、薄汚れた存在に成り果ててしまったのだ。
莉愛は死にたい衝動に駆られるくらいに落ち込み、絶望の闇の中でもがき苦しんでいた。
だが、そんな心境を遥かに凌駕するほどの快感は、莉愛が完全に堕ちる事を阻止し、性への好奇心は、逆に生への執着を与えた。
「おはよう、莉愛ちゃん」
莉愛を地獄に突き落とした張本人の恵太も目を覚まし、莉愛に語りかけてきた。
「…」
「莉愛ちゃん、昨日はごめんなさい」
「ごめんじゃない!
なんであんな事したのよ!」
「本当にごめんなさい…」
「アンタさあ、女子になりたいって言ってたんじゃないの?
だから、私も安心して一緒に寝たのに、なんなのよ、もう!」
怒りに満ち溢れた表情で、莉愛は恵太を激しく叱責した。
「莉愛ちゃん、ワタシ…
女子になりたいのは本当なの…
でも、恋愛対象は男子じゃなくて女子なの」
「何よ、ソレ…
そんな事ってあるの!?
嘘つくなよ!」
「ついてない、ついてない
ワタシも自分のことで悩んで、調べてみたら
自分のようなパターンもあるってわかったの」
「…」
「本当にごめんなさい…
もう、絶対にしないから」
「もう、いいよ…
私、パパと病院行っておばあちゃんのお見舞いしてくるわ」
莉愛は元気なく答えると、肩を落として部屋を出ていった。
気まずいと思い、恵太は暫くそこに寝たままでいたが、さすがに農作業に遅れると思い、下に降りていった。
既に莉愛の姿はなく、代わりに智が来て声をかけた。
「おはよう、恵ちゃん」
「おはようございます…」
「どうしたの?
何か元気ないわね」
「そんなことないけど…
莉愛ちゃんは?」
「今、パパと出掛けてったわ。」
「そう…
ママは?」
「もう畑に行ったわよ。」
「ワタシもすぐ準備して行くね」
「ダメよ
ちゃんと朝ご飯は食べないと…」
「うん」
智はトーストを焼き、ハムエッグとサラダを恵太の為に用意した。
「トモちゃん…
東京へはいつ行くの?」
恵太は、自分も畑に出る準備を始めようとしていた智に質問したが
「まだ何も決めてないわ」
智の口ぶりから、本当に何も決まってないことが窺い知れた。
恵太は、尊敬する智の愛娘を傷つけてしまった後悔の念に包まれながら、ため息をついた。
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