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負の選択
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「敦もトモも必死で頑張る姿を側で見てきたから、ワシも何とかしてやりたいと思うとる。
どうにかして畑を続けられるようにな」
「そりゃそうだ。
若い二人が村に戻ってきてくれて農家を継いでくれたんだ。
ワシら年寄りがサポートしてやらないかんだろ。」
吉川の言葉に三嶋も頷いて熱く語った。
「ありがとうございます。
畑を智に任せて人でも雇って来てもらおうかとも考えましたが、どう計算してもウチには人を雇うだけの余裕はありませんし、また、こんな山奥まで来てくれる人もいないでしょう。
だから、その線は諦めざるを得ませんでした。」
「それなら、光江さんが落ち着くまでの間、ワシが金を出してやるから、それで何とか急場を凌げないか?」
「いえ、これまでもおじさんや組合から多大なる援助をしてもらい、その額も膨らむ一方です。
これ以上はもう…」
「まあ、それもそうじゃな
収支バランスもかなり際どいところまで来とる。
今年から巻き返さんと、将来的には厳しいものがある。」
「と、いう事は吉川さん、ワシらで土地を買い上げるのが一番マシな策っちゅーことか」
吉川も三嶋も打開策を見つけられず、場に諦めムードが漂った。
「あのー、私も喋っていい?」
黙って聞いていた莉愛が手を挙げて、会話に入って来た。
「おう、莉愛ちゃんもこの話の当事者やし、全然話してくれて構わんよ」
三嶋はそう言って、莉愛の発言を促した。
「人を雇おうと思えば雇えると思うんだけど。
それもお金をかけずに」
莉愛の言葉に、そこにいた全員が訝しがって、視線を一斉に向けた。
「聞いた事ない?
学校に馴染めない子供たちを農家が里親として受け入れて農業させながら、育てるってやつ」
「あー、知っとるよ
それがどうかしたか」
「小中学生はまだしも、高校を不登校になったり、退学して家に引きこもってる人も多くて、その人たちに呼びかけて来てもらって手伝ってもらったらいいのよ。
最近は過保護な親もいて、一緒について来て住み込む人もいるそうよ。
ついでにその親にも働いてもらえば効率的だよ
家に住ませてご飯も食べさせないといけないけど、別に給料も払わなくていいし。
どうかな?」
「まあ、そんな都合のええ奴が来てくれたらええけど」
「私、心当たりが一人いるんだ。
どうかな、その案」
「心当たりって…」
莉愛の発言に智も困惑し、思わず顔を見つめた。
「今日はここまでにしよう。
もう一度皆んなで知恵絞って、何かええ方法がないか考えてみようや。
それでどうしようもなけりゃ、売ることを考えたらええ。
でも、それは最終手段としてな。
敦、光江さんの事は頼んだぞ」
「はい。ご迷惑をおかけしますが、どうか宜しくお願いします。」
敦は吉川に頭を下げた。
どうにかして畑を続けられるようにな」
「そりゃそうだ。
若い二人が村に戻ってきてくれて農家を継いでくれたんだ。
ワシら年寄りがサポートしてやらないかんだろ。」
吉川の言葉に三嶋も頷いて熱く語った。
「ありがとうございます。
畑を智に任せて人でも雇って来てもらおうかとも考えましたが、どう計算してもウチには人を雇うだけの余裕はありませんし、また、こんな山奥まで来てくれる人もいないでしょう。
だから、その線は諦めざるを得ませんでした。」
「それなら、光江さんが落ち着くまでの間、ワシが金を出してやるから、それで何とか急場を凌げないか?」
「いえ、これまでもおじさんや組合から多大なる援助をしてもらい、その額も膨らむ一方です。
これ以上はもう…」
「まあ、それもそうじゃな
収支バランスもかなり際どいところまで来とる。
今年から巻き返さんと、将来的には厳しいものがある。」
「と、いう事は吉川さん、ワシらで土地を買い上げるのが一番マシな策っちゅーことか」
吉川も三嶋も打開策を見つけられず、場に諦めムードが漂った。
「あのー、私も喋っていい?」
黙って聞いていた莉愛が手を挙げて、会話に入って来た。
「おう、莉愛ちゃんもこの話の当事者やし、全然話してくれて構わんよ」
三嶋はそう言って、莉愛の発言を促した。
「人を雇おうと思えば雇えると思うんだけど。
それもお金をかけずに」
莉愛の言葉に、そこにいた全員が訝しがって、視線を一斉に向けた。
「聞いた事ない?
学校に馴染めない子供たちを農家が里親として受け入れて農業させながら、育てるってやつ」
「あー、知っとるよ
それがどうかしたか」
「小中学生はまだしも、高校を不登校になったり、退学して家に引きこもってる人も多くて、その人たちに呼びかけて来てもらって手伝ってもらったらいいのよ。
最近は過保護な親もいて、一緒について来て住み込む人もいるそうよ。
ついでにその親にも働いてもらえば効率的だよ
家に住ませてご飯も食べさせないといけないけど、別に給料も払わなくていいし。
どうかな?」
「まあ、そんな都合のええ奴が来てくれたらええけど」
「私、心当たりが一人いるんだ。
どうかな、その案」
「心当たりって…」
莉愛の発言に智も困惑し、思わず顔を見つめた。
「今日はここまでにしよう。
もう一度皆んなで知恵絞って、何かええ方法がないか考えてみようや。
それでどうしようもなけりゃ、売ることを考えたらええ。
でも、それは最終手段としてな。
敦、光江さんの事は頼んだぞ」
「はい。ご迷惑をおかけしますが、どうか宜しくお願いします。」
敦は吉川に頭を下げた。
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