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exclusive defense

薫の誤

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「今通っている空手道場の師範も言ってたんですけど、薫さんて男時代、めちゃくちゃ強かったんですって。

師範も歯が立たないくらい。

でも、ニューハーフとして生きる事を選んでから、女性ホルモンや去勢によって筋力が低下して…

ワタシの場合、まだ女ホルの期間は短いけど、薫さんはもう十年以上だって言うし、その間運動も一切してなかったみたいで…
驚くほど弱くなってしまってるみたいなんです。」


「何も運動をしてこなかったワタシですら、女ホルをやりだしてから、ほんまに体力が無くなったって思うもん。
アスリート系の人だったら尚更やんね。」

ユウは神妙な顔をして言った。

「元々、ワタシも薫さんも恋人を守りたい一心から空手をやろうと思ったんですけど、薫さんの場合、予想以上にダメだったみたいで、ショックを受けてしまったようなんです。
で、旦那さんに相談して、しばらく仕事を休んで体を鍛える事に専念する事になったんです。

とは言っても、代わりに働いてくれる人が見つかるまではムリなんですけどね。」


「なるほどね。
それでワタシが代わりに働かないかってことなんやね?」


「そうなんです。
ユウさんなら薫さんともお知り合いだし、丁度良いかなって。」


「うん。
でも、ワタシに務まるかしら…
ラーメン屋さんなんて…
なんか難しそう」


「作るのは全部旦那さんが担当されてるみたいなので、大丈夫だと思いますよ。」


「そっか…
だったら、役に立てるかどうかわからへんけど、行ってみようかな」


「ありがとうございます!

早速薫さんに連絡してみます。」


未来は携帯を取り出し、その場ですぐに薫に電話をかけた。

そして、今ユウと話していた内容を全て電話の向こうの薫に伝えた。


「そうなんです

はい


今、ユウさんと心斎橋と本町の間くらいにあるカフェにいて…そこでお話をして…

はい



はい、そうです。

えっ、薫さん、難波におられるんですか

あ、そうなんです。

いいんですか?

ワタシ達は全然大丈夫です。

むしろお会いしたいくらいです」


薫がたまたま近くにいたらしく、未来はユウに確認もせずに勝手に話を進めていき、電話を切った。


「薫さん、難波に買い物に来てるみたいで。

こっちに合流してもらう事にしました。

いいですか?」

事後承諾を求める未来に、ユウは少し笑いそうになってしまったが、穏やかな表情を浮かべて頷いた。
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