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恩人
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「ケイコさん!」
「トモちゃん!」
新宿駅の南口の改札で待ち合わせをしていた二人は、久しぶりの再会に歓喜して抱き合った。
ケイコはトモより十五ほど先輩だが、身だしなみによほど気を遣っているらしく、最小限の劣化で済ませていた。
「ケイコさん、相変わらずお綺麗です」
「そんな事ないよ、もうおばあちゃんの域よ
トモちゃんも相変わらず美人ね」
「いえ、思いっきり太っちゃいました。」
「それくらいが丁度いいわ。
魅力的だよ、今のトモちゃん」
「ありがとうございます」
「ご飯まだでしょ?
軽く食べようよ」
「はい。」
二人は近くにあるイタリアンレストランに入り、思い出話と近況話に花を咲かせた。
ケイコは元々自営業なので仕事面での苦労はないが、浮き沈みがあり、大変な時期もあったそうだ。
例の清掃会社の社長との交際も続いており、智に比べれば波のない穏やかな人生を送っていると言えた。
「そうだったの…
トモちゃん、苦労してたんだね」
対する智の話は波瀾万丈というか、苦労の連続で、二人の生活に明暗を分ける結果になってしまった。
「彼が教師を辞める事になったのもワタシのせいですし、全ては自分の不徳の致すところだったと思っています。
経済的な面でも、ワタシに蓄えがあれば良かったんですけど、奈々の治療費や、その後の裁判とか、ほとんど使い果たしてしまっていて、あまり役に立てなかった事も申し訳ないって」
「それは仕方ないよ
相手の借金の事はこっちとしてはわからないわけだし」
「組合長と融資を条件に体の関係を続けているのも罪悪感はすごくあるんです。
でも、エッチがすごく良くて…」
「まあ、トモちゃん、相変わらずね」
ケイコは思わず笑ってしまった。
「すいません。
淫乱なもので…」
「で、今回の上京はAVの撮影で?」
「ええ。
それと、さっきお話したように、今日古巣のニューハーフヘルスに挨拶に行った時、三か月限定で復帰を勧められて…
どうしようか迷ってるところです。」
「たしかに、アキさんが言うように、そういう仕事で稼げるチャンスは今が最後かもしれないね。
でも、ご主人には何て言うの?」
「AVの話は正直にしたんです。
彼も本当は嫌だと思うんですけど、今は背に腹はかえられない状況にあるのも事実で…
だから、逆にワタシに頭を下げて送り出してくれたんです。
でも、風俗の、しかも三か月となると…」
「莉愛ちゃんの方は大丈夫?」
「はい。
全寮制の高校にいますので。
部活もしてて、夏休みもお盆にしか帰ってこないので、その辺は…」
「うーん
何か違う理由を言うしかないね。」
「はい。
そうしようかなって…」
久しぶりの再会は、主に智の悩み相談室と化していたが、二人は場所を変える事にした。
「トモちゃん、まだ時間ある?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、行こう
スマイキーに」
「わっ、懐かしい!
ママ元気にしてます?」
「元気よ、すごくね」
ケイコはニヤッと笑って言った。
「トモちゃん!」
新宿駅の南口の改札で待ち合わせをしていた二人は、久しぶりの再会に歓喜して抱き合った。
ケイコはトモより十五ほど先輩だが、身だしなみによほど気を遣っているらしく、最小限の劣化で済ませていた。
「ケイコさん、相変わらずお綺麗です」
「そんな事ないよ、もうおばあちゃんの域よ
トモちゃんも相変わらず美人ね」
「いえ、思いっきり太っちゃいました。」
「それくらいが丁度いいわ。
魅力的だよ、今のトモちゃん」
「ありがとうございます」
「ご飯まだでしょ?
軽く食べようよ」
「はい。」
二人は近くにあるイタリアンレストランに入り、思い出話と近況話に花を咲かせた。
ケイコは元々自営業なので仕事面での苦労はないが、浮き沈みがあり、大変な時期もあったそうだ。
例の清掃会社の社長との交際も続いており、智に比べれば波のない穏やかな人生を送っていると言えた。
「そうだったの…
トモちゃん、苦労してたんだね」
対する智の話は波瀾万丈というか、苦労の連続で、二人の生活に明暗を分ける結果になってしまった。
「彼が教師を辞める事になったのもワタシのせいですし、全ては自分の不徳の致すところだったと思っています。
経済的な面でも、ワタシに蓄えがあれば良かったんですけど、奈々の治療費や、その後の裁判とか、ほとんど使い果たしてしまっていて、あまり役に立てなかった事も申し訳ないって」
「それは仕方ないよ
相手の借金の事はこっちとしてはわからないわけだし」
「組合長と融資を条件に体の関係を続けているのも罪悪感はすごくあるんです。
でも、エッチがすごく良くて…」
「まあ、トモちゃん、相変わらずね」
ケイコは思わず笑ってしまった。
「すいません。
淫乱なもので…」
「で、今回の上京はAVの撮影で?」
「ええ。
それと、さっきお話したように、今日古巣のニューハーフヘルスに挨拶に行った時、三か月限定で復帰を勧められて…
どうしようか迷ってるところです。」
「たしかに、アキさんが言うように、そういう仕事で稼げるチャンスは今が最後かもしれないね。
でも、ご主人には何て言うの?」
「AVの話は正直にしたんです。
彼も本当は嫌だと思うんですけど、今は背に腹はかえられない状況にあるのも事実で…
だから、逆にワタシに頭を下げて送り出してくれたんです。
でも、風俗の、しかも三か月となると…」
「莉愛ちゃんの方は大丈夫?」
「はい。
全寮制の高校にいますので。
部活もしてて、夏休みもお盆にしか帰ってこないので、その辺は…」
「うーん
何か違う理由を言うしかないね。」
「はい。
そうしようかなって…」
久しぶりの再会は、主に智の悩み相談室と化していたが、二人は場所を変える事にした。
「トモちゃん、まだ時間ある?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、行こう
スマイキーに」
「わっ、懐かしい!
ママ元気にしてます?」
「元気よ、すごくね」
ケイコはニヤッと笑って言った。
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