343 / 352
闇堕ち編
立志
しおりを挟む
「佐々木さんがおっしゃられたように、ワタシのような素人が出しゃばって、垂水組の八代目に就いても、多分お役には立てない事はよくわかっています。」
「いや、私は…」
再び話し始めた未来に、佐々木が自身の発言で気分を害したのかと、少し焦りながら割り込もうとしたが、未来はそのまま続けた。
「七代目が亡くなり、当初は、静かに彼の事を偲びながら、どこかでひっそりと生きていこうと考えていました。
しかし、それは、彼の思いを踏み躙る行為ではないのかと思い始めるようになりました。
求心力を失った垂水組が瓦解し、非道な手を使った大友達がやった者勝ちとなる。
そして、依然として警察や世間の人達は我々に冷ややかな目を向け続ける。」
「それは、私もそう思います。
だから、意見を言わせてもろたんです。
姐さんが継いだとして、どう変わるのかということを。」
「ええ。当然そう思われるでしょう。
ただ、ワタシが八代目に就く意味はまさにそこにあります。
ワタシは垂水組八代目に就くと、すぐにマスコミの取材を積極的に受けていこうと考えています。
そこで、垂水組がヤクザ組織からカタギに変わろうとしていたこと。
また、それを積極的に七代目が推進していた事などを外に向けて発信していきます。
自分で言うのも恥ずかしいですが、ワタシは女性で、しかも若くて美しい。
このようなシチュエーションをマスコミは好み、必ずドラマ性を付けながら取り上げてくれるでしょう。
ワタシは被害を被りながらも、加害者のように見られるこの状況を打破したいのです。」
「なるほど…
しかし、それだけでは…」
「もちろんです。
世論の形成は、次に動くための布石に過ぎません。」
「次に?」
「大友組との抗争への…」
「えっ」
「こんな事をしておきながら、勝ち逃げしようとしている大友組を、ワタシは絶対に許しません。
彼らには自分たちがした事に相当する報いを受けてもらいます。
ワタシは、この命に代えてでも、彼らを徹底的に潰します。」
未来は厳しい表情で話し終えると、頭を下げて、また座った。
再び、鷹村が後を引き取り、皆に言った。
「私も、八代目のこの決断を全面的に支持します。
皆さん、あらためてお聞きしますが、いかがでしょうか。
彼女に八代目になっていただく事について、異議のある方。
挙手の上、ご発言下さい。」
すると、あちらこちらから
「異議なし!」
「八代目に是非なって下さい!姐さん!」
と、いう言葉が飛んできた。
ここに、岡田未来の垂水組八代目への就任が正式に決定した。
「いや、私は…」
再び話し始めた未来に、佐々木が自身の発言で気分を害したのかと、少し焦りながら割り込もうとしたが、未来はそのまま続けた。
「七代目が亡くなり、当初は、静かに彼の事を偲びながら、どこかでひっそりと生きていこうと考えていました。
しかし、それは、彼の思いを踏み躙る行為ではないのかと思い始めるようになりました。
求心力を失った垂水組が瓦解し、非道な手を使った大友達がやった者勝ちとなる。
そして、依然として警察や世間の人達は我々に冷ややかな目を向け続ける。」
「それは、私もそう思います。
だから、意見を言わせてもろたんです。
姐さんが継いだとして、どう変わるのかということを。」
「ええ。当然そう思われるでしょう。
ただ、ワタシが八代目に就く意味はまさにそこにあります。
ワタシは垂水組八代目に就くと、すぐにマスコミの取材を積極的に受けていこうと考えています。
そこで、垂水組がヤクザ組織からカタギに変わろうとしていたこと。
また、それを積極的に七代目が推進していた事などを外に向けて発信していきます。
自分で言うのも恥ずかしいですが、ワタシは女性で、しかも若くて美しい。
このようなシチュエーションをマスコミは好み、必ずドラマ性を付けながら取り上げてくれるでしょう。
ワタシは被害を被りながらも、加害者のように見られるこの状況を打破したいのです。」
「なるほど…
しかし、それだけでは…」
「もちろんです。
世論の形成は、次に動くための布石に過ぎません。」
「次に?」
「大友組との抗争への…」
「えっ」
「こんな事をしておきながら、勝ち逃げしようとしている大友組を、ワタシは絶対に許しません。
彼らには自分たちがした事に相当する報いを受けてもらいます。
ワタシは、この命に代えてでも、彼らを徹底的に潰します。」
未来は厳しい表情で話し終えると、頭を下げて、また座った。
再び、鷹村が後を引き取り、皆に言った。
「私も、八代目のこの決断を全面的に支持します。
皆さん、あらためてお聞きしますが、いかがでしょうか。
彼女に八代目になっていただく事について、異議のある方。
挙手の上、ご発言下さい。」
すると、あちらこちらから
「異議なし!」
「八代目に是非なって下さい!姐さん!」
と、いう言葉が飛んできた。
ここに、岡田未来の垂水組八代目への就任が正式に決定した。
4
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる