ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

強硬策

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「佐々木さん
こんなところまでわざわざ出向いてもらい申し訳ありまへん。

鷹村先生もご足労いただきありがとうございます。」


恰幅のいい四十代に見える男は、垂水組若頭の佐々木哲也と、顧問弁護士の鷹村に対し、恭しく頭を下げた。


「いや、そんなんはどうでもええねん。

久喜さん

アンタと話をしとうてな。
こうして大阪まで来させてもろたっちゅーわけや。」


「それはどうも…

それやったら、ワシらのやろうとしてる事を認めて下さると解釈してもええっちゅうことですか?」


「何を言うてんねや。
その逆や。
神頭会が暴走しそうやっちゅー噂が神戸まで聞こえてきてなあ、ウチの若が心配されとるんや。
何が言いたいかわかるか?」


「ほんなら垂水組本家は、ワシらに足枷を嵌めにきたっちゅうわけですか。」

久喜はイラついた表情で、佐々木を睨みつけた。

ここで、先ほどから黙って聞いていた鷹村が会話に参加した。


「久喜さん。
あなたの気持ちはよくわかります。
大事な組員を殺されてるんだから。

しかし、今、奴らの挑発に乗ったら、それこそ向こうの思う壺だ。

ここは辛いとは思うが、自重してもらえないでしょうか。」


「鷹村先生
アンタも元々ヤクザやったんやからわかると思うが、ワシらの仕事はナメられたら終わりや。

それが今、大友組のボンクラに完全にナメられた状況にある。

たとえ大きなリスクを張っても、こっちから仕掛けていく
これしかないと思てます」


「久喜さん。
もし、あなた方が抗争にしてしまうのなら、垂水組としては神頭会を切るしかない。
それでもかまいませんか」


「脅しでっか?

垂水組がそない言うんやったら、破門でも除名でもしたらよろしいがな。
その代わり、ウチは好きにやらせてもらいまっさかい、今後は一々干渉せんとってくだささい。」

久喜は憮然とした表情で席を立った。
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