333 / 722
親子鷹
しおりを挟む
女性ホルモン剤をめぐって、恵太は一歩も引かず、智を困らせた。
だが、いよいよ逃げきれなくなり、仕方なく母の由香里に相談をした。
しかし、由香里は智の期待する答えを用意しておらず
「トモさん、お金はお支払いしますので、そのお薬を分けてもらってもよろしいですか」
と、願い出た。
「由香里さん
恵ちゃんにも言いましたが、この薬はリスクが大きいんです。
まだ16歳の子に服用させるのは賛成出来ません。」
「それも自己責任の範疇だと思います。
恵太はこれ以上の男性化に耐えられないと、ここのところずっと私に訴えてきていました。
私も少なからず副作用などの事は調べて知っておりましたので、悩んだ末に保留していましたが、トモさんの元へ来たことは良い機会だと思い、恵太の希望を聞いてやりたいと考えるようになりました。」
「そんな…」
結局、智は境親子の熱意に負けてしまい、薬を渡す事にした。
この日から恵太は定期的に女性ホルモンを服用する事になった。
恵太もまた智と同じように女になる素養があった。
服用してからまもなく、乳首に痛みが走り、少しずつではあるが膨らみをもつようになった。
智は奇跡のニューハーフと呼ばれるくらい、圧倒的なスピードで女性化していったが、恵太は同等、いや、それ以上だった。
それが証拠に、たまにしか顔を見ない敦が、その変化に驚き、智に質問したのだった。
「恵ちゃん、なんか変わったけど、どうしたんだろう?」
と。
恵太の女性化以外の事も全て順調に推移し、野菜の収穫も上手く出来て、莉愛発案の里親計画は無事に実を結んだ。
しかし、町の病院に入院中の光江に関しては、良くなる兆しはなく、長期入院を余儀なくされていた。
敦も付き添いで家を不在にする事が、相変わらず多く、智の負担が減る兆しは一向に見えてこなかった。
境親子もここに来てから既に二ヶ月が経過したが、不満一つ漏らさず、本当に伊東家の為に尽くしてくれたのだった。
その日も、敦は光江の病院でギリギリの時間まで付き添い、夜遅くに家に帰ってきた。
農家の朝は早く、その時間帯は智、由香里、恵太も寝静まり、敦は起こさないようにそっとドアを開けて中に入り、風呂に入ると、智が作り置いていた夜食を平らげた。
そして、明日に備えて眠ろうと二階へ上がろうとした時、奥の部屋から由香里の声が聞こえてきた。
電話で誰かと話しているのか?と、敦はそのまま二階に上がろうとしたが、よくよく聞いてみると、話声ではなく、苦しそうな声を発していた。
持病があるとは聞いていなかったが、良からぬ不安が頭を駆け巡り、慌てて由香里の部屋を開けた。
だが、いよいよ逃げきれなくなり、仕方なく母の由香里に相談をした。
しかし、由香里は智の期待する答えを用意しておらず
「トモさん、お金はお支払いしますので、そのお薬を分けてもらってもよろしいですか」
と、願い出た。
「由香里さん
恵ちゃんにも言いましたが、この薬はリスクが大きいんです。
まだ16歳の子に服用させるのは賛成出来ません。」
「それも自己責任の範疇だと思います。
恵太はこれ以上の男性化に耐えられないと、ここのところずっと私に訴えてきていました。
私も少なからず副作用などの事は調べて知っておりましたので、悩んだ末に保留していましたが、トモさんの元へ来たことは良い機会だと思い、恵太の希望を聞いてやりたいと考えるようになりました。」
「そんな…」
結局、智は境親子の熱意に負けてしまい、薬を渡す事にした。
この日から恵太は定期的に女性ホルモンを服用する事になった。
恵太もまた智と同じように女になる素養があった。
服用してからまもなく、乳首に痛みが走り、少しずつではあるが膨らみをもつようになった。
智は奇跡のニューハーフと呼ばれるくらい、圧倒的なスピードで女性化していったが、恵太は同等、いや、それ以上だった。
それが証拠に、たまにしか顔を見ない敦が、その変化に驚き、智に質問したのだった。
「恵ちゃん、なんか変わったけど、どうしたんだろう?」
と。
恵太の女性化以外の事も全て順調に推移し、野菜の収穫も上手く出来て、莉愛発案の里親計画は無事に実を結んだ。
しかし、町の病院に入院中の光江に関しては、良くなる兆しはなく、長期入院を余儀なくされていた。
敦も付き添いで家を不在にする事が、相変わらず多く、智の負担が減る兆しは一向に見えてこなかった。
境親子もここに来てから既に二ヶ月が経過したが、不満一つ漏らさず、本当に伊東家の為に尽くしてくれたのだった。
その日も、敦は光江の病院でギリギリの時間まで付き添い、夜遅くに家に帰ってきた。
農家の朝は早く、その時間帯は智、由香里、恵太も寝静まり、敦は起こさないようにそっとドアを開けて中に入り、風呂に入ると、智が作り置いていた夜食を平らげた。
そして、明日に備えて眠ろうと二階へ上がろうとした時、奥の部屋から由香里の声が聞こえてきた。
電話で誰かと話しているのか?と、敦はそのまま二階に上がろうとしたが、よくよく聞いてみると、話声ではなく、苦しそうな声を発していた。
持病があるとは聞いていなかったが、良からぬ不安が頭を駆け巡り、慌てて由香里の部屋を開けた。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる