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give&take
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「由香里さん、もしウチに来て下さるんでしたら大歓迎させていただきます。
ただ、ウチもこのような事を始めたのには少し事情がありまして…
今、私達は農業を生業にして生活しています。
ですが、最近義母が病気になり、今朝町の病院に入院しました。
これから主人は病院を行ったり来たりの生活を強いられるために、畑の人手が足りなくなります。
これも全く都合のいいお話なんですが…
ろくに給料をお支払い出来ないんですが、畑を手伝って欲しくて、このような募集をさせていただいたのが正直なところです。」
「ええ。それは莉愛ちゃんからもお聞きして重々理解して承知しております。
私達親子はそのつもりでこちらに来ることを決めました。
私も実家は農家で、小さい時からずっと手伝わされてきたので、仕事内容についてはよく理解しているつもりです。
智さん達さえよろしければ、是非こちらで生活させて下さい。」
「ありがとうございます。
でも、ご主人の方は大丈夫なんですか?」
「はい。
単身で海外勤務に出ていて、帰ってくるのも年に一回だけなんです。」
「そうなんですね。
ありがとうございます。
恵太クンも大丈夫?」
「はい!
トモさんの弟子になりたいです!」
智は莉愛から恵太が弟子入りしたいとは聞いていたが、まさか本当に言うとは思っておらず、少し驚いた表情を見せた。
「恵太はニューハーフになる事を目指して生きていくそうです。
智さん、是非ニューハーフのいろはを教えてやって下さい」
「そんな大それた事はお教え出来ませんが、親御さんがニューハーフになる事を肯定して下さっているのなら、ワタシも遠慮なく知っている事はお話しさせていただきます。
どうかよろしくお願いします。」
こうして、境親子の住み込みが決まり、一旦帰っていった。
明後日、改めて住み込むための荷物を持って来るということで。
「莉愛、こんなにトントン拍子で人手の確保ができるなんて思ってもみなかったわ。
あなたのおかげね。」
「こういうのってギブアンドテイクの関係って言うじゃない?
ウチと境親子が欲しいものが上手く一致したってこと。」
「莉愛ってすごいね
我が娘ながら感心するわ」
「あんまり褒めないでよ。
私はママも大好きだし、パパもおばあちゃんもこの家も大好きなんだ。
だから、自分に出来ることがあるなら何でもする。
ただそれだけのことよ。」
「莉愛、大好き」
智は莉愛を抱きしめて頬にキスした。
「もう
戸籍上はパパなんだからね
高校生の娘に父親がこんな事したら、大変な事になるよ。」
莉愛はそう言って笑った。
「ごめん。
もう父親としての自覚も心象も無くなっちゃってて、ついつい。」
「ママ、大好きだよ。
ママのおかげで私もこうやって毎日を楽しく生きる事が出来てるし。」
莉愛は照れながらも、智に抱きついて言った。
ただ、ウチもこのような事を始めたのには少し事情がありまして…
今、私達は農業を生業にして生活しています。
ですが、最近義母が病気になり、今朝町の病院に入院しました。
これから主人は病院を行ったり来たりの生活を強いられるために、畑の人手が足りなくなります。
これも全く都合のいいお話なんですが…
ろくに給料をお支払い出来ないんですが、畑を手伝って欲しくて、このような募集をさせていただいたのが正直なところです。」
「ええ。それは莉愛ちゃんからもお聞きして重々理解して承知しております。
私達親子はそのつもりでこちらに来ることを決めました。
私も実家は農家で、小さい時からずっと手伝わされてきたので、仕事内容についてはよく理解しているつもりです。
智さん達さえよろしければ、是非こちらで生活させて下さい。」
「ありがとうございます。
でも、ご主人の方は大丈夫なんですか?」
「はい。
単身で海外勤務に出ていて、帰ってくるのも年に一回だけなんです。」
「そうなんですね。
ありがとうございます。
恵太クンも大丈夫?」
「はい!
トモさんの弟子になりたいです!」
智は莉愛から恵太が弟子入りしたいとは聞いていたが、まさか本当に言うとは思っておらず、少し驚いた表情を見せた。
「恵太はニューハーフになる事を目指して生きていくそうです。
智さん、是非ニューハーフのいろはを教えてやって下さい」
「そんな大それた事はお教え出来ませんが、親御さんがニューハーフになる事を肯定して下さっているのなら、ワタシも遠慮なく知っている事はお話しさせていただきます。
どうかよろしくお願いします。」
こうして、境親子の住み込みが決まり、一旦帰っていった。
明後日、改めて住み込むための荷物を持って来るということで。
「莉愛、こんなにトントン拍子で人手の確保ができるなんて思ってもみなかったわ。
あなたのおかげね。」
「こういうのってギブアンドテイクの関係って言うじゃない?
ウチと境親子が欲しいものが上手く一致したってこと。」
「莉愛ってすごいね
我が娘ながら感心するわ」
「あんまり褒めないでよ。
私はママも大好きだし、パパもおばあちゃんもこの家も大好きなんだ。
だから、自分に出来ることがあるなら何でもする。
ただそれだけのことよ。」
「莉愛、大好き」
智は莉愛を抱きしめて頬にキスした。
「もう
戸籍上はパパなんだからね
高校生の娘に父親がこんな事したら、大変な事になるよ。」
莉愛はそう言って笑った。
「ごめん。
もう父親としての自覚も心象も無くなっちゃってて、ついつい。」
「ママ、大好きだよ。
ママのおかげで私もこうやって毎日を楽しく生きる事が出来てるし。」
莉愛は照れながらも、智に抱きついて言った。
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