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闇堕ち編
復興
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薫は、今は大きな乳房があり、タマもない。
また体のラインも皮下脂肪が付いて丸みを帯び、シルエットからして女性そのものだった。
しかも、髪も長く、肩まであり、化粧もバッチリである。
故に男として生きる事はもはや不可能である。
しかし、女の姿のまま、薫は沢木組に帰ってきた。
ヤクザとして…。
庄山の死後、組長となった山崎は、自分の部屋に薫を呼び、その真意を尋ねた。
「なあ、薫」
「はい。」
「お前
ホンマに綺麗になったなあ。
そこらの女じゃ勝たれへんくらいにな。」
「いえ…」
「女になりとうて、組を抜けたお前が復帰したいやなんて…
目的は旦那の仇を討つためか?」
「…
それは、自分でもわからないです。
ワタシが何をしたいのか…
でも、ワタシのすべき事はラーメン屋ではなく、極道の世界に戻る事だという結論に達し、またこちらでお世話になれないかとご相談した次第です。」
「ウチもなあ、ヤクザっちゅー組織自体が法律、警察、世論によって弱体化され、なかなか厳しゅうなっとるんが現実や。
それに、沢木、庄山という組の長が二人続けて殺されるっちゅー不運にも遭うてしもた。
赤石みたいな有望な若手も殺されてしもたしな。」
「沢木組長は、ワタシをここに拾ってくれた恩人ですし、庄山さんにも色々目をかけていただきました。
功太…いえ、赤石は、ワタシの弟分で可愛がっていましたし…彼が死んだ事は…」
薫はそこまで言うと、言葉に詰まり、目を潤ませた。
「そりゃあ、ワシもお前と同じ気持ちや。
あのとき、お前の旦那、ウチのオヤジと赤石、大西組の頭、そして、垂水組の七代目と、お前の旦那はカタギやったが、それ以外は、三つの組のトップやったわけやし、組織としては、痛いとしか言いようがあらへん。」
「はい…」
「なあ、薫
俺もお前と一緒の気持ちや。
今すぐにでも大友んとこと構えて、きっちり落とし前をつけさせたいと思てる。
けどな、それをしたら奴らの思う壺や。
それが証拠に、警察は犯人と大友との関係を実証出来てへんし、正式には神頭会の跳ねっ返りによる仕業やということになっとる。
つまり、今の状況では動かれへんっちゅーこっちゃ。
勿論、垂水からもストップがかけられたままやしな。
それでも、お前は組に戻ってくる言うんか?」
「はい、破門になった身で、大変勝手を申しますが、ワタシを組の末席に置いていただけませんでしょうか。」
薫は深々と頭を下げて言った。
「破門にしたんは、先々代の姐さんのお前に対する配慮やったんは、ワシらもわかっとる。
わかった。
薫、ウチにはお前のその強さが必要や。
たとえ女になっても、そうそう衰えるもんやないやろ。
まあ、よろしく頼むで!」
山崎は立ち上がり、薫の肩に手を置いて言った。
また体のラインも皮下脂肪が付いて丸みを帯び、シルエットからして女性そのものだった。
しかも、髪も長く、肩まであり、化粧もバッチリである。
故に男として生きる事はもはや不可能である。
しかし、女の姿のまま、薫は沢木組に帰ってきた。
ヤクザとして…。
庄山の死後、組長となった山崎は、自分の部屋に薫を呼び、その真意を尋ねた。
「なあ、薫」
「はい。」
「お前
ホンマに綺麗になったなあ。
そこらの女じゃ勝たれへんくらいにな。」
「いえ…」
「女になりとうて、組を抜けたお前が復帰したいやなんて…
目的は旦那の仇を討つためか?」
「…
それは、自分でもわからないです。
ワタシが何をしたいのか…
でも、ワタシのすべき事はラーメン屋ではなく、極道の世界に戻る事だという結論に達し、またこちらでお世話になれないかとご相談した次第です。」
「ウチもなあ、ヤクザっちゅー組織自体が法律、警察、世論によって弱体化され、なかなか厳しゅうなっとるんが現実や。
それに、沢木、庄山という組の長が二人続けて殺されるっちゅー不運にも遭うてしもた。
赤石みたいな有望な若手も殺されてしもたしな。」
「沢木組長は、ワタシをここに拾ってくれた恩人ですし、庄山さんにも色々目をかけていただきました。
功太…いえ、赤石は、ワタシの弟分で可愛がっていましたし…彼が死んだ事は…」
薫はそこまで言うと、言葉に詰まり、目を潤ませた。
「そりゃあ、ワシもお前と同じ気持ちや。
あのとき、お前の旦那、ウチのオヤジと赤石、大西組の頭、そして、垂水組の七代目と、お前の旦那はカタギやったが、それ以外は、三つの組のトップやったわけやし、組織としては、痛いとしか言いようがあらへん。」
「はい…」
「なあ、薫
俺もお前と一緒の気持ちや。
今すぐにでも大友んとこと構えて、きっちり落とし前をつけさせたいと思てる。
けどな、それをしたら奴らの思う壺や。
それが証拠に、警察は犯人と大友との関係を実証出来てへんし、正式には神頭会の跳ねっ返りによる仕業やということになっとる。
つまり、今の状況では動かれへんっちゅーこっちゃ。
勿論、垂水からもストップがかけられたままやしな。
それでも、お前は組に戻ってくる言うんか?」
「はい、破門になった身で、大変勝手を申しますが、ワタシを組の末席に置いていただけませんでしょうか。」
薫は深々と頭を下げて言った。
「破門にしたんは、先々代の姐さんのお前に対する配慮やったんは、ワシらもわかっとる。
わかった。
薫、ウチにはお前のその強さが必要や。
たとえ女になっても、そうそう衰えるもんやないやろ。
まあ、よろしく頼むで!」
山崎は立ち上がり、薫の肩に手を置いて言った。
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