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exclusive defense
杵柄
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薫は豊田に渡された道着に着替えたのだが…
(ここの道場って道着の下に何も着ちゃいけなかったよね…
どっちにしてもワタシ、Tシャツなんて着てきてないし…
あー、今日は話だけで帰ればよかったあ…)
心の中で頭を抱えた。
しかし、ここは元男としてルールに従うべきと判断した薫は裸の上から道着を着た。
道場に現れた薫を見て、豊田は絶句した。
勿論、さっき久々に会った薫は、すっかり女になり、以前とはまるで別人になっていたが、道着に着替えると、それが特に顕著に出ていたからだ。
何と言っても、その胸…乳房の存在があまりにも大きかった。
道着からはみ出さんばかりの薫の乳房は、巨乳と呼ぶほどのサイズではなかったが、ちゃんと谷間が存在し、道着の胸元からチラチラ見えていた。
頭が混乱しそうになるのを必死に堪えて、豊田は薫と稽古を始めた。
まずは二人共が正座し、神前に礼・黙想から始まる。
そして、準備運動は、足の指先から足首・膝・股関節を動かし、下肢・体幹・肩甲骨回り・首肩回り・手の指先までを動かすウォームアップを行った。
これは、薫が以前ここにいた時から今も変わらず行われている。
準備運動が終わると、基本稽古となるのだが、豊田は
「久しぶりやし、今の状態がどんなのか見とくから、ちょっとやってみて。」
と、薫に言った。
「はいっ!」
薫は気合いの入った返事をし、体勢を整えた。
ここでの基本稽古は、「型」を一つ一つの技に分解し、正拳・裏拳・受け・手刀・足技を三戦立ち・騎馬立ち・前屈立ちといった基本の立ち方で行うのだが、目の前に自分と同じ体格の相手を想定し、相手の体のどこに、自分の体のどこを当てるかを意識して行うことが重要なのだ。
薫は少し忘れている部分もあったが、体が覚えており、一つ一つの型を丁寧にこなしていった。
腕組みをして薫の型をじっと見ていた豊田だったが、昔の薫とはあまりにもかけ離れた型のこなし方に愕然とした。
一見すると、ここに通う者たちと何も変わらないように思えるが、薫の体は芯の部分から女性化が進んでおり、力強さをまるで感じなかった。
その姿は、女性が無理をして空手をやっているようで、とてもじゃないが、実戦形式を売りにしている空手としては、全く成り立っていなかった。
一連の動作を終えた薫に、豊田は
「ブランクを取り戻すのに相当時間がかかるで。
その覚悟は出来てんのか」
と、言った。
「はい。精進致します
押忍!」
薫は深々と頭を下げ、甲高い声で答えた。
(ここの道場って道着の下に何も着ちゃいけなかったよね…
どっちにしてもワタシ、Tシャツなんて着てきてないし…
あー、今日は話だけで帰ればよかったあ…)
心の中で頭を抱えた。
しかし、ここは元男としてルールに従うべきと判断した薫は裸の上から道着を着た。
道場に現れた薫を見て、豊田は絶句した。
勿論、さっき久々に会った薫は、すっかり女になり、以前とはまるで別人になっていたが、道着に着替えると、それが特に顕著に出ていたからだ。
何と言っても、その胸…乳房の存在があまりにも大きかった。
道着からはみ出さんばかりの薫の乳房は、巨乳と呼ぶほどのサイズではなかったが、ちゃんと谷間が存在し、道着の胸元からチラチラ見えていた。
頭が混乱しそうになるのを必死に堪えて、豊田は薫と稽古を始めた。
まずは二人共が正座し、神前に礼・黙想から始まる。
そして、準備運動は、足の指先から足首・膝・股関節を動かし、下肢・体幹・肩甲骨回り・首肩回り・手の指先までを動かすウォームアップを行った。
これは、薫が以前ここにいた時から今も変わらず行われている。
準備運動が終わると、基本稽古となるのだが、豊田は
「久しぶりやし、今の状態がどんなのか見とくから、ちょっとやってみて。」
と、薫に言った。
「はいっ!」
薫は気合いの入った返事をし、体勢を整えた。
ここでの基本稽古は、「型」を一つ一つの技に分解し、正拳・裏拳・受け・手刀・足技を三戦立ち・騎馬立ち・前屈立ちといった基本の立ち方で行うのだが、目の前に自分と同じ体格の相手を想定し、相手の体のどこに、自分の体のどこを当てるかを意識して行うことが重要なのだ。
薫は少し忘れている部分もあったが、体が覚えており、一つ一つの型を丁寧にこなしていった。
腕組みをして薫の型をじっと見ていた豊田だったが、昔の薫とはあまりにもかけ離れた型のこなし方に愕然とした。
一見すると、ここに通う者たちと何も変わらないように思えるが、薫の体は芯の部分から女性化が進んでおり、力強さをまるで感じなかった。
その姿は、女性が無理をして空手をやっているようで、とてもじゃないが、実戦形式を売りにしている空手としては、全く成り立っていなかった。
一連の動作を終えた薫に、豊田は
「ブランクを取り戻すのに相当時間がかかるで。
その覚悟は出来てんのか」
と、言った。
「はい。精進致します
押忍!」
薫は深々と頭を下げ、甲高い声で答えた。
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