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最終決戦篇
拠点
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「こんなところにガールズバーができてるとは知らんかったわ。
また来させてもらうわ。」
客の男は、そう言うとチェックするように店のキャストの女性に言った。
「ありがとうございます。
ガールズバーって言っても、ワタシ一人でやってますからね。
ママ一人のスナックみたいなものですよ。
でも、来ていただいてすごく嬉しかったです。
また、是非お越しください」
女性は、料金の書いた小さな紙を差し出した。
「値段も良心的やん。
持ち合わせの現金で足りるわ。」
客の男は、財布から一万円札二枚を抜き、差し出した。
「六千円のお返しです。」
「ほな、また来るし。」
男が手を挙げて出て行こうとすると、女性は深々と頭を下げて見送った。
これで客がゼロになり、閉店しようかと思っていたところ、ドアが徐に開き、また客がやってきた。
「すいません。
まだいけます?」
「ええ、大丈夫です…
えっ?」
「ご無沙汰。」
店に入ってきたのは、松山亮輔だった。
「サオリさ…、あ、いえ、亮輔さん…
お体の方は?
もう歩けないって…」
「おかげさまで、全開したよ。
未来ちゃん、元気にしてた?」
未来と亮輔は、あの襲撃事件以来、初めて再会した。
未来は、ガールズバーのキャスト、亮輔は、客として。
「未来ちゃん、ここで働いてるんだ。」
「働いてるというか、何かしないと気が滅入りそうだったんで、前のオーナーからこの物件を買わせてもらって、一人気ままにやっているだけです。」
「へえ、すごいなあ。
経営者なんだ。」
「そんな驚かれるほどのお店じゃないでしょ?」
「いやいや、大したものだよ。」
「でも、なんでココなの?」
「どういう事ですか?」
「場所としては賑やかでいいところだけど、大友組の目と鼻の先じゃない?
何か思惑があるのかってね。」
「亮輔さん…」
未来は、そう言うと、カウンターを出て外に行き、店の看板の電源を切り、ドアの鍵を閉めた。
「もう閉店なんで、他のお客さんが入ってこないようにしました。」
「ごめんね。
こんな遅い時間に来てしまって。」
「いえ、大丈夫です。」
「それで、さっきの続きなんだけど、大友組とこんな近くで店を構えたってことは…
何か考えがあってのことなのかなって思ったんだ。」
「いえ、何も…
ただの偶然です…」
「そうか。
もしかしたら、未来ちゃんが復讐の機会を窺ってるんじゃないかって、変に勘繰ってしまってね。
違うならそれでいいんだ。」
亮輔がそう言うと、未来はぎこちない笑みを浮かべ、ウイスキーの水割りを差し出した。
また来させてもらうわ。」
客の男は、そう言うとチェックするように店のキャストの女性に言った。
「ありがとうございます。
ガールズバーって言っても、ワタシ一人でやってますからね。
ママ一人のスナックみたいなものですよ。
でも、来ていただいてすごく嬉しかったです。
また、是非お越しください」
女性は、料金の書いた小さな紙を差し出した。
「値段も良心的やん。
持ち合わせの現金で足りるわ。」
客の男は、財布から一万円札二枚を抜き、差し出した。
「六千円のお返しです。」
「ほな、また来るし。」
男が手を挙げて出て行こうとすると、女性は深々と頭を下げて見送った。
これで客がゼロになり、閉店しようかと思っていたところ、ドアが徐に開き、また客がやってきた。
「すいません。
まだいけます?」
「ええ、大丈夫です…
えっ?」
「ご無沙汰。」
店に入ってきたのは、松山亮輔だった。
「サオリさ…、あ、いえ、亮輔さん…
お体の方は?
もう歩けないって…」
「おかげさまで、全開したよ。
未来ちゃん、元気にしてた?」
未来と亮輔は、あの襲撃事件以来、初めて再会した。
未来は、ガールズバーのキャスト、亮輔は、客として。
「未来ちゃん、ここで働いてるんだ。」
「働いてるというか、何かしないと気が滅入りそうだったんで、前のオーナーからこの物件を買わせてもらって、一人気ままにやっているだけです。」
「へえ、すごいなあ。
経営者なんだ。」
「そんな驚かれるほどのお店じゃないでしょ?」
「いやいや、大したものだよ。」
「でも、なんでココなの?」
「どういう事ですか?」
「場所としては賑やかでいいところだけど、大友組の目と鼻の先じゃない?
何か思惑があるのかってね。」
「亮輔さん…」
未来は、そう言うと、カウンターを出て外に行き、店の看板の電源を切り、ドアの鍵を閉めた。
「もう閉店なんで、他のお客さんが入ってこないようにしました。」
「ごめんね。
こんな遅い時間に来てしまって。」
「いえ、大丈夫です。」
「それで、さっきの続きなんだけど、大友組とこんな近くで店を構えたってことは…
何か考えがあってのことなのかなって思ったんだ。」
「いえ、何も…
ただの偶然です…」
「そうか。
もしかしたら、未来ちゃんが復讐の機会を窺ってるんじゃないかって、変に勘繰ってしまってね。
違うならそれでいいんだ。」
亮輔がそう言うと、未来はぎこちない笑みを浮かべ、ウイスキーの水割りを差し出した。
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