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智が吉川の車を運転して家に戻ってくると、待ち構えていた敦が運転席に乗り替わり、光江を後部座席に乗せて町の病院目指して車を走らせていった。

智はその姿を見送ると、一人畑に出かけ敦の分まで働く事にした。

光江の状態が心配だが、畑の方を疎かにする事は出来ないと、智はここに残ることにしたのだ。



昼になり、食事を取るために家に戻ろうとすると、軽トラが近づいてきて停車した。


「おう、トモ
頑張っとるか」

車の窓からそう言って顔を出したのは吉川だった。


「良ちゃん
どうしたの?」


「どうせ、一人でロクなもの食べてないだろうから、差し入れ持ってきてやったんだよ。

一緒に食おうや」


「えーっ、嬉しい」


吉川は町の弁当屋で買ってきたと思われる袋を智に見せて、それを一つ手渡した。


二人は畑の側でビニールシートを敷き、吉川の買ってきた幕の内弁当を食べた。

「良ちゃん、これ、美味しい」


「そうか。
トモは東京で美味いもんばかり食ってきたろうから、口に合うか心配だったんだが、良かったよ。」


「東京って言っても、ワタシはロクなもの食べてないけどね。」



「まあ、お前さんもご苦労さんなこったな。

家計のためとはいえ、AV出たり風俗で三ヶ月も働いたりするんだからよ」


「まあ、そうだけど

ワタシ、性欲強いからさ、天職といえば天職なのよ。

性欲の強さは良ちゃんには負けるけど。」


「よく言うな。

お前さんには負けるわい。」

吉川はゲラゲラと笑った。


「ところで光江さんの状況はどうなんだ?

そんなに悪いのか」


「悪いというか、良くならないのよ、ずっと。

本人は大丈夫だって言うけど、大丈夫なわけないし、あっちゃんが無理矢理連れてったのよ。」


「まあ、検査して何事も無けりゃいいが、万が一の事があれば、夫婦だけじゃあここの畑を維持するのもキツかろう。」


「そうね。
お義母さんあっての伊東家だもん。」


「トモは戸籍はどうなっとるんだ?
伊東家に入っとるんか?」

「ううん。
ワタシは知っての通りニューハーフだし、当然あっちゃんとは結婚も出来ないから、吉岡姓のままだよ。
事実婚てやつね」


「そうか。
なのに稼ぎをどんどん伊東家に注ぎ込んで、トモは偉いよなあ。」

「稼ぎって言っても、あっちゃんに隠れて風俗で得たお金だし、堂々と言えた代物じゃないしね。」


「それでも立派じゃよ。
ワシとの関係についてもな。」


「良ちゃんの事は好きよ。

本当にお世話になってるし、いつも気にかけてもらってるのがるすごくわかるしね。

それと、体の相性が良いのよ。」


「そうだな。
相性は良すぎるな。

トモとやる時だけギンギンに勃つんじゃ、不思議とな」

吉川は豪快に笑い飛ばした。
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