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陥落
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女性化が行くところまで行き着いた智は、女性として生活する時間が増え、もうそれが普通の事になっていた。
そして、それは快適で心地が良く、もう男だったときの心象もすっかり薄れていた。
女性ホルモンの影響で、不安感に襲われて涙を流すこともあったが、それでも自分らしく生きられるという幸せは何事にも代え難く、充実感に浸ることができた。
男性時代の知り合いとは交流を断ったが、幸いにして自分をよく理解してくれるケイコは、変わらぬ優しさで接してくれて、またケイコを通じて友達も増えていった。
智の美貌は飛び抜けており、プロのニューハーフも敵わず、ナチュラルな女性の中に入っても皆が美人と答えるレベルで、夜の街でたちまち有名になっていた。
ケイコと飲みに行くと、以前にも増してナンパされまくった。
智が元男性だと知って声をかけてくる者もいれば、女性だと思って近づく者もいて、まさにカオス状態になるのが日常の光景だった。
その度にケイコが守ってくれたのと、智自身が男性との恋愛にさほどの関心がなかった事で、現在までナンパに成功した人間は皆無だった。
しかし、しばらく経ったある日、そのガードがいとも簡単に破る人間が現れたのだった。
「ピクシー」の常連で、一瞬反社と見間違える風貌をした伊崎という男だった。
派手なワインカラーのスーツを纏い、短髪を金色に染め上げ、細く手入れした眉毛、目つきがやたらと悪い。
伊崎はずっと以前から智を狙っており、顔を合わすたびに誘いをかけてきた。
その度にケイコが追い払い、智を守ってきたが
その日は運悪く、ケイコが不在で智は1人でカウンターで飲んでいた。
そこに伊崎が現れ、チャンスとばかりに智の横に腰掛けた。
勿論身持ちのいい智のこと、そんな伊崎の誘いに乗るわけでもなく、テキトーに話を合わせるだけであった。
伊崎はそれでも諦めずに、智に話かけてきたが、夜も深まったところで、智が席を立った。
「ママ、お勘定をお願い」
智が記憶にあるのはそこまでだった。
そして、次に気がついたときには、見知らぬ部屋のベッドで仰向けになっており・・・
それも一糸纏わぬ姿でだ。
そして、それは快適で心地が良く、もう男だったときの心象もすっかり薄れていた。
女性ホルモンの影響で、不安感に襲われて涙を流すこともあったが、それでも自分らしく生きられるという幸せは何事にも代え難く、充実感に浸ることができた。
男性時代の知り合いとは交流を断ったが、幸いにして自分をよく理解してくれるケイコは、変わらぬ優しさで接してくれて、またケイコを通じて友達も増えていった。
智の美貌は飛び抜けており、プロのニューハーフも敵わず、ナチュラルな女性の中に入っても皆が美人と答えるレベルで、夜の街でたちまち有名になっていた。
ケイコと飲みに行くと、以前にも増してナンパされまくった。
智が元男性だと知って声をかけてくる者もいれば、女性だと思って近づく者もいて、まさにカオス状態になるのが日常の光景だった。
その度にケイコが守ってくれたのと、智自身が男性との恋愛にさほどの関心がなかった事で、現在までナンパに成功した人間は皆無だった。
しかし、しばらく経ったある日、そのガードがいとも簡単に破る人間が現れたのだった。
「ピクシー」の常連で、一瞬反社と見間違える風貌をした伊崎という男だった。
派手なワインカラーのスーツを纏い、短髪を金色に染め上げ、細く手入れした眉毛、目つきがやたらと悪い。
伊崎はずっと以前から智を狙っており、顔を合わすたびに誘いをかけてきた。
その度にケイコが追い払い、智を守ってきたが
その日は運悪く、ケイコが不在で智は1人でカウンターで飲んでいた。
そこに伊崎が現れ、チャンスとばかりに智の横に腰掛けた。
勿論身持ちのいい智のこと、そんな伊崎の誘いに乗るわけでもなく、テキトーに話を合わせるだけであった。
伊崎はそれでも諦めずに、智に話かけてきたが、夜も深まったところで、智が席を立った。
「ママ、お勘定をお願い」
智が記憶にあるのはそこまでだった。
そして、次に気がついたときには、見知らぬ部屋のベッドで仰向けになっており・・・
それも一糸纏わぬ姿でだ。
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