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little hat
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「良ちゃん、今日は莉愛が帰ってくるのよ。
後で迎えに行ってくるね」
「おー、莉愛が帰ってくるんか。
そりゃ楽しみだなあ。」
「って言っても一週間だけなんだけどね。
またすぐに寮に戻らないとダメみたい」
「帰って来たら、ウチにも顔出すように言うてくれ
小遣いでも渡してやらないかんからな。」
「ありがとう、良ちゃん
いつも良くしてもらって」
「まあ、お前んとこの家の連中はもうワシの家族のようなもんだからな。
特にトモ、お前はワシの嫁みたいなもんよ。」
「もう、勝手なこと言っちゃって。」
「ガッハッハッハッハー
じゃあ、ワシも畑に戻るかの」
「うん。ありがとうね、良ちゃん
送ってくわ」
智は軽トラを指さして言った。
「おー、すまん
じゃあ乗せてもらうか。」
吉川は助手席に乗り込んだ。
智は吉川を畑に送り届けた後、その足で自分の畑に行き、しばらく農作業をしていたが、昼からは莉愛の迎えのために畑には出ず、着替えて、車に乗り込み、一時間半もかかる最寄駅に向かった。
約四ヶ月ぶりに会う莉愛との再会を楽しみにしながら。
先日は、この無人駅で自分も敦の出迎えを受けた。
今度は出迎える番だ。
一時間に一本の列車が来るのを今か今かと待つ智だったが、予定の列車は約五分遅れで到着
智はホームの方を覗き込むと、唯一の降車客である、莉愛が制服姿でこちらに向かってくるのが見えた。
「莉愛!」
智が手を振って声をかけると、莉愛も気付き、ホッとしたような笑みを浮かべて駆け寄ってきた。
「おかえりなさい」
「ただいま、ママ」
智は莉愛を抱きしめ、四ヶ月ぶりの愛娘との再会を喜んだ。
智は莉愛を車に乗せ、また来た道を一時間以上かけて戻っていった。
その道中、莉愛に学校のことを一頻り質問する智だったが、莉愛の智への質問の第一声はこれだった。
「ママ、痩せた?」
「えっ、わかる?」
「うん。なんかキレイになってるし
何かあったの?」
「ちょっと東京に行ってたのよ。」
「あー、電話かけたときパパが言ってたね」
「そうそう。
三ヶ月ほど働きにね」
「ママも大変ね
私も学費出してもらってるし、その責任はあるんだけど。」
「子供がそんな事気にしなくていいの。
ちゃんと大学まで行かせるだけのお金は持ってるから心配しないで」
「はーい」
車は家の前に到着し、莉愛は家に入っていった。
「ただいまーっ」
声をかけたが、反応はなく
玄関の靴の数を見て、ようやく父と祖母の不在を理解した。
「あれ、パパとおばあちゃんは?」
莉愛は車を庭に停めて降りて来た智に質問した。
後で迎えに行ってくるね」
「おー、莉愛が帰ってくるんか。
そりゃ楽しみだなあ。」
「って言っても一週間だけなんだけどね。
またすぐに寮に戻らないとダメみたい」
「帰って来たら、ウチにも顔出すように言うてくれ
小遣いでも渡してやらないかんからな。」
「ありがとう、良ちゃん
いつも良くしてもらって」
「まあ、お前んとこの家の連中はもうワシの家族のようなもんだからな。
特にトモ、お前はワシの嫁みたいなもんよ。」
「もう、勝手なこと言っちゃって。」
「ガッハッハッハッハー
じゃあ、ワシも畑に戻るかの」
「うん。ありがとうね、良ちゃん
送ってくわ」
智は軽トラを指さして言った。
「おー、すまん
じゃあ乗せてもらうか。」
吉川は助手席に乗り込んだ。
智は吉川を畑に送り届けた後、その足で自分の畑に行き、しばらく農作業をしていたが、昼からは莉愛の迎えのために畑には出ず、着替えて、車に乗り込み、一時間半もかかる最寄駅に向かった。
約四ヶ月ぶりに会う莉愛との再会を楽しみにしながら。
先日は、この無人駅で自分も敦の出迎えを受けた。
今度は出迎える番だ。
一時間に一本の列車が来るのを今か今かと待つ智だったが、予定の列車は約五分遅れで到着
智はホームの方を覗き込むと、唯一の降車客である、莉愛が制服姿でこちらに向かってくるのが見えた。
「莉愛!」
智が手を振って声をかけると、莉愛も気付き、ホッとしたような笑みを浮かべて駆け寄ってきた。
「おかえりなさい」
「ただいま、ママ」
智は莉愛を抱きしめ、四ヶ月ぶりの愛娘との再会を喜んだ。
智は莉愛を車に乗せ、また来た道を一時間以上かけて戻っていった。
その道中、莉愛に学校のことを一頻り質問する智だったが、莉愛の智への質問の第一声はこれだった。
「ママ、痩せた?」
「えっ、わかる?」
「うん。なんかキレイになってるし
何かあったの?」
「ちょっと東京に行ってたのよ。」
「あー、電話かけたときパパが言ってたね」
「そうそう。
三ヶ月ほど働きにね」
「ママも大変ね
私も学費出してもらってるし、その責任はあるんだけど。」
「子供がそんな事気にしなくていいの。
ちゃんと大学まで行かせるだけのお金は持ってるから心配しないで」
「はーい」
車は家の前に到着し、莉愛は家に入っていった。
「ただいまーっ」
声をかけたが、反応はなく
玄関の靴の数を見て、ようやく父と祖母の不在を理解した。
「あれ、パパとおばあちゃんは?」
莉愛は車を庭に停めて降りて来た智に質問した。
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