ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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闇堕ち編

Requiem

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「薫さん

ワタシ、垂水組八代目組長に就く事を決めました。」


「えっ…」


「次の幹部会で承認され、正式に就任する予定です。」



「未来ちゃん、それって…」


「薫さんと同じです。

彼の遺したものを守りたい。
ただそれだけの思いから、ワタシは自分のこれからの生きる道を選択したんです。」


「でも、ワタシのようなラーメン屋とはわけが違うわ。

ヤクザ組織の長なのよ。

ワタシもヤクザだったからわかる。

とてもじゃないけど、普通の神経をしている者では務まらないわ。」


「わかっています。

ですが、このままでは、垂水組をはじめとしたヤクザ組織が解体されてしまいます。

それくらい、あの銃撃事件は、世間に衝撃を与えたんです。

世論は被害者であるはずのワタシ達にもその矛先を向け、全力で潰そうとするでしょう。

そうなったら、事件を起こした大友組の連中だけが得をし、ワタシ達のみが路頭に迷う事になるんです。」


「言っている事はよく理解できるわ。

でも、この状況をあなたがトップに立つ事によって、どうやって変えることが出来るっていうの?」


「ワタシの役目は世論形成です。

八代目襲名をした後は、ワタシはあらゆるメディアに露出するつもりです。
大手メディアからYouTubeの個人チャンネルのようなものまで、こだわりなく出演し続けるつもりです。

そして、世の中の人達からの厳しい目を少しでも和らげ、逆に同情をしてもらえるレベルに持っていけたらと思っています。」


「…」


「薫さん

ワタシは大友組を許しません。

どんな手を使ってでも、彼らを追い詰めていくつもりです。」


「未来ちゃん、まさか

抗争に足を突っ込むつもり?」 
 

「いえ、今動いたら、アイツらの思う壺です。

ここはじっくり構える算段を立てています。」



「未来ちゃん

あなたの話を聞いたからってわけじゃないんだけど…

ワタシもヤクザに復帰する事にしたわ。」


「えっ…」


「ラーメン屋を守っていくことに人生を捧げようと思ったけど、やっぱり、ワタシの芯の部分はヤクザなのよ。」


「薫さん…」



「ワタシも…

悔しかったの…

なんであの人が死ななきゃならなかったのかって…

それを思うと…ワタシ…」


薫は、肩を震わせ涙を流し、そのうち、声を上げて大泣きし始めた。

未来もその姿を見つめながら、咽び泣いた。


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