カジュアルセックスチェンジ

戦術展開

その日も美沙は翔の食事を作るために一人暮らしをする部屋を訪れていた。

食事の後、洗い物をする美沙に翔が後ろから声をかけた。


「美沙、大丈夫？
家の方は…」


「うん。
離婚の話は、こっちの言いたいことは全部言ったし、後は向こうの返事待ち。

財産的なものは全て権利を放棄するって伝えてるし、裁判とか調停とかには発展しないと思うよ。

あと、息子にも伝えた。」


「えっ、何て言ってた？」


「好きにしろって。
大学卒業まで面倒見てくれたら後は何とかするって。」


「物分かりのいい息子さんだなあ」


「小さい時から私達の夫婦関係を間近で見てきたからね。
思うところもあったんじゃないかな。

最後にこう言われたわ。

親父と母さんの関係見てたら結婚なんてしたいと思わなくなったって。」


「辛辣だね。」


「事実だし。
遅かれ早かれ別れる事は決まっていたようなものよ。」


「なら、僕の気持ちも少しは楽になるんだけどね。」


「翔クンはそんな事気にしないの。

私は、今人生で一番幸せな気分なんだから。」


「美沙…」

翔は美沙を後ろから抱きしめた。

美沙は翔の腕に自分の手をそっと置き、彼の温かさをしみじみとその身に感じていた。


美智香といい美沙といい、若い男に心を奪われるのにほとんど時間がかからなかったのは、彼女達の経験の無さを物語っていた。