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survival life

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美智香はその日、友人の美沙に会っていた。


「へえ、こっちに越してきたんだ。

これからまた頻繁に会えるね。」

美沙は美智香の新居と目と鼻の先に住んでおり、美智香と真弥の引越しを喜んだ。


「うん。
これからよろしくお願いね。
この辺の事、何もわかんないから。」

「任しといてよ。何でも聞いて。

ところでさあ」


「何?」


「美智香、少し見ない間に、何か老けてない?
いや、老けてるわけじゃないんだけど、髪型とか服とか
この前会った時と違うじゃん。」

「あー、そうなのよ。
今、彼のお給料で生活させてもらってるから、そういう事にお金使えないのよ。
美容院もこれからは頻繁に行けないから、セットしないで後ろで括ってるの。

それと、持ってた服もここに引越すときに大半を処分してきたし、今着てる服も980円で買ったやつなんだ。」


「美智香、アンタ
前は高級衣料を扱う仕事をしていたのに、よくそんな安物着てられるね」


「うん。
前は前よ。」


「美智香、言っとくけどアンタは四十二歳なんだよ

いくらベースが良くて美人だって言っても、ただのおばさんなの。

女は三十過ぎたら、体のメンテと身だしなみは人並み以上にお金をかけなきゃ維持できないのよ。
わかってる?

そんな事続けてたら、そのうち真弥君に捨てられちゃうよ
若い旦那さんにお嫁さんにしてもらってんのにさあ」


「えーっ、そんなのダメよ!」


「アンタも貯金あるんでしょ?
それくらいのお金は使っても誰も怒らないわよ。

てか、しないとダメ」


「わかった。そこは真弥君に相談してみる」


「そうすべきよ。うん

まあ、こういう事は専業主婦の先輩としてアドバイスしてあげるから、何でも聞いてきて」


「ありがとう。
そうしたいところなんだけど、私、来週からパートで働きに出るのよ。」


「えーっ、本当にするんだ」


「うん。

駅前のスーパーがあるじゃん。」


「あー、トクヤマね」


「あそこで荷出しとかレジとかやらせてもらう事になったのよ。
小さいお店だし、気楽に働けるかなって思って。」


「でも、トクヤマの系列店は全部、レギンドーに買われたって聞いたけどなあ。」

「えっ、レギンドーに?

最大手じゃん」


「入って早々にシステム変わって大変になりそうな予感だね」


「うわあ、最悪
でも頑張るよ。」


「時給はいくら?」


「1113円だけど」


「東京都の最低賃金じゃん
まあ、しゃあないか

美智香も前の仕事のときは時給換算したらその十倍くらい貰ってたんじゃないの?」

「うーん、それくらいあったのかなあ」

「まあ、いいけど」


「でも、幸せ度は比べものにならないよ、あの時と今では。」


「ご馳走様」

美沙は爆笑した。
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