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親子鷹
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女性ホルモン剤をめぐって、恵太は一歩も引かず、智を困らせた。
だが、いよいよ逃げきれなくなり、仕方なく母の由香里に相談をした。
しかし、由香里は智の期待する答えを用意しておらず
「トモさん、お金はお支払いしますので、そのお薬を分けてもらってもよろしいですか」
と、願い出た。
「由香里さん
恵ちゃんにも言いましたが、この薬はリスクが大きいんです。
まだ16歳の子に服用させるのは賛成出来ません。」
「それも自己責任の範疇だと思います。
恵太はこれ以上の男性化に耐えられないと、ここのところずっと私に訴えてきていました。
私も少なからず副作用などの事は調べて知っておりましたので、悩んだ末に保留していましたが、トモさんの元へ来たことは良い機会だと思い、恵太の希望を聞いてやりたいと考えるようになりました。」
「そんな…」
結局、智は境親子の熱意に負けてしまい、薬を渡す事にした。
この日から恵太は定期的に女性ホルモンを服用する事になった。
恵太もまた智と同じように女になる素養があった。
服用してからまもなく、乳首に痛みが走り、少しずつではあるが膨らみをもつようになった。
智は奇跡のニューハーフと呼ばれるくらい、圧倒的なスピードで女性化していったが、恵太は同等、いや、それ以上だった。
それが証拠に、たまにしか顔を見ない敦が、その変化に驚き、智に質問したのだった。
「恵ちゃん、なんか変わったけど、どうしたんだろう?」
と。
恵太の女性化以外の事も全て順調に推移し、野菜の収穫も上手く出来て、莉愛発案の里親計画は無事に実を結んだ。
しかし、町の病院に入院中の光江に関しては、良くなる兆しはなく、長期入院を余儀なくされていた。
敦も付き添いで家を不在にする事が、相変わらず多く、智の負担が減る兆しは一向に見えてこなかった。
境親子もここに来てから既に二ヶ月が経過したが、不満一つ漏らさず、本当に伊東家の為に尽くしてくれたのだった。
その日も、敦は光江の病院でギリギリの時間まで付き添い、夜遅くに家に帰ってきた。
農家の朝は早く、その時間帯は智、由香里、恵太も寝静まり、敦は起こさないようにそっとドアを開けて中に入り、風呂に入ると、智が作り置いていた夜食を平らげた。
そして、明日に備えて眠ろうと二階へ上がろうとした時、奥の部屋から由香里の声が聞こえてきた。
電話で誰かと話しているのか?と、敦はそのまま二階に上がろうとしたが、よくよく聞いてみると、話声ではなく、苦しそうな声を発していた。
持病があるとは聞いていなかったが、良からぬ不安が頭を駆け巡り、慌てて由香里の部屋を開けた。
だが、いよいよ逃げきれなくなり、仕方なく母の由香里に相談をした。
しかし、由香里は智の期待する答えを用意しておらず
「トモさん、お金はお支払いしますので、そのお薬を分けてもらってもよろしいですか」
と、願い出た。
「由香里さん
恵ちゃんにも言いましたが、この薬はリスクが大きいんです。
まだ16歳の子に服用させるのは賛成出来ません。」
「それも自己責任の範疇だと思います。
恵太はこれ以上の男性化に耐えられないと、ここのところずっと私に訴えてきていました。
私も少なからず副作用などの事は調べて知っておりましたので、悩んだ末に保留していましたが、トモさんの元へ来たことは良い機会だと思い、恵太の希望を聞いてやりたいと考えるようになりました。」
「そんな…」
結局、智は境親子の熱意に負けてしまい、薬を渡す事にした。
この日から恵太は定期的に女性ホルモンを服用する事になった。
恵太もまた智と同じように女になる素養があった。
服用してからまもなく、乳首に痛みが走り、少しずつではあるが膨らみをもつようになった。
智は奇跡のニューハーフと呼ばれるくらい、圧倒的なスピードで女性化していったが、恵太は同等、いや、それ以上だった。
それが証拠に、たまにしか顔を見ない敦が、その変化に驚き、智に質問したのだった。
「恵ちゃん、なんか変わったけど、どうしたんだろう?」
と。
恵太の女性化以外の事も全て順調に推移し、野菜の収穫も上手く出来て、莉愛発案の里親計画は無事に実を結んだ。
しかし、町の病院に入院中の光江に関しては、良くなる兆しはなく、長期入院を余儀なくされていた。
敦も付き添いで家を不在にする事が、相変わらず多く、智の負担が減る兆しは一向に見えてこなかった。
境親子もここに来てから既に二ヶ月が経過したが、不満一つ漏らさず、本当に伊東家の為に尽くしてくれたのだった。
その日も、敦は光江の病院でギリギリの時間まで付き添い、夜遅くに家に帰ってきた。
農家の朝は早く、その時間帯は智、由香里、恵太も寝静まり、敦は起こさないようにそっとドアを開けて中に入り、風呂に入ると、智が作り置いていた夜食を平らげた。
そして、明日に備えて眠ろうと二階へ上がろうとした時、奥の部屋から由香里の声が聞こえてきた。
電話で誰かと話しているのか?と、敦はそのまま二階に上がろうとしたが、よくよく聞いてみると、話声ではなく、苦しそうな声を発していた。
持病があるとは聞いていなかったが、良からぬ不安が頭を駆け巡り、慌てて由香里の部屋を開けた。
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