ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

文字の大きさ
380 / 409
最終決戦篇

重い思い

しおりを挟む
「薫さん…

ワタシも詳しい事はわかりませんけど、未来ちゃんは…大友組に…」


ユウは不安げな表情で、薫に言った。


「そんな…

一人でって事?」


「そうです。

多分ですけど、このために未来ちゃんは垂水組をやめたんだと思います。」


「まさか、復讐を果たそうとして…」


「薫さん

未来ちゃんを止めてください!」


「えっ…」


「ワタシも未来ちゃんも薫さんも、最愛の人を失ったっていう共通点があります。

こんなワタシでさえ落ち込んで生きるのがイヤになってしまい、毎日が辛くてどうしようもありません。

薫さんだって、そうでしょう?」


「それは…」


「未来ちゃんだけは、悲しいはずなのにそんな姿を一切見せずに淡々と組の仕事をこなしていました。

でも、彼女だって辛くて悲しいはずです。ワタシなんかよりずっと…」


「…」


「そして、未来ちゃんは、自暴自棄になって…と、までは言いませんが、きっと機会をうかがってたんだと思います。

復讐を図るタイミングを…」


「でも、一人では…」


「組織として立ち向かえば、今の時代です。
警察によって潰されてしまいます。

ですが、個人であれば、ひょっとしたら…」


「無茶よ、そんなの。

間違いなく殺されてしまうわ。
相手は人の命を平気で奪っても何も思わない連中なのよ。」


「だから止めて欲しいんです。

薫さんに。」


「…」


ユウは薫に頭を深々と下げた。


「…

ごめん、ユウちゃん

今のワタシにはムリよ。」


それでも薫は動こうとしなかった。




その後もユウから執拗に頼まれたが、薫は首を縦に振ろうとはしなかった。





自宅に戻った薫は、小百合に出迎えられた。


「おかえり

薫」


「ただいま」



「久しぶりにお友達と会うんもよかったやろ?」


「ううん。
小百合にそう言われて、行ったものの…
全然…」


「そうなんか」


「早くエッチしようよ」


「そんなん、望むところやわ。」


小百合は薫を抱きしめると、愛おしそうにキスをした。


「ワタシには小百合がいるし…
他に望む事なんて何もないわ」


「ウチもや。
薫のおかげで寂しい人生を送らんで済んでるんやから…
でも、薫

正直に言うてくれてええからね。」


「えっ、何を?」


「だって、ウチみたいな年増の太ったニューハーフなんかより、フツーの男の方がええんに決まってんねんから…
そのときはちゃんと言うて欲しい。
ウチの望みは、薫が幸せな人生を送る事やから。」


「小百合

男の人で愛したのは、しんちゃんが最初で最後なの。
もう、これからの人生で男の人を好きになる事はないって断言できる。」


「そうか。
それはウチもや。

ワタシにとっても最後の男は沢木や。」


このような考えを持つ二人が引き合い、惹かれ合うのは、ごく自然の事であった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

世界の終わりにキミと

フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。 そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。 しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…

処理中です...