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懐柔編
顔合わせ
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その日の昼頃、優磨は、三重にある未来の実家を訪れていた。
訪問した理由は勿論、未来との結婚の許しをもらうためだ。
正月にすっかり変わってしまった未来の姿を見て大激怒した両親だったが、父の弟である涼太のおかげで最終的には許してくれたのだが…
それから僅か数ヶ月後に、男を連れて帰ってきて、しかも結婚するという…
孝通と麻美は、怒りこそなかったが、大いに戸惑っていた。
しかし、優磨自体はルックスも良く、体躯がしっかりしていて、身なりもちゃんとしている。
見る限り、経済面での心配もないようだ。
尚更、男同士で結婚したいというのが、二人には理解できなかった。
このようなリアクションは当然予想できていた。
もう少し根回ししてから訪問するという手もあったが、優磨自体が早めに結婚したいという気持ちが強かった事もあり、予定を前倒しにしての訪問となっていた。
「優磨さん
未来と結婚したいと言っていただきましたが、ご存知の通り、未来は男です。
また、どうして?」
孝通の疑問はその一点に尽きた。
麻美も同じ気持ちだった。
「勿論、未来さんが生まれながらの女性ではないということは存じています。
しかし、私にとってはとても小さな事で、それが理由で気持ちが変わってしまうような事はありません。
単純に未来さんの事がすごく好きになり、結婚したいと強く思うようになったんです。
未来さんとの結婚をお許しいただけないでしょうか。」
「結婚と言われましても…
私も妻もその辺りの事に疎くて申し訳ないんですが、男同士で結婚なんて出来るんでしょうか?」
「勿論、すぐに籍を入れる事は出来ないです。
今後、男性から女性への戸籍変更など、手続きをしていかなければなりません。
かなり時間もかかると思います。
入籍自体はそれからということになりますが。」
優磨は、孝通や麻美の疑問や質問に対して、明瞭に答えていった。
女として生きることを認めてしまった以上、孝通も麻美も、それ以上反対する事はできず、最終的には認めざるを得なかった。
しかし、孝通は
「わかりました。
未来の人生に我々が口を挟むことも出来ませんし、本人がそれでいいと思うのなら反対する事もないです。
しかし、これだけはお願いしたい。
今通っている大学だけはちゃんと卒業をする事。
私達から申し上げたいのは以上です。」
ハッキリとした口調で言った。
優磨の横に座り、黙って聞いていた未来は、父の言葉に頷き
「大学は最後まで通って、卒業します」
と、答えた。
女性物の服を着て、髪も伸ばし、化粧も完璧な未来の姿を、孝通はじっと見つめながら、フッと笑った。
訪問した理由は勿論、未来との結婚の許しをもらうためだ。
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それから僅か数ヶ月後に、男を連れて帰ってきて、しかも結婚するという…
孝通と麻美は、怒りこそなかったが、大いに戸惑っていた。
しかし、優磨自体はルックスも良く、体躯がしっかりしていて、身なりもちゃんとしている。
見る限り、経済面での心配もないようだ。
尚更、男同士で結婚したいというのが、二人には理解できなかった。
このようなリアクションは当然予想できていた。
もう少し根回ししてから訪問するという手もあったが、優磨自体が早めに結婚したいという気持ちが強かった事もあり、予定を前倒しにしての訪問となっていた。
「優磨さん
未来と結婚したいと言っていただきましたが、ご存知の通り、未来は男です。
また、どうして?」
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麻美も同じ気持ちだった。
「勿論、未来さんが生まれながらの女性ではないということは存じています。
しかし、私にとってはとても小さな事で、それが理由で気持ちが変わってしまうような事はありません。
単純に未来さんの事がすごく好きになり、結婚したいと強く思うようになったんです。
未来さんとの結婚をお許しいただけないでしょうか。」
「結婚と言われましても…
私も妻もその辺りの事に疎くて申し訳ないんですが、男同士で結婚なんて出来るんでしょうか?」
「勿論、すぐに籍を入れる事は出来ないです。
今後、男性から女性への戸籍変更など、手続きをしていかなければなりません。
かなり時間もかかると思います。
入籍自体はそれからということになりますが。」
優磨は、孝通や麻美の疑問や質問に対して、明瞭に答えていった。
女として生きることを認めてしまった以上、孝通も麻美も、それ以上反対する事はできず、最終的には認めざるを得なかった。
しかし、孝通は
「わかりました。
未来の人生に我々が口を挟むことも出来ませんし、本人がそれでいいと思うのなら反対する事もないです。
しかし、これだけはお願いしたい。
今通っている大学だけはちゃんと卒業をする事。
私達から申し上げたいのは以上です。」
ハッキリとした口調で言った。
優磨の横に座り、黙って聞いていた未来は、父の言葉に頷き
「大学は最後まで通って、卒業します」
と、答えた。
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yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
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