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分かれ目

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「傷ついたからって何?

そんなの怖がって動けず、この先ずーっと後悔して生きるより全然良いじゃない?」

智は踏ん切りのつかない美智香の背中を押すべく、はっきりと自分の意見を言った。


「そんな事言っても、やっぱり気になるものは気になるの。」


「年齢差の事言ってるけど、それが引っかかるなら、そこまでお姉ちゃんの気持ちは動かないはず。

でも、彼の事が好きなんでしょ?」


「うん…好き

ずっと彼の事ばかり考えてる自分がいる。」


「お姉ちゃんて、容姿も中身も完璧で、本当にすごい人だって、昔から今も思ってるけど、恋愛に関してはまるっきりダメじゃん。」


「うん。それは否定できない…
別れた旦那以外の男を知らないもん」


「自分に素直になってみたら?」


「なれるかなあ…

何かと怖いって思ってしまう」


「言い方はあんまり良くないけど、彼に気持ちぶつけて、もしダメだったとしても、何も失うものなんてないでしょ?」

「たしかに…」

「お姉ちゃんは何でも出来るスーパーウーマンだから、プライドとかは勿論あると思う。
でも、そこを捨ててみないと、先には進めないよ。」

「そうだね。
智の言うことはよくわかるよ。」


「ワタシもさあ、昔から勉強出来て周りから天才とか言われて持て囃されたけど、結局はニューハーフになって、そういうプライドとか捨てざるを得なかった。
でも、そうする事によって得た幸せがあったのも事実だし、決して後悔はしてないよ。」


智の言葉に美智香は深く頷いた。


「わかったわ。
ちゃんと彼と向かい合ってみる。
それで、私の気持ちがいけると思うか、やっぱり無理だって思うかは、その時次第ってこと。」

美智香は自分に言い聞かせるように言った。
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